運命の最終回に被打率.000の絶対的守護神は「使えなかった」 敗れた米代表監督が告白した“球団ありき”の裏事情「本当にどうかしている」【WBC】

最終決戦は登板機会のなかったミラー(C)Getty Images
指揮官は苦しい決断に迫られていた。現地時間3月17日に行われたワールド・ベースボール・クラシック(決勝)でベネズエラ代表に2-3と敗れた米国代表のマーク・デローサ監督の“ある采配”が物議を醸している。
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序盤戦で2点をリードされる劣勢の中で米国は、8回裏に主砲のブライス・ハーパーが値千金の同点2ランをマーク。試合終盤に一気に流れを引き寄せ、逆転への機運が高まっていた。
迎えた9回表の守りだった。デローサ監督は守護神のメイソン・ミラーではなく、ギャレット・ウィットロックを投入。しかし、今大会5登板目となる29歳の右腕は精彩を欠いた。先頭打者のルイス・アラエスを四球で歩かせると、あっさりと二盗を成功されて無死二塁のピンチを招く。
この窮地でもデローサ監督は続投を決断。結局、ウィットロックは4番エウヘニオ・スアレスに左中間を破られる適時二塁打を打たれ、決勝点を許していた。まさに土壇場の攻防で米国は力尽きたのである。
決して守護神の状態が悪かったわけではない。今大会のミラーは4試合に登板して、無失点。計4イニングのスモールサンプルながら奪三振率22.50、被打率.000、WHIP0.50の支配的数字を叩き出していた。
だが、デローサ監督はミラーを使わなかった、いや使えなかった。米紙『USA Today』などによれば、試合後の会見で指揮官は「パドレスを尊重した。もしも、我々がリードしていれば、彼を投入するつもりだったが、同点の状況で彼を投入することはできなかった」と告白。保険適応などの“縛り”の都合からセーブ機会でしか登板を許可されていなかったという驚きの内部事情が明らかになった。
ここにサッカーのワールドカップとは一線を画すWBCのいびつさがある。代表チームが置かれた切迫した状況よりも、レギュラーシーズン開幕を控える球団の事情が最優先にされるのだ。
当然ながら敗因とも言えた采配、そして“裏事情”には批判が噴出。米メディア『DraftKings』の番組などに出演するインフルエンサーのジョーダン・ムーア氏は自身のXで「セーブシチュエーションでない限り、ミラーは登板できなかったなんて……。これは心底馬鹿げてる。本当にどうかしているルールだ」と断じた。
もしも、あの場面で違う起用法ができたなら――。スポーツの世界に「たられば」は付き物だが、タイトルの懸かった一戦に敗れた直後では、そのハレーションは大きさを増す。
無論、長丁場のレギュラーシーズンを控える選手たちを「守るため」の措置ではある。とはいえ、WBCの競争力をより高めていくなら、開催時期を含めて改善すべき事情だと言えるのではないだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
