●「熱量を全部ぶつけられました」
「むしろ、叩かれてるほうが心地いいかもしれない」――そう言い切った霜降り明星・せいや。国民的ドラマ『101回目のプロポーズ』の続編『102回目のプロポーズ』(FOD:3月19日20:00配信スタート/フジテレビ:4月1日から毎週水曜23:00〜)での主演という大役に、オファー当初は不安もあったという。

それでも挑戦を選んだ理由とは。名シーン再現の裏側や、ものまねをしてきた武田鉄矢との共演秘話、そして諦めかけた時に手を差し伸べてくれた人々への感謝を語った。

霜降り明星のせいや

○背中を押した鈴木おさむと武田鉄矢

今回の出演が決まってから「頭の中にずっと『SAY YES』(※『101回目のプロポーズ』の主題歌)が流れました(笑)」というせいや。社会現象となり今も語り継がれる名ドラマの続編だけに、オファーを受けた際は「大丈夫かな」と不安もあった。

それでも、企画の鈴木おさむ氏がかねてから「これはせいやでしか考えてない」と言ってくれていたこと、そして幼少期から憧れていた武田鉄矢が了承してくれたことが背中を押した。

叩かれる覚悟もあったというが、雑音も気にならなくなったという。

「今の世の中、いろんな人が叩かれてますけど、チャレンジしてる人が叩かれてるんですよね。『102回目―』もニュースになったら叩かれるかもしれないと思ったけど、それは挑戦してるから反響があるってことなんで、結局良いことじゃないですか。なんで、むしろ叩かれてるほうが心地いいかもしれないと思うようになってきましたね」

台本に目を通すと、「すごくテンポ感の良い世界観で、笑えるシーンも多いんです。武田鉄矢さんと僕の、ちょっとコントみたいなやりとりもあって、ふふって笑いながら読めました。芸人だから不安はあったんですけど、この作品なら面白いと思えました」と自信を深めた。

3月19日(木)20:00からFODで#1・#2話配信スタート、以降、3日に1話最新話配信
4月1日(水)23:00〜フジテレビで放送スタート ※一部地域除く※配信・放送は予告なく変更になる場合あり(C)フジテレビ">FODオリジナルドラマ『102回目のプロポーズ』(全12話)3月19日(木)20:00からFODで#1・#2話配信スタート、以降、3日に1話最新話配信4月1日(水)23:00〜フジテレビで放送スタート ※一部地域除く※配信・放送は予告なく変更になる場合あり(C)フジテレビ

○朝5時起き・深夜1時終了…撮影後は“廃人”に

撮影は、キャストのアイデアも前向きに採用してくれる現場だったそう。「演者ファーストの環境ですごくありがたかったです。撮れば撮るほど、“これ言いそうですね”、“これは言わなそうですね”ってキャラクターが固まっていくのが面白くて。ドラマの現場は慣れてないんですけど、すごく楽しくやらせていただきました。“あれできへんかったな”というのがあんまりなくて、熱量を全部ぶつけられました」と、充実の日々だったようだ。

売れっ子のせいやだけに、撮影スケジュールは異例の日程だった。「朝5時に起きて、終わるのが夜中1時みたいな日もありました。マジで疲れましたね。マネージャーに“この予定、ほんまに?”って聞いたら、泣きそうになりながら“頑張りましょう”って(笑)」

しかも、大みそかに生放送された『新しいカギ』の「カギダンススタジアム」の練習期間が重なった。「ドラマを撮ってる時は気持ちがハイになってるから乗り越えられるんですけど、終わって2週間くらいしてドッと疲れがきて、廃人みたいになりました(笑)」と振り返った。

●諦めかけた時に何かが起こる「夢がある世界」
今回演じるのは、99回プロポーズしてフラれてきた男。何度失敗しても諦めずに挑戦し続ける役柄だが、自身は「一度失敗したら粘って追わないので、逆かもしれないです。“意味ないからやめよう”ってなるほうです。『M-1(グランプリ)』も3回戦で落ちたら諦めようと思ってました」とのこと。

