もうこれ以上の軽自動車規格の拡大は難しい……というか必要ナシ!? 歴史と役割から軽規格を考えてみた

この記事をまとめると
■現行の軽自動車規格は1998年に定められて以降ほぼ変更されていない
■衝突安全の視点からは軽自動車の車体も大柄になることが視野に入る
■国土が狭い日本では道路や駐車事情に適した車種が必要不可欠だ
28年間変わっていない軽自動車規格
軽自動車は、日本独自の車両規格で、税制や有料道路の通行料などに恩恵がある。現行の軽自動車規格は、車体全長が3.4m以下、全幅が1.48m以下、全高は2m以下で、エンジンには排気量660cc(0.66リッター)以下の決まりがある。また、エンジンについては最高出力64馬力以下という自主規制が実施されている。

この規定は、1998年(平成10年)に定められ、今年で28年になる。
軽自動車という枠組みは、1949年(昭和24年)に制定された。77年前のことだ。第二次世界大戦後4年で策定されたことは、日本が戦後復興を本格化させるうえで、価格的にも車体の大きさにおいても、国内でちょうどいいという枠組みに手を付けたといえる。

以後、軽自動車の規定は、翌1950年には早くも2輪、3輪、4輪の区わけが実施され、さらに1951年にはエンジン排気量の増大が実施され、実情に即した微調整が行われた。1954年には、2ストロークと4ストロークの排気量わけが撤廃されている。そして、軽自動車といえば360ccという時代が始まるのである。
そのエンジン排気量が550ccへ拡大されたのは1975年(昭和50年)だ。20年以上経て、360ccから550ccへ1.5倍以上も排気量が増大された背景に、1973年(昭和48年)からはじまった排出ガス浄化の規制がある。排気に含まれる有害物質の、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)を浄化するため、燃焼後の後処理装置である触媒が用いられることになるが、そもそも有害物質の排出量を減らすため、少ない燃料で燃焼させることも行われ、エンジンの馬力が低下した。

ひと言でいえば、軽自動車や登録車の区別なく、加速の悪いクルマになったのだ。ことに、もともと排気量の小さな軽自動車は痛手が大きく、排気量を増やすことにより、ごく当たり前に走るクルマへの復帰をはかったのである。同時に、車体寸法も、全長と全幅がやや大きくなった。
次に変更となるのが、14年後の1989年(平成元年)だ。エンジン排気量が660ccになり、車体寸法も全長がやや伸ばされた。この変更の大きな狙いは、衝突安全性能の向上にある。

安全の話のなかでは、コンパティビリティ(互換性の意味だがここでは共存性)といわれ、登録車と軽自動車が衝突しても、弱い立場にある軽自動車の損害が大きくなり過ぎないよう、車体全長を伸ばし、衝撃吸収性能を高めた。この車体拡大にあわせ、エンジン排気量を増やして走行性能を保持したのだ。
軽自動車のサイズを大きくするのは難しい
続いて8年後に、エンジン排気量はそのまま、車体全長と全幅を拡大している。これは、追突や側面衝突なども視野に、クルマ全方位での衝撃吸収性能を高めるためだ。

ここから今日まで、軽自動車規格は30年近く変更されずにきている。
かたや、登録車は3ナンバー車種が増え、新車が出るたびに大型化し、大衆車の1台として歴史を積み重ねてきたトヨタ・カローラでさえ、現行車はすべて3ナンバーになった。衝突安全の視点に立てば、登録車の大型化傾向に応じて軽自動車の車体も大柄になることが視野に入るかもしれない。
一方、カローラでさえ5ナンバーの選択肢がなくなった今日、日常の用途としてクルマを利用する場合、路地でのすれ違いや、車庫入れなど含め、日本の道路や駐車事情に適した車種は不可欠だ。国内の道路は、道幅が4mであるべきと決まっている。しかしながら、旧い市街や住宅地には、3.6m前後の道路がまだ残っており、それらは必ずしも一方通行ではない。

現在の軽自動車枠の車幅は、1.48m以下で、2台並んだ際の寸法は2.96mになる。互いに両脇にわずかなゆとりをみてすれ違うことを想定すると、3.6m道路では余裕が20cmほどと計算できる。運転席からの見通しでは、もしかしたら接触してしまうかもしれないと思えるほどの近さだろう。
つまり、現実の道路環境からすれば、現行の軽自動車の車体寸法は、国内すべての道路が4m規格を達成するまで、変更は難しいとの実態がみえてくる。

また、自動ブレーキの装備が進み、衝突事故の可能性は下がりつつある。ぶつかってからの心配をする以前に、ぶつからないような装備を充実・普及させ、小さなクルマの原点として、軽自動車を日々安心して利用できるようにする道筋が適しているのではないだろうか。

