「孫が来なくなった。でも、もういい」お金を出せないと告げた途端に広がった息子一家との距離…年金月21万円・73歳祖母が悟った「本当に大切にすべきもの」
「お金を出せない」と言った途端、孫が来なくなった――。そんな経験をした女性がいます。かつては毎週のように通ってきた息子一家。しかし今は、スマートフォンに届く写真だけがつながりです。年金生活のなかで“孫費用”に悩み、下した決断の先に待っていた現実とは?
孫費用が重すぎる…正直に伝えた祖母
「最近はね、写真だけなんですよ。孫の顔を見るのは」
そう話すのは、都内で夫と二人暮らしをしている田島幸子さん(仮名・73歳)。スマートフォンを取り出し、見せてくれたのは孫2人の写真。運動会や誕生日の様子が画面に表示されます。
「こうやって送ってはくれるんです。でも……それだけなんですよね」
かつて、息子夫婦と孫たちは、毎週のように家に来ていました。食事を囲み、孫と遊び、にぎやかな時間を過ごす。帰ったあとはぐったりしても、「また来てね」と笑顔で送り出していたといいます。
「大変でしたけどね、それでもうれしかったんです。“おばあちゃん”って呼ばれるのが」
しかし、食事代やおやつ代、ちょっとしたプレゼント。誕生日や行事が重なれば、出費はかさみます。夫婦で月21万円の年金。上の孫の小学校入学時には、ランドセルや勉強机を「祖父母からのプレゼント」としておねだりされました。
これからかかる教育費についても、「自分たちだけじゃ大変で」と援助を期待する言葉をかけられていました。しかし、貯蓄は無尽蔵ではありません。
夫と相談した幸子さんは、思い切って口にしました。
「年金暮らしであまり無理はできないの。お金も、少し控えめにさせてもらえたら……」
場の空気が一瞬だけ止まり、息子と嫁からはすぐに「わかった、気にしないで」と返ってきました。そのときは、それで終わったはずでした。
けれど、その日を境に、すべてが変わりました。
息子も嫁も孫も来なくなり…スマホに届く近況だけ
毎週のようにあった訪問は月に一度になり、やがて数ヵ月に一度に。そして、今はお正月に半日来るのみ。代わりに届くのは、スマートフォンの画面越しの近況だけです。
「さみしくて、遠慮せずにいつでも来てねって言ったんですよ。でも来ない。それで、『お金をもらえないなら用はない』『金の切れ目が縁の切れ目』ということなのかなって気づいたんです」
その思いは静かな諦めへと変わっていきました。
ハッキリと伝えた結果、“孫費用”から解放され、体は楽になり、出費も抑えられています。そして、息子一家のためにという気持ちより、自分たちの老後に目を向けるようになりました。
「節約して、あの子たちに少しでも残せたらと思っていたんです。でも……やめました。この感じだと、私たちが弱ったときに面倒を見てくれることもなさそうですし。だったら、自分たちで使い切ったほうがいいなって」
少しだけ笑って、こう付け加えました。
「よく考えたら、それくらいのほうがさっぱりしていていいのかもしれませんね。お互い自分たちの暮らしを一番大切にして暮らすのが自然。あの時に言えずにいたら、今もきっと悩んでいたでしょう。だから、伝えてよかったですよ」
関係を守るために黙るか、それとも伝えるか
孫にかかる費用に悩む人は、決して少なくありません。けれど、「お金を出せない」と口にしたことで関係が変わってしまうのではないか――そう恐れて、言い出せずにいる人も多いのではないでしょうか。
幸子さんは、まさにその一歩を踏み出したことで、関係の変化を実感することになりました。ただ、何も言わずに無理を重ねていたとしても、いずれは限界が訪れていた可能性もあります。
表面上の関係を保つために我慢を続けるのか、それとも正直に線を引くのか。その選択に正解はありません。それでも、黙って抱え込むより、自分たちの現実を伝えたことに意味があったと、幸子さんは感じています。
関係が変わったとしても、それは「終わり」ではなく、かたちが変わっただけ。それを受け入れることも、老後の一つの選択なのかもしれません。