諦めそうになったり挫折しそうになったりすると、誰かが手を差し伸べてくれる感覚があるという。

「好きだった番組が終わったり、成功すると思ってた番組が急に終わったりすると、うわー!ってなるんですけど、誰かが見てくれてるんですよね。麒麟の川島(明)さんとか佐久間(宣行)さんがYouTubeで“せいや、めっちゃおもろい!”って言ってくれて、そういう一言で“大丈夫や”って思える。諦めかけた時に何かが起こるのが、夢がある世界やなって思います。あかん時ほど腐ったらあかん。テレビに出させてもらってまだ6年くらいなんですけど、周りの人が諦めるのを防いでくれてるんで、本当にありがたいです」

今回の役柄も「何をやっても全然うまくいかないんですけど、周りのみんなが手を差し伸べてくれるんですよね」と共通する部分があるといい、「海援隊さんの『人として』っていう歌に通じるんですけど、人と人とのつながりを描いているドラマだと思います」と実感した。

一方で、一度打ち込んだことには、とことん突き進んでいく性格だ。

「お笑いに関して、“もう十分やな”って満足することはないです。だって怖いですもん。有吉(弘行)さんなんて、『有吉クイズ』でいまだにロケ行ってるんですよ。上の人がずっと貪欲にやってるのを見ると、“順調にいってる”とは思わないですから。だからこのドラマも、仕事が来ただけでは手放しで喜べない。成功してほしいし、“TVerの再生数すごい回ってます”って言われたい。これは尽きないですね」

(左から)武田鉄矢、せいや (C)フジテレビ

○武田鉄矢の芝居に引き込まれて出た涙

武田鉄矢は幼少期から憧れていた人。自身は1992年生まれで“世代”ではないが、「昭和歌謡が好きでフォークソングも好きで、海援隊さんのアルバムを聴いてハマったんです」と、出会いを明かす。映画『プロゴルファー織部金次郎』を見て、「中1の時、ずっとものまねしてました(笑)」という通なファンだ。

撮影前に前作『101回目のプロポーズ』を見直したが、「武田さんに引っ張られて、“ものまねしてるやん”って言われないように意識したので、全然違う物語になってると思います」と力を込める。

それでも武田と2人でのシーンでは、大先輩の芝居に引き込まれた。「ずっとサシでしゃべるシリアスな場面が何個もあるんですけど、自然と涙が出たりして。武田さんの演技が引っ張ってくれたんです」と、感情を引き出されたという。

そんな武田から「お前、だんだん受けが上手くなったな」と褒められた時は、「めっちゃうれしかったです! セリフを“受ける側”って大事なんやなと思いました」と声を弾ませて回想。

また、楽屋に戻りながら「あの顔良かったな」と言ってくれたことも。武田いわく「自分が先輩にやってもらったことを投影してみた」そうで、せいやを一人の役者として見込み、接していたことがうかがえる。

○待ち望んだ一声で名シーンオマージュ

今作では、『101回目のプロポーズ』の代名詞と言える、トラックの前に飛び出して「僕は死にません!」と叫ぶ名シーンのオマージュも登場。自分が演じてみて、「僕、漫才のボケでやってたんですよ。それを、武田さんと同じ景色を見てるのかと思ったら、感動しましたね」と強く印象に残った。

このシーン、実は準備稿にはなかったが、最初の顔合わせで武田が「やろうよ」と提案して追加されたもの。「僕も“やりたいな”と思ってたんですけど、やっぱりあれは武田さんにしか“GO”は出せないですよね」と、待ち望んだ一声に感謝した。

役者として刺激を受けたのは、唐田えりかや伊藤健太郎ら若い俳優陣からも。「本当に引っ張ってくれて、自分の能力以上のものを引き出してもらった感じがありました。唐田さん、伊藤さんも、気づいたら涙を流していて、自分の演技でそんなことできると思ってなかったので、俳優さんってすごいなと思いました」と感服していた。



●せいや1992年生まれ、大阪府出身。近畿大学在学中、粗品とお笑いコンビ「霜降り明星」を結成。『M-1グランプリ2018』で優勝を果たす。現在のレギュラー番組は、個人として『ラブ!!Jリーグ』(テレビ朝日)、『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)、『ぐるぐるナインティナイン』『X秒後の新世界』(日本テレビ)、『ミラモンGOLD』(フジテレビ)、 コンビとして『霜降り明星のあてみなげ』(静岡朝日テレビ)、『新しいカギ』(フジテレビ)、『天才てれびくん』(NHK Eテレ)、『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)。YouTube『霜降り明星せいやのイニミニチャンネル』も展開し、著書『人生を変えたコント』は15万部以上のベストセラーとなった。