●実弟による謀反のトラウマがよみがえる
テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、12日に放送されたNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(総合 毎週日曜20:00〜 ほか)の第14話「絶体絶命!」の視聴分析をまとめた。

小栗旬 (C)NHK

○自らの足に刀を突き刺し殿を志願

最も注目されたのは20時27分で、注目度78.0%。織田信長(小栗旬)が京に向かって山を越えるシーンだ。

殿(しんがり)を藤吉郎(池松壮亮)と小一郎(仲野太賀)たちに任せた信長は必死に京に向かって進んでいた。義弟・浅井長政(中島歩)の突然の裏切りに直面した信長は、初めはその裏切りをざれ言として取り合わなかった。

市(宮崎あおい)から届いた紙にくるまれた小豆を見た竹中半兵衛(菅田将暉)は、前と後ろを塞がれた袋のネズミを現していることを見抜くと、小一郎も紙に市の名だけが記されていることから、かつて長政に嫁ぐ前の市とのやり取りを思い出し、長政謀反の証しであると確信する。数々の証拠を突きつけられた信長は激高し、無謀にも朝倉・浅井連合軍を迎え撃とうする。家臣団の制止にも耳を貸さなかったが、藤吉郎は自らの足に刀を突き刺し殿を務めることを申し出る。その体を張った説得により、信長はようやく冷静さを取り戻し、藤吉郎と京での再会を約して退却を決断した。

「まさか、敵の目を欺くために馬をお捨てになるとは…」柴田勝家(山口馬木也)がそう語るように信長たちは険しい山道を徒歩で進んでいた。「しかしこれでは京までどれほどかかるか…」続く前田利家(大東駿介)は携えた槍を杖代わりにしながら疲れた表情で弱音を漏らす。信長に従う家臣たちは皆荒い息をつき、疲労困憊の様子がありありと見て取れる。先頭を行く信長もまた疲れを隠せないものの、その瞳にはなお強い光が宿り、確かな足取りで前へと進み続けていくのだった。

『豊臣兄弟!』第14話の毎分注視データ推移

○「本当に無理して冷徹に振舞っていたんだな」

このシーンは、緊迫した「金ヶ崎の退き口」の描写に視聴者の注目が集まったと考えられる。

朝倉氏討伐のために出陣した信長は破竹の勢いで突き進み、金ヶ崎城まで到着した。朝倉義景(鶴見辰吾)にあと一歩まで迫ったところで、浅井長政の謀反という信じがたい報告が届く。信長の頭には、実弟・織田信勝(中沢元紀)が謀反を起こした時のトラウマがよみがえり、いつになく激しく取り乱した。

そんな信長を藤吉郎は身体を張って説得。これまで常に冷静で的確な判断を下してきた信長が、信頼を置いていた長政の裏切りに冷静さを失う姿が印象的だった。

SNSでは「信長さま、再び弟と敵対する事から必死で目をそらしたがるのがお労しい」「信長、本当に無理して冷徹に振舞っていたんだな」「長政を信じたいんだろうけど、証拠が揃い過ぎてるし、聡明な半兵衛と小一郎の進言だからな」と苦悩する信長にコメントが集まった。また、「頭に血が昇ってるやつを止めるにはそいつよりもおかしなことするのが一番だもんな」「藤吉郎がどれだけ信長へ心酔してるかが伝わってきたな」と藤吉郎の機転に称賛が寄せられた。

命からがら京へ逃げ帰った信長だが、史実では松永久秀(竹中直人)の尽力があった。近江・高島郡朽木谷の領主だった朽木元綱を久秀が説得し退路を確保したといわれている。元綱はもともと浅井氏に属していたが、これを機に信長に仕えるようになった。

また第11話に描かれた1569(永禄12)年の本圀寺の変でも朽木谷より駆け付けて防戦に加わっている。信長の死後は豊臣秀吉に仕え、1600(慶長5)年の関ヶ原の戦いでは当初西軍に属していたが、小早川秀秋に応じて東軍に寝返った。

●猿・藤吉郎、犬・前田利家の争いに猫・竹中半兵衛が参戦
(C)NHK

今回は前回に引き続き1570(永禄13)年の様子が描かれた。最も注目されたシーン以外の見どころを紹介していく。

まずは、ケンカするほど仲がいい藤吉郎と利家に竹中半兵衛が猫として加わったシーンが挙げられる。殿を務めることになった藤吉郎に対し、利家は自ら志願して同行を申し出たつわものの家来を貸し与える。内心では大いに喜んでいたであろう藤吉郎だが、いつものように猿と犬の真似た軽口を叩き合う。しかし去って行く利家に大きく頭を下げて感謝の意を示した。

