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今秋発表されたGoogleのお家向けAI、Gemini for Home。10月末からアメリカにて招待制でアクセス開始も、待ちきれずに無理やり自分を招待するハックが出回るほど高い期待がかかっています。

早くGemini for Home試したいよー!とウズウズしていた米Gizmodo編集部のJames Pero記者。ある朝起きたら、長い順番待ちから脱出、アクセス権が届いていました。以下、早速試してみたPero記者のレビューをお届けします。

Google Homeのエコシステム内にいる人なら、Googelが次なる大改革と掲げるGemini for Homeがもう楽しみでしょうがないはず。できると言われていることはあれこれあるものの、ユーザーとして期待しているのは、Googleアシスタントが登場した10年前に思い描いた世界が現実になることです。

いざ、アクセス権を手にしてGemini for Homeを使ってみると…。思っていたことができるけど、できない。できないこともないけど、思っているようにはできない。なんだか微妙なフィーリングです。

理解できること、できないこと

Image: Adriano Contreras / Gizmodo US

Gemini for Homeが活躍する舞台としたのは、以前からずっと使っているGoogle Home mini。今回使用したのはGemini for Homeの無料版です。Gemini for Homeのポテンシャルを最大限引き出すヴァージョンではないものの、きっと多くの人が使うことになるであろうモデル。

無料版でも、GoogleがGemini for Home発表時に豪語していた、詳細なリクエストの理解はできるとのこと。…いや、Gemini for Homeができるように、こちらが寄り添ってやればできるというのが正しいですね。

Gemini for Homeに寄り添うとは、リクエストの仕方にコツがいるという話。

例えば、今、自分がいるリビング以外の電気をすべて消したいとします。この「〇〇以外」というのは、Gemini for Homeで可能になる詳細なリクエストに当たります。デジタルアシスタントを1度も使ったことがない人は驚くかもしれませんが、今までのGoogleアシスタントはこの「〇〇以外ぜんぶ」というリクエストを理解できませんでした。

Gemini for Homeは、このリクエストでリビングのライトが除外されていることは理解できました。が、消すライトを理解してもらうのには言い方にコツがいりました。「リビングのライト以外のライトを全部消して」ではうまく作動せず、「リビングのライト以外の我が家のライトをすべて消して」なら理解してもらえました。小さな言い回しの違いですが、Gemini for Homeの理解にとっては大きな意味があるようです。

Gemini for Homeの理解に関しては「戻る」という概念がないこともわかりました。

うちのリビング照明は色をピンクやブルーに変更できるので、Gemini for Homeへのリクエストで、ライトを無事ブルーにするのは大成功。ただ、ブルー照明で暮らすのはきついので、成功したあと「戻して」とリクエストしましたが、これは理解されませんでした。

そう、Gemini for Homeは「1つ前のアクションを取り消す」という戻る動作は理解できないのだといいます。

ブルー照明から逃れるには「ライトの色味を白に戻して」と言わなければなりません。が、これで戻った白が真っ白。個人的には橙がかった温かみのある照明が好きなので、それを口頭でなんとかGemini for Homeに説明しようとしましたがうまく伝わらず。

このさじ加減は人間同士でもあるかもしれませんが、結局は物理的にスマホを取り出し、ライトの専用アプリから色味を設定して変更することになり、未来感のない結果となってしまいました。

自然な会話はまだ無理?

「我が家の電気」や「戻して」の例でわかる通り、僕が最初にGemini for Homeに出したリクエストは、非常に自然な会話形式です。が、この自然な言い回しそのままでは理解ができなかったというのは、シンプルに残念。

10年前にデジタルアシスタントブームが来たときに思い描いたのは、自然な会話でタスクが発動される世界。人間のアシスタントの代わりとしてのデジタルアシスタントでした。AI進化で賢くなったGemini for Homeなら、ここがクリアできていると思っていたのに…。

Gemini for Homeに「どんなことができるの?」と聞いたときも、同じことを思いました。なぜなら、返答はAI機能要約の読み上げにすぎず、アシスタントとの会話には感じられなかったからです。「もっと具体的に教えてくれる?」というリクエストは叶いませんでした。

また、「その予定をカレンダーに追加してくれる?」とこれまた自然な会話の流れでリクエストしても、どうやら「その予定」がピンとこないらしく、カレンダーに新たなスケジュールを追加しますか?という、絶妙にズレた返答になってしまいました。

他にも、例えばタイマーで、1分セットして、途中で「30秒マイナスして」というのも、「わかりました!」とは言うものの、混乱したようで、若干沈黙があったあと、エラーがでてしまいました。

10年前に描いた未来はまだ来ていない

あくまでもアーリー招待制の、無料版の、現時点でのGemini for Homeの話ですが、確かに少し細かいことまで理解できるようになり、複数段階あるタスクの大部分はこなせるようにはなってはいます。が、日常が変わるほど大きな進化かと問われれば、そうではない。GoogleはまだまだGoogleアシスタントリリース時からある「会話内容の理解」の課題を抱えたままだと感じました。Nestドアベル&屋外カメラの最新モデルのレビューを見るに、サブスク有料でもGemini機能の満足度は高いとは言えないかもしれません。

我々人間には簡単に感じることが、AIには難しいかもしれない。実は、Google Homeが、Gemini for Homeがやろうとしていることって、見た目よりも込み入ったことなんです。お家にある数々のスマートホームガジェット(Google製とは限らない)と、コミュニケーションをとらないといけませんし。それに加え、人間側の描く期待も高すぎるのかもしれません。

大規模言語モデルをトレーニングし、より自然な会話をAIが理解しようとも、それをタスクとして実行するのは簡単なことではないんでしょう。