小林虎之介×伊東蒼、『宙わた』“同窓会”対談 『テミス』に感じた優しさと温かさ
松山ケンイチ主演のNHKドラマ10『テミスの不確かな法廷』は『宙わたる教室』制作チームが贈る法廷ヒューマンドラマ。『宙わたる教室』で窪田正孝扮する理科教師・藤竹叶に導かれる定時制高校科学部の柳田岳人を演じた小林虎之介が『テミスの不確かな法廷』第1話にゲスト出演し、大きな反響を巻き起こした。さらに第3話と第4話には、同じく『宙わたる教室』で定時制高校科学部の佳純を演じた伊東蒼が出演する。
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そんな『宙わたる教室』の同窓会企画として、小林と伊東が対談。撮影当時の思い出を振り返ってもらうとともに、『テミスの不確かな法廷』への出演が決まったときの心境や現場の雰囲気について、たっぷりと語ってもらった。(取材は第1話放送後に実施)
●『宙わたる教室』でのかけがえのない時間
――『宙わたる教室』(以下、『宙わた』)の放送から約1年が経ちますが、お会いするのはいつぶりですか?
小林虎之介(以下、小林):お肉ぶりかな? 僕たち、撮影が終わったご褒美で神林伸太郎プロデューサーに美味しいお肉を食べさせてもらったんですよ。
伊東蒼(以下、伊東):その後、みんなでリトグリ(主題歌「Break out of your bubble」を歌ったLittle Glee Monster)さんのコンサートに行って以来じゃないですか?
小林:あ、そっか。そうだったね。
――久しぶりに再会してみて、いかがですか?
小林:やっぱりちょっと緊張するよね。
伊東:たしかに。でも、岸井ゆきのさんとお会いしたときに虎之介くんの話を聞いていたので(『恋は闇』(日本テレビ系)で小林と共演)、あまり久しぶりな感じはしないです。
――『宙わた』のグループチャットがあるとお伺いしたんですが、今でも共演者の皆さんと連絡を取ることはありますか?
伊東:誰かのお誕生日とか、イベントがあるときに動くことはありますね。
小林:ガウさんがイベントごとを大事にされる方で、率先してメッセージをくれるんですよ。いつもありがたいなと思っています。
――放送から時間が経った今、おふたりにとって『宙わた』という作品はどのような存在になっていますか?
小林:やっぱり未だに行く先々で話に挙がることが多いですし、『宙わた』を観た方からお仕事をいただく機会も結構あって。放送が終わっても、ずっと身近に感じています。
伊東:私も現場でスタッフさんや共演者の方から「『宙わた』良かったよ」って声をかけていただくことがすごく多いんです。あと先日、窪田さんにお会いしたときも……。
小林:(食い気味に)え、会ったの?
伊東:窪田さんが出演されている舞台『チ。―地球の運動について―』を観に行ったときにお会いしました。
小林:僕も観に行ったけど、会わずに帰っちゃった。うわー、いいなあ。
伊東:すみません。抜け駆けしちゃったんですけど(笑)、そういうときもすぐ撮影していた当時の雰囲気に戻れるのが嬉しくて。すごく大切な作品だなと思います。
――『宙わた』は細部にまでこだわりを感じる作品で、きっと話し合いが活発な現場だったのではないかと思いますが、おふたりが当時、新鮮さや驚きを感じられた部分はありますか。
小林:僕はまだそこまでたくさんの現場を経験しているわけではないので、違いとかはよくわからないんですけど、蒼ちゃんはどうなの? ものすごい数の作品に出てるじゃん。
伊東:私もそんなにですけど、いつも窪田さんが中心となって、藤竹先生のことだけじゃなく、そのシーンに関わる全員のことを考えてくださっていたのが印象に残っています。あと、撮影している教室の隣でスタッフの皆さんが次の実験の準備されていたじゃないですか。実験して思うような結果が出なかったとしても、すぐに切り替えて次にどうしていくかを考えられていて。それと同じような空気感が、撮影の現場にも常にあったような気がします。
小林:今、それ聞いてすごい思い出した。僕たちもたまに実験を覗かせてもらっていたんですが、やっぱりその結果に対して興奮するんですよ。「おお、すげえ!」みたいな。そのリアルな驚きや感動を、そのままお芝居に活かしていましたね。
――現場は最初から和気あいあいとした雰囲気だったんですか?
