宇宙実験の洋上回収をドローンで支援へ エアロネクストがJAXA案件を受託
株式会社エアロネクストは2026年2月17日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の研究開発(製作)「海洋浮遊物回収支援ドローンの設計・製作」の公募において、業務を受託したと発表しました。期間は2026年1月から2026年3月までです。
宇宙からの帰還カプセルを「空」から探す
JAXA宇宙科学研究所(ISAS)は、観測ロケット実験で得たデータや装置を回収するため、観測ロケット実験データ回収モジュール「RATS」を開発・運用しています。観測ロケットは放物線軌道で飛行し海上に落下するため、回収する部分だけを宇宙空間で切り離して大気圏に再突入させ、海上に着水・浮遊した機体を回収する手順が取られます。RATSはインフレータブルエアロシェル(収納・展開可能な柔軟構造のエアロシェル)を採用し、大気圏突入から海上浮遊までを一体で担う設計です。
ISASによると、RATSは2021年7月に内之浦宇宙空間観測所から観測ロケットS-520-31号機で打ち上げられ、高度235kmに到達後、内之浦沖合約270kmに着水しました。海上で漂流する回収物は海流で移動するため迅速な探索が欠かせません。RATSでは位置情報をイリジウム衛星通信で送信できるようにしており、着水から約2時間後にヘリコプターで回収されたといいます。
上空からの視点で探索範囲を拡大
今回開発するドローンは海洋上の運用に特化した設計で、性能目標として自律的な範囲マッピング空撮とリアルタイム映像伝送、水上での離発着と浮遊、荷物の切り離しによる回収支援、そして移動するオペレーター(船舶)の座標への自律帰還が掲げられています。船舶より高い位置から探索することで探索可能範囲が広がり、マッピング機能で探索済みの範囲を定量化できる点が大きなメリットです。
揺れる船への着陸技術を応用
エアロネクストは独自の機体構造設計技術「4D GRAVITY」を軸にドローン開発を手がけています。2022年11月には国立広島商船高等専門学校との共同プロジェクトで、「準天頂衛星 みちびき」を利用し、自律航行船とドローンを協調制御させ、自律航行する船へのドローン着陸に成功したとしています。同社によると日本初の事例だといいます。

洋上で移動し、波で揺れる対象にドローンを自律制御で着陸させるノウハウは、今回の案件に直結するものです。また、同社は風洞試験やCFD解析(数値流体力学)の設備を社内に持ち、海洋上の厳しい風環境に対応する飛行性能の研究開発を進めています。
宇宙実験の回収運用をより柔軟に
同社発表によると、JAXAではこれまでGPS情報と目視を組み合わせた探索を行ってきましたが、時間と確実性に課題がありました。ドローンによる探索支援が実用化されれば、回収作業の迅速化と確実性の向上が期待でき、今後の観測ロケット・大気球実験の運用がより柔軟になりそうです。
文・編集/sorae編集部
参考文献・出典株式会社エアロネクスト - エアロネクスト、JAXAの海洋浮遊物回収支援ドローンの設計・製作を受託(PR TIMES)JAXA宇宙科学研究所 - インフレータブルエアロシェルと観測ロケット実験データ回収モジュールRATSJAXA宇宙科学研究所 - インフレータブル型データ回収システム(RATS2)エアロネクスト - 国立広島商船高等専門学校との共同プロジェクト
