「あと数年でETC使えなくなるかも?」 一部の車載器で問題化、なぜ? 迫る「セキュリティ問題」 日常でも注意すべき行動とは
使えなくなるETC車載器? 2030年問題と日常の注意点
料金所をスムーズに通過できる決済システムは、多くの自動車利用者に普及しています。
しかし、現在使用中の機器が将来的に利用できなくなる規格変更が予定されていることや、日々のカード管理に関するリスクは、十分に認知されていない場合があります。
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今回は、近い将来の規格変更の背景と該当機器の確認方法、そして安全な利用のための注意点を整理して解説します。
現代の自動車の利用において、高速道路などの有料道路を通過する際の自動決済システムは広く浸透しています。
国土交通省のデータによれば、2024年11月時点での利用率は95.1%に達しており、大半の運転者がこの仕組みを利用して道路を通行している状況です。
料金所で一時停止することなくスムーズに通過できるこのシステムは、渋滞の緩和や支払い手間の軽減など、自動車移動における利便性の向上に大きく寄与してきました。
しかし、このシステムを利用するための車載器は、一度車両に設置すれば半永久的に同じ条件で使用し続けられるわけではありません。
現在、国土交通省をはじめ、東日本高速道路、中日本高速道路、西日本高速道路、首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡高速道路およびITSサービス高度化機構といった各関係機関から、将来的な「セキュリティ規格の変更」に関する告知が行われています。
この規格変更は、一部の利用者間で「2030年問題」とも呼称されており、使用している機器の仕様によっては、近い将来に決済システムとしての機能を利用できなくなる時期が迫っているという事象を指しています。
これまで問題なく稼働していた機器であっても、規格の適合状況によっては将来的に買い替えなどの対応が必要となるため、すべての利用者が自身の使用環境を改めて確認しておく必要があります。
◆セキュリティ問題とは
このセキュリティ規格の変更は、システムにおいてユーザーの決済情報を将来にわたり安全に保護することを主な目的として計画、実施されるものです。
情報通信技術およびネットワーク環境は日々進化を続けており、それに伴って第三者による情報の改ざんやシステムへの不正アクセスといった脅威の手法も高度化しています。
現在の旧セキュリティ規格のままで長期的に運用を続けた場合、将来的に情報漏洩や不正利用などのセキュリティリスクが高まる懸念が存在。
そのため、システムの安全性を維持し、利用者のデータを保護する観点から、より強固な情報セキュリティ技術を採用した新しい規格への移行が不可欠となります。
この移行措置の実施に伴い、旧セキュリティ規格を採用している機器は、遅くとも2030年頃までにはネットワーク上での使用が制限される予定。これは決済の基盤となる安全性を担保するための不可避な技術的アップデートです。
すでに市場では、将来実施されるセキュリティ規格の変更に対応した「新セキュリティ対応車載器」の販売が開始されており、段階的な移行が進められています。
◆該当する機器の見分け方
自分の車両に設置して使用している機器が、新しい規格に対応した「新セキュリティ対応車載器」であるか、あるいは将来的に使用できなくなる「旧セキュリティ対応車載器」であるかを確認・識別する方法は複数用意されています。
主な識別方法は、機器ごとに割り当てられている「車載器管理番号」の数値を確認する方法と、機器本体に描かれている「識別マーク」の有無を確認する方法の2種類に大別されます。
1つ目の方法は、車載器管理番号の数字の配列による確認です。
車載器管理番号は19桁の数字で構成されており、この19桁の始まり(左詰)の最初の数字を確認することで規格の区分を判別することができます。
管理番号の最初の数字が「1」から始まっていれば、その機器は新セキュリティ対応車載器です。一方、最初の数字が「0」から始まっている場合は、旧セキュリティ対応車載器に該当します。
この19桁の管理番号を調べる手段としては、機器に付属している取扱説明書や保証書を確認する方法 、セットアップを行った際の「車載器セットアップ申込書(Web等)」や「車載器セットアップ証明書」の記載内容を確認する方法 、あるいは車載器本体に貼り付けられている型式登録ラベルなどの印字を直接目視で確認する方法があります。
さらに、機器がカーナビゲーションシステムと連動している構成の場合、ナビゲーションの画面上に車載器情報を表示させて管理番号を確認できる機種や、車載機の音声案内機能を用いて番号を読み上げさせることで確認できる機能を持つ機種も存在します。
2つ目の方法は、車載器本体の表面などに印字されている識別マークによる確認です。
この判別方法は、使用している機器の種類(専用品か、ETC2.0/DSRC対応品か)によって基準が異なります。
まず、通常の車載器(専用)の場合、機器本体に「●●●」という3つの小さな丸印のマークが印字されていれば、新セキュリティ対応車載器となります。この「●●●」のマークが存在しないものは、旧セキュリティ対応車載器です。
次に、ETC2.0やDSRCに対応した車載器の場合の判別基準です。
本体に「ETC2.0」のロゴマークが記載されており、かつ「■」の四角いマークが記載されていないものが新セキュリティ対応車載器に該当します。
一方で、本体に「DSRC ETC」というロゴが記載されているもの 、あるいは「ETC2.0」のロゴの下部などに「■」のマークが併記されているものは、いずれも旧セキュリティ対応車載器となります。
ただし、機器の型式や製造時期によっては、設計上これらの識別マーク自体が最初から描かれていない製品も存在します。
上記の方法で確認作業を行っても新旧の識別ができない場合や、判断に迷う場合は、自己判断を避けるべきです。
その際は、自動車を購入した販売店や、機器の取り付けおよびセットアップ作業を行った店舗に直接問い合わせて確認することが推奨されています。
また、セキュリティ規格の変更に関する一般的な質問については、ITSサービス高度化機構や各高速道路のお客様センターなど、複数の問い合わせ窓口が設けられており、年中無休や24時間体制で対応している窓口もあります。
◆セキュリティ問題の対応
所有する車載器が旧セキュリティ対応製品であることが判明した場合、直ちに使用できなくなるわけではありませんが、将来的な移行期限(2030年頃)を見据えた対応策を検討する必要があります。
システムの規格変更が完全に実施された後は、旧規格の機器を用いて料金所の通信レーンを通過しようとしても、正常に決済情報が送受信できず、開閉バーが開かない状態となります。
そのため、期限を迎える前に、あらかじめ新セキュリティ対応車載器への本体交換を行うことが唯一の抜本的な対応策となります。
交換のタイミングについては、車検の時期や車両自体の買い替えのタイミングに合わせることで、作業の手間を軽減できる場合があります。
特に、中古車を購入した場合や、10年以上同じ車両に乗り続けており機器を一度も更新していないケースでは、搭載されている機器が旧規格である確率が高いため、現在の状態を早期に把握しておくことが重要です。
日々の取り扱いにも注意!? その行動やめたほうがいいかも?