小林:どうだったかな……。でも僕は最初、藤竹先生に反発する役だったので、挨拶したあとは待機部屋を分けて、あえて距離を取るようなこともしていました。多分、窪田さんもそれがいいって思ってくださっていたんじゃないかな。でもそこにガウさんが入ってきて、蒼ちゃん、イッセー(尾形)さんと、どんどん人が揃うにつれて、現場が一つに纏まっていく感じがありました。
●キャラメルポップコーンで深まった仲
――本当にドラマと同じような感じだったんですね。出演者の皆さんの中でもおふたりは年が近いと思いますが、お互いの第一印象って覚えていたりしますか?
小林:僕は結構、覚えてるな。蒼ちゃん、ずっとポップコーンのことばかり話してたんですよ。「ポップコーンが大好きな伊東蒼です」って。
伊東:そんなこと言ってないです(笑)。
小林:言ってないか(笑)。でも、すごく好きだったよね?
伊東:好きでした。当時、キャラメルポップコーンにすごくハマっていて。そうしたら虎之介くんが「どこのキャラメルポップコーンが一番美味しいの?」って聞いてくださったんです。そこから徐々に仲良くなっていった気がしますね。
小林:たしかに蒼ちゃんから聞いて、いろんなところのキャラメルポップコーン食べたりしてた! あの時期が人生で一番、ポップコーン食べてたかもしれない(笑)。
――お互いのお芝居やお仕事ぶりはどのように見ていましたか?
小林:蒼ちゃんはとにかくお芝居が自然で。すんなり役に入っていくから、いつも「すごいなあ」と思いながら見ていました。でも、年が近いからお芝居のことも聞きやすくて、一度「お芝居入る前ってどんなこと考えてるの?」って聞いたんですよ。そしたら「お腹空いたとか、そんなことですかねー」って。何のヒントにもならない答えでびっくりしました(笑)。
伊東:だって、本当のことなんですもん(笑)。
小林:あはははは(笑)。そういうところが、あらゆる大物の方から天才と呼ばれる所以なんだと思います。
――小林さんにとって伊東さんは心強い存在だったんですね。
伊東:私もそうです。『宙わた』は台本上、フリーになっている場面も多くて、特に実験のシーンはほとんどセリフが書かれていなかったんですが、いつも虎之介くんがドラマと同じように先頭を切ってくれて心強かったのを覚えています。そんな風に撮影期間中はいつも岳人なのか、虎之介くんなのか分からないくらい、フラットなテンションでいてくださったので、そこに『宙わた』の世界が広がっていました。
●『テミスの不確かな法廷』現場は「同窓会」のような安心感
――『宙わた』チームが手がける『テミスの不確かな法廷』に出演オファーをもらったときは、どんな心境でしたか?
伊東:素直に嬉しかったです。同じチームでの作品に再び参加させていただく経験は初めてだったので、スタッフの皆さんにお会いできることが楽しみでしたし、ちょっと緊張もありましたけど、ワクワクしました。
小林:僕もめっちゃ嬉しかったですね。最初はちょっと同窓会みたいな雰囲気で、「うわー懐かしい!」みたいな感じでした。それがまた心地よくて。『宙わた』のような良い作品を一緒に作れたっていう過去があるので、新しい現場でも何かあったらすぐ相談できるし、お互いの呼吸みたいなものも分かっているので、すごくやりやすかったです。
――第1話放送後、SNS上で小林さんの証言台での演技に称賛の声が上がっていましたが、伊東さんはご覧になっていかがでしたか?
伊東:虎之介くんが泣いてるシーンに胸を締め付けられました。役の苦しさがすごく伝わってきて、「やっぱり、すごいな」って思いました。
小林:ありがとうございます。こんなにすごい方から褒められると、恐縮しちゃいますね(笑)。
――『宙わた』から1年経って、小林さんがご自身の変化を感じた部分があれば教えてください。
小林:変わったことは特になかったかもしれないです。ただ、短期間だからこそ自分を追い込まなくちゃいけないなと思ったのと、やっぱり『宙わた』チームの皆さんに成長した姿を見せたくて、テスト段階から全力で演じていました。そしたら肝心のときに涙が枯れちゃって。松山さんが「そういうときはスポーツ飲料、飲んだ方がいいよ」って自動販売機で買ってきてくれたドリンクをガブ飲みしたら回復したんですけど、ちょっと空回っちゃいましたね(笑)。
――裁判のシーンは緊張感もありそうですもんね……。伊東さんが出演する第3話、第4話(1月27日放送)の撮影はいかがでしたか?
