60代、今また「美容とおしゃれ」が楽しい!無印良品のメンズTシャツがぴったり
数多くの女性誌や書籍の執筆を手がける、ライターの一田憲子さん(60代)。歳を重ねるなかで気がついた、人生の後半を楽しむヒントを紹介します。今回は、再び美容やファッションに目覚めたきっかけについてです。今まで着ていた服が似合わなくなったときの対処法もぜひ参考に。
※ この記事は『最後の答えは、きっと暮らしの中にある。』(内外出版社刊)に掲載された内容を一部抜粋・再編集して作成しています

大人の適度なミーハー心が新しい風を起こす
最近の私は、柄にもなくお肌のお手入れにこっております。もともと美容なんてまったく興味がなく、テニスをするときにも、ほかのスクール生全員が顔を覆うフェイスカバーを装着しているのに、その不気味な姿がなんだかイヤで、私だけ顔を丸出し! 多少日焼けしたっていいや、テニスが楽しければ、というたちなのです。
肌ケアを始めたきっかけは、1通のメールからでした。吉祥寺で「ギャラリーフェブ」を営む引田かおりさんは、「こんないいもの見つけたのよ」と、ご自身が出合ったものや人のことを、いつも惜しげなくシェアしてくださいます。
そのメールには、最近行き始めたという吉祥寺のエステサロンと、「聞いているだけでおもしろいの!」というメイクアップ研究家のインスタライブの情報が書いてありました。
エステなら、きっと1万円以上はかかるはず。私は今さらそんなに顔にお金をかけなくていいよな、と思ったものの、かおりさんがそこまで「推し」ているには、なにか理由があるはず…と、試しに1回だけ行ってみることにしました。
ちょうど最近、自分の写真がなんだかイケてないなあ、ほうれい線が濃くなったなあと感じていたのも事実で、そのことを相談してみよう、と思って。
予約して訪ねたのはマンションの3階。そこでソフトなピーリングを受けることになりました。ピーリングは元来肌を剥離して新しい肌を再生させるものですが、今回受けたのは、肌の再生を促して内側から育てるというソフトなもの。
はたして効果があったのかどうかはまだわからないけれど、施術してもらっている間は「大切にケアしてもらっている」という感覚を味わうことができて極楽、極楽!

もうひとつのインスタライブは、メイクアップ研究家が、朝6時から自分でスキンケアをしてメイクをする様子をおしゃべりしながらライブ配信するものでした。たちまち引き込まれて、彼女が開発したというスキンケアセットをオンラインストアで買ってみました。
私ったら影響されすぎ? とも思ったけれど、すぐになんでもやってみたくなる性分です。化粧水は、一度にたくさんではなく、少しずつ手に取って何度も馴染ませる「ミルフィーユ塗り」がいいとか、お風呂に入って蒸しタオルを顔に1分ほどかけるだけで肌の調子が変わるとか、いろいろなことを知って試してみました。
こうして、偶然にもなんだか美容月間のような日々を過ごしている昨今。少しずつ肌の調子がよくなっている気がするのは、気のせいでしょうか?
効果がどうであれ、新しい習慣を試す、という体験はワクワクするもの。取材ですてきな年上の女性に知り合うと、彼女たちに共通するのはみんな適度な「ミーハー心」をもっているということです。若者のように流行りものに飛びついてみる。すると、そこで新しい仲間が生まれ、その人の周りにはいつも愉快そうな空気が流れていました。
じつは私はそんな「ミーハー」が苦手。ルンルン言っている人たちのそばで「へ〜」と冷たい目でその様子を見ているだけ、というタイプです。でも、歳を重ねるにつれ、若いときのように次々と刺激的な体験がやってこなくなると、自分で風を起こさなくちゃいけないんだ、とわかってきました。「へ〜!」と飛びつくスピード感は、歳を取れば取るほど大事なのかも。トライ&エラーにかけられる時間は、どんどん少なくなっているのですから。
新しい化粧水や保湿クリームひとつで、毎朝が新しくなる! 「適度なミーハー心」とは、マンネリ化した人生を動かすための大人の好奇心の源なのだと思います。
今まで着ていた服が似合わなくなった日がきたら

先日、春夏もののパンツを2本買いました。信頼するブランドを見つけたら、あまり浮気をせずに、そのアイテムばかりを買い続けるというのが私のショッピングの基本です。でも、じつは先日買ったパンツ2本は、今までとはまったく違うブランドのもの。
ある日これまで当たり前に着続けていた服が、突然似合わなくなることがあります。今回もそうでした。今まで選んでいたのは、トラッドでキレイメなテーパードパンツが中心。その「きちんと感」が最近なんだか「イケてないなあ〜」と感じるようになったのでした。
そんなとき、セレクトショップのスタッフさんが履いていたのが「ハバーサック」のワイドパンツでした。ちょっとダボっとしたシルエットで、いつもなら「だらしないかも」と敬遠していたタイプ。でも、シルク素材なので、適度なツヤとしなやかさで、とても上品です。このワイドパンツにキレイメのTシャツを合わせていた彼女のコーディネートがすてきで真似したくなりました。
さっそく代官山の「ハバーサック」にくり出して、彼女と同じネイビーのシルクのパンツと、さらに同じ形でオフホワイトのコットンパンツをゲットしました。このブランドは男性の愛用者も多いユニセックス。お尻が極端に大きいのと、背が高くて、レディースだと丈が短いので、メンズを選ぶことが多い私にはぴったりです。
パンツに合わせるトップスに選んだのは「無印良品」のメンズのシンプルなTシャツです。メンズはレディースと違って、ウエストがシェイプされず、ストンとしたシルエットがシャープで、辛口に着こなすことができます。パンツがやや高価だったので、1枚2000円程度というリーズナブルな価格だったのもうれしいところ。トップスとボトムス、上手なメリハリをつけた買い物だったかも、とひとりで満足感にひたりました。
2011年に立ち上げた『大人になったら、着たい服』というムックは、50歳以上の方のためのおしゃれの本です。その取材で70代のすてきな先輩に教えてもらったひと言が、いまだに忘れられません。
それが「おしゃれに永遠の定番はない」というものでした。「え? おしゃれな人は、上質でシンプルな定番をずっと着続けるものじゃないの?」とびっくり。でも、その方は「同じチノパンでも、5年前のものと今年のものでは、サイズ感やシルエットがまったく違うんです。だから、『もうもってるし』というのは禁句なんです。同じ白シャツでも、Tシャツでも、時代に合わせてアップデートしないと、『古い人』になっちゃうんですよ」
それを聞いてなるほど〜!と納得しました。私が、「突然似合わなくなった気がする」と感じていた違和感は、時代に合わなくなる、という意味だったのかもしれません。そんな微妙な違いを見逃さず、「せ〜の」で買い替えるのが、大人のおしゃれのアップデート。

去年は、ずっと着続けていた定番のカシミアセーターの衿のあきが気になってきました。「もう少しつまった衿のものが欲しい」と探しに探し、老舗のニットブランド「ジョンスメドレー」のメンズのニットセーターを、ネイビーとグレーの2色、大人買い!
「ジョンスメドレー」となると、セーター1枚が5万円ほどします。それを2色買うのは、かなりの覚悟が必要。でも、若い頃と違って、「勝負服」は必要なくなるので、普段のベーシックなアイテムにこそ、がんばってお金をかけるのがいいかなと感じています。
あれこれ変化をつける必要はなく、多くの枚数も必要なく、セーターもパンツもTシャツも新しいものを2着ずつ。それを軸に、古いものと組み合わせて「今の気分」を楽しみます。おしゃれの始まりは「違和感」なんだと思います。