車載器のハードウェアに関する将来の規格変更問題に加えて、日々の利用環境における「カードの取り扱い」に関しても、利用者が認識しておくべき重要な注意点が存在します。
機器が最新であっても、カードの管理方法が不適切であれば、様々なトラブルや事故の原因となります。
最も留意すべき行為の一つが、車両から離れる際にカードを機器に挿入したまま放置する「挿しっぱなし」の習慣です。
ETCカードはクレジットカードの一種であり、防犯の観点からも、車両から離れる際は必ず機器から抜き取り、運転者自身が携帯して厳重に管理することが基本原則とされています。
車載器は、ダッシュボードの上や運転席周辺の足元など、車外から目視で確認しやすい位置に設置されていることが少なくありません。
カードが挿入されたままの状態の車両は、車上荒らしなどの標的となりやすい環境を作り出します。
万が一、カードを挿入したままの状態で盗難の被害に遭い、第三者に不正利用されてしまった場合、クレジットカード会社の規約により補償の対象外となるおそれがあります。
多くの規約では、会員がカードを車内に放置していたことに起因する紛失や盗難について、会員側の「重大な過失」があったものとみなす規定が設けられており、その結果、不正利用された金額を全額自己負担しなければならない事態に陥る可能性があります。
防犯面以外にも、物理的な不具合を誘発するリスクがあります。
車内は季節によって温度変化が激しく、特に夏季の直射日光による高温環境下では、放置されたカードが熱で変形するなどして使用できなくなるケースがあります。
また、カードに埋め込まれているICチップはデリケートな精密機器です。
常に車載器に挿入したままの状態で運用すると、端子部分に微細な汚れが蓄積したり、冬場などの乾燥した時期に衣服の摩擦で生じた静電気の影響を受けたり、車両の走行による継続的な振動が加わったりすることで、ICチップの接触不良を引き起こす原因となります。
このような物理的な劣化や接触不良が発生すると、外見上はカードに異常がないように見えても、料金所を通過する際の通信エラーとして突如顕在化します。
通信に失敗すると開閉バーが開かないため、結果として料金所の手前で急ブレーキを踏むことになり、後続車両との追突事故を引き起こす重大な危険性が生じます 。
出発前に行う動作確認も欠かせません。
機器へのカードの挿し忘れや、奥まで挿入されていない挿し込み不良により、エラーが発生してバーが開かない事例が発生しています。
カードは出発した時点で機器に確実に挿し込み、正しく動作することを事前に確認する必要があります。
機器は、カードを挿入してからシステム上で利用可能と認証されるまでに一定の時間を要します。
そのため、走行中に同乗者が料金所のレーンの直前で慌ててカードを挿入すると、認証処理が間に合わずエラーが発生し、バーが開かない場合があります。
またカードの有効期限の確認も重要です。
クレジットカードと同様に有効期限が設定されており、期限切れのカードでは料金所のバーは開きません。
注意すべき点として、期限切れのカードを機器に挿入した場合でも、機器そのものはカードを正常に認証したと誤った音声案内や表示を出す機種が存在することが挙げられます。
そのため、機器の反応だけに頼るのではなく、必ずカードの券面に印字されている有効期限を直接目視で確認する習慣づけが必要です。

一部の高速道路では、こうした挿し忘れや期限切れによる進入を防ぐため、料金所の手前に「ETCカード未挿入お知らせアンテナ」が設置されています。
カードの挿し忘れや挿し込み不足があった状態でこのアンテナを通過すると、機器の音声や信号音による警告でお知らせする機能があります。
もしこのような音声や信号音による警告があった場合は、そのまま専用レーンに進入することはできません。
その際は、「一般」または「ETC/一般」と表示されたレーンを利用し、通行券を受け取るなどの適切な対応を行う必要があります。
日々の適切な管理を習慣化するための工夫として、運転免許証とカードを同じポーチに収納し、車両を降りる際に必ずセットで持ち出すようにする管理方法があります。
この方法は、カードの放置を防ぐと同時に免許の不携帯を防止する効果も期待できます 。また、近年の機器に搭載されている、エンジンを切った際に「カードが残っています」と警告する音声案内機能などを積極的に活用することも、抜き忘れ防止の助けとなります。