伊東:裁判のシーンは、弁護士や検察官、証人のやり取りがテンポよく進むので、その応酬を追うだけでも最初は大変で(笑)。物事の進み具合や心情の変化を自分の中で整理しながら、演じていました。でも、そのスピード感の中に身を置いていると、自然と自分も役の感情にどんどん引き込まれていく感じがありました。
●松山ケンイチと窪田正孝の共通点
――松山さんの座長ぶりはどのように感じられましたか?
小林:僕はすごく窪田さんに似ているなと思いました。松山さんも常に周りを見ていて、ご自身が画面に映らないシーンの撮影にもお付き合いしてくださるんですよ。窪田さんもそうだったなと。あと、おふたりとも一つのことをとことん突き詰めるタイプですよね。蒼ちゃん、松山さんのトマトジュース飲んだ?
伊東:え、飲んでないです!
小林:へぇ~飲んでないんだ~。
伊東:今なんか「勝った」みたいな感じを出された(笑)。
――(笑)。松山さんが育てたトマトのジュースですか?
小林:そうなんですよ。ご自身の畑から獲れたトマトを生搾りしたもので、すごく美味しかったです。窪田さんもすごく健康に気を遣われている方だから、そういうところも含めて似ている気がします。
伊東:ボクシングもするっておっしゃっていましたよ、松山さん。
小林:窪田さんも『宙わた』の撮影現場で、シャドーボクシングしてたよね。よくアッパー打つんですよ(笑)。
伊東:懐かしい(笑)。松山さんも私が緊張していたら率先して輪に入れるようにしてくださって、すごく優しくしていただきました。
――おふたりは台本を読まれて、この物語のどういうところに魅力を感じましたか?
伊東:科学にしても法律にしても自分から学ぼうとしないと、なかなか普段は触れる機会がないじゃないですか。それを『宙わた』も『テミス』もすごく優しく紐解いて、身近に感じさせてくれるところが共通しているなと思いました。あとは主人公だけじゃなく、さまざまな立場のキャラクターが描かれていて、視聴者それぞれが一番感情移入しやすい人物を見つけながら楽しめる作品だと思います。
小林:僕はまだ1話しか知らないんですが、脚本がすごく読みやすくて面白かったんですよね。法廷ものってちょっとお堅いイメージがあったので、良い意味で裏切られました。第1話を観たら、また印象が変わって。法廷ものとしての面白さにこのチームならではの優しさと温かみが加わって、さらにはユニークな要素もちりばめられて、観終わって純粋にいい時間だったなと思う作品でした。
――小林さんは『恋は闇』や『あなたを奪ったその日から』(カンテレ・フジテレビ系)など複数のドラマに出演されたり、伊東さんは映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』で第47回ヨコハマ映画祭の助演女優賞を受賞されたりと、『宙わた』からの1年はおふたりとも大活躍でした。最後に2026年の目標を教えていただけますか?
小林:2026年は「追いつけ、伊東蒼」で(笑)。
伊東:そんなありがたいテーマで、いいんですか(笑)。
小林:でも本当に冗談じゃなく、こんなにすごい人たちと一緒にお芝居させていただいてたんだなって改めて思う場面が多くて。やっぱり『宙わた』は自然とみんなの仲が深まるような作品だったから、今でも共演者の皆さんの動向が気になるんですよね。
伊東:それは分かります。私もよく現場で、他の俳優さんとお話してるときに「『宙わた』の岳人がすごく良かった。素敵だよね」って言葉をいただくことが多くて。その度に自分まで嬉しくなるし、自分も頑張ろうと思えますね。
――本当に、同じ学校の卒業生みたいですね。
小林:その感覚に近いですね。僕は春から初の朝ドラ『風、薫る』(NHK総合)でヒロインの幼なじみも演じさせていただくので、頑張りたいと思います!
(文=苫とり子)