その後ろで2人のやり取りを聞いていた半兵衛はこっそりと猫の真似で加わっていた。SNSでは「猿と犬のけんかに猫が加わっているの笑える」「確かにとらえどころのない半兵衛は猫っぽいかも」と猫・半兵衛へのコメントが集まった。この後、藤吉郎たちに策を説明するシーンでも半兵衛の描いた絵には猫が描かれていた。今後も半兵衛は猫キャラとして描かれるのかもしれない。

○小一郎と藤吉郎、仲間たちとともに時間を稼ぐ

次に信長が京へ帰る時間を稼ぐため、死に物狂いで時間を稼ぐ小一郎と藤吉郎のシーンが挙げられる。信長から指定された2刻を稼ぐために、絶望的な戦力差がある中、藤吉郎たちは半兵衛の策を頼りに立ち向かう。士気も高く、皆で協力して朝倉軍の追手を迎撃するが、数の差は如何ともしがたく徐々に追いつめられる。

そこに浅井長政が自ら軍を率いて現れた。半兵衛の策すらも尽き果てたが明智光秀(要潤)が援軍に現れ九死に一生を得る。そして2刻が過ぎ、小一郎たちは見事に困難な任務を果たした。SNSでは「今孔明・竹中半兵衛の面目躍如だな」「藤吉郎たちのチームワークすごいな」と藤吉郎たちの奮戦が話題となっている。

また、今回朝倉軍の武将として福井県敦賀市出身のお笑い芸人・岡野陽一が登場した。短い出番ではあったが、火薬を浴びて前野長康(渋谷謙人)に討ちぬかれ爆死するという壮絶な最期を披露する。SNSでは「福井県繋がりかな?」「せっかくの武将役なのにまさかの爆死!」と盛り上がりを見せた。

(C)NHK

○徳川家康(松下洸平)、小一郎と藤吉郎に危機感を抱く

最後に、見事に生還した小一郎と藤吉郎に危機感を抱いた家康のシーンが挙げられる。

藤吉郎のおかげで殿を免れた家康は痛み止めと偽ってかゆみ止めを送った。しかし家康を尊敬している藤吉郎にはプラシーボ効果が働いたようだ。足を鮮血で染めながらも藤吉郎は1人も仲間を失わず、見事に殿を務め上げた。これには家康も驚いたようで、最近まで名前も覚えていなかった藤吉郎と小一郎に強い恐怖心を抱いた。

SNSでは「やっぱりただの狸じゃないね。先見の明があるな」「ついに警戒対象として認めたね。柔軟なところもあるんだな」と家康の人物評が評価されている。

徳川家康は非常に健康に気を遣う人物であり、自ら薬の調合や研究を行うほど医薬に強い関心を持っていた。単なる興味の域を超え、日常的に薬を用い、さらには家臣や周囲にも処方することがあったと伝わっている。家康は漢方薬の知識もあり、自分で調合して服用していた。特に胃腸薬や滋養強壮薬に関心があり、体調管理を徹底していたそうだ。

戦国時代は医療が未発達であり、健康管理は武将にとって生死を分ける重要事項だった。75歳まで生きた家康は戦国武将としてはかなりの長寿であり、薬や食生活へのこだわりがその要因だったといわれている。

きょう19日に放送される第15話「姉川大合戦」では、織田信長が朝倉・浅井の連合軍への反撃に乗り出す。市の身を案じる小一郎と藤吉郎。そしてついに姉川を舞台に織田軍と朝倉・浅井連合軍の対決の火ぶたが切って落とされる。





(C)NHK

REVISIO 独自開発した人体認識センサー搭載の調査機器を一般家庭のテレビに設置し、「テレビの前にいる人は誰で、その人が画面をきちんと見ているか」がわかる視聴データを取得。広告主・広告会社・放送局など国内累計200社以上のクライアントに視聴分析サービスを提供している。本記事で使用した指標「注目度」は、テレビの前にいる人のうち、画面に視線を向けていた人の割合を表したもので、シーンにくぎづけになっている度合いを示す。 この著者の記事一覧はこちら