『未来のムスコ』©TBSスパークル/TBS

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 志田未来が主演を務めるTBS系火曜ドラマ『未来のムスコ』がクライマックスに突入する。本作は、人生に行き詰まったヒロイン・未来(志田未来)が、2036年からタイムスリップしてきた未来の息子・颯太(天野優)と出会うことから始まる物語。俳優になるという未来の夢の行方はもちろんのこと、多くの人が関心を寄せているのは、彼女がいずれ結婚する夫“まーくん”の正体だろう。

参考:『未来のムスコ』“まーくん”探しはふりだしに “未来”志田未来ד真”兵頭功海の別れ

 候補者は、未来が所属する劇団「アルバトロス」の座長で元カレの将生(塩野瑛久)、未来に憧れる後輩俳優の矢野真(兵頭功海)、颯太が通う保育園の先生で未来の初恋の人・優太(小瀧望)の3人だ。日本では『美男ですね』(TBS系)や『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系)など、「ヒロインが複数人の男性の中から誰と結ばれるか」が主な焦点になった作品が過去にも話題を呼んできた。多くの場合、中盤くらいでその相手がおおよそ予想できてしまうものだが、本作に至っては最終回目前でもまだ読めない。

 その最大の理由は、“まーくん”候補が三者三様に魅力的すぎること。将生は少々子どもっぽくて、いい加減なところもあるけれど、未来の夢を誰よりも応援してくれていて、ピンチのときには必ず駆けつけてくれる熱くて優しいところもあるから憎めない。真はクールなしっかり者と思いきや、意外にも不器用、かつ未来に一途な思いを寄せており、母性本能をくすぐられる。しかし、アラサー世代の筆者が一番に惹かれるのは優太だ。特に「結婚するなら」「一緒に子育てするなら」という視点で見たときに、自ずと理想の男性として浮上してくるのは彼ではないか。

 不注意から颯太を見失ってしまい、途方に暮れていた未来の前にヒーローのごとく現れた優太。その後、颯太が見つかり、真っ先に叱りつけてしまった未来を「子どもは突拍子もない行動を取ったりするけど、ちゃんと理由があるから。叱る前に聞いてあげて」と優しく諭したときには、「絶対に優太がまーくん。もうこの人しかいません!」と思ったものだ。当初、未来は颯太がタイムスリップしてきたことを隠しており、周りからしたらシングルマザーで子どもの住民票も持っていないという怪しさ満点の状態。それなのに何も聞かず、常にフラットな視点で親子を支えてくれる優太は誰が見ても“いい人”である。

 そんな優太を演じる小瀧はWEST.のメンバーで、デビュー前からアーティスト業と俳優業を両立し、マルチに活躍してきた。2020年には舞台『エレファント・マン THE ELEPHANT MAN』で重度の奇形を負った主人公を特殊メイクに頼らず、類稀な身体表現で演じてみせ、第28回読売演劇大賞で杉村春子賞と優秀男優賞をW受賞したことも話題に。舞台で培ったその高い演技力はドラマや映画でも遺憾なく発揮されている。筆者が役者としての小瀧を認識したのは、2018年に放送されたドラマ『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)。相葉雅紀演じる心優しき獣医師・高円寺こと“コオ先生”を主人公としたヒューマンドラマで、小瀧は達也に影響を受け、成長していく獣医大生の広樹を好演した。広樹はまっすぐだけど、ちょっぴり間の抜けた愛されキャラで、事務所の先輩後輩の間柄である相葉と小瀧のコミカルなやりとりも見どころの一つだった同作。あれから8年が経ち、現在の小瀧に相葉と似た魅力を感じるのは筆者だけだろうか。

 一つは、子どもや動物と対峙したときに溢れ出る圧倒的な“安心感”。小瀧といえば、2025年10月期のドラマ『小さい頃は、神様がいて』(フジテレビ系)で主人公夫婦の小倉渉(北村有起哉)とあん(仲間由紀恵)の息子・順を演じたことも記憶に新しい。順は幼い頃から両親が「子どもが二十歳になったら離婚する」と約束していたことを知っており、特に子育てに苦しんでいた母を気遣って生きてきた。ともすれば、「子どもがかわいそう」と渉やあんに批判が集まりかねない状況を回避していたのが、小瀧の存在だ。その一挙一動が誠実さと優しさに溢れており、両親の関係はともかく、順自身は愛されて育ったということがひしひしと伝わってきた。特に印象深いのは、同じマンションに住む子どもたちに何かを語りかけるときの向ける口調と眼差し。そこから感じられる愛情深さは、今回演じる優太とも共通する。優太が保育園の子どもたちと接する姿を見れば、小瀧自身、現場で子役の子どもたちと良好な関係を築いていることは明白だ。Paraviで以前配信されていたWEST.の冠番組『パパジャニWEST』で子どもと頻繁に接していたのもあるかもしれない。小瀧の演技には付け焼き刃ではない愛情が滲み出ており、見ていて安心感がある。

 またもう一つは、WEST.全体の魅力でもある「近所のお兄さん」のような“親近感”だ。相葉と同様、小瀧もどこか抜けた役を演じることが多い。『小さい頃は、神様がいて』の順も父に似て少しズレたところがあったし、『鹿楓堂よついろ日和』(テレビ朝日系)で演じたスイも温厚でインテリな雰囲気もありつつ、天然でついつい周りが世話を焼きたくなるようなキャラクターだった。優太はといえば、児童の親からも信頼が厚い保育士だが、こと恋愛に関しては不器用。自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先する“いい人”だからこそ、恋心を寄せる未来にもイマイチ積極的になれず、叔父の良純(マキタスポーツ)からダメ出しを受けることも。そういう親しみやすさを感じさせる要素を、小瀧はあざとくなく表現することができる。演技ではなく素でやっているのかと思わせるほどの自然さだ。大型犬のような安心感と愛嬌を持ち、老若男女から支持されそうな役を演じさせたら小瀧の右に出る者はいないのではなかろうか。

 さて『未来のムスコ』第8話では、未来と真が別れ、“まーくん”候補が将生と優太の二択に絞られた。そんな中、優太がついに動き出す。「自分が“まーくん”になる」と決意し、その思いを未来に伝えるべく好青年からワイルドな風貌に変身した優太。未来の決断が気になるところだが、もし優太が“当て馬”で終わってしまっても、いつか地上波で小瀧が“本命”になるラブストーリーを見てみたいものだ。(文=苫とり子)