会食の極意。

条件は、ひとり15,000円以内で、ド定番やSNSで話題の店より知る人ぞ知るセンスの良い店。

そんなわがままな条件を満たす、選りすぐりの5軒をピックアップした。


1.数多のエリートが会食を繰り広げた一軒家焼肉の実績に勝るものはない
『代官山 焼肉かねこ』@代官山



「代官山T-SITE」に至近ながら、裏通りかつ路地の奥まった場所にあり、初訪問の場合は迷うことも。やや秘密めいたロケーションながら、旧山手通りからも近いのでタクシーや車での移動がスムーズというのも会食向き


会食相手からのリクエストが、もし「肉」だった場合、店選びに悩むという人は意外と少なくないはず。

いまの東京にはそれだけ多くの選択肢があるということだが、有名な高級店にはすでに訪れている可能性があるし、SNSの常連店を選ぶのもいささかインパクトに欠ける。

そんなときは『代官山 焼肉かねこ』を目指してほしい。“焼肉の超穴場”といえる立地。



店内はすべてグループごとに座ることができる半個室スタイル。会食使いがしやすく、4名がベスト。匂いやほかのお客の様子も気にすることなく、自分たちのペースで焼肉を愉しむことができる。サービスは店主の奥様が担当


半個室を備えた小さな空間は、掃除がしっかりと行き届いており、夫婦ふたりで大切に育て上げてきたことがよく伝わる。


麗しい肉盛りを前に視線を交わせば、互いの絆が生まれるのを感じる

「お任せ盛り」1人前¥9,020(写真は2人前)。木札に部位名が記された肉の美しさに目を奪われる。上段の塩ものから焼きはじめ、下段のタレものに移行するのがオススメ。塩ものならばそのままなにもつけずに、タレものはつけダレに焼いた肉をくぐらせて


ここで供されるのは、人数分の肉が木に並ぶ「お任せ盛り」。そこに副菜や追加のお肉を注文するスタイル。

店主が惚れこんだ鳥取県の田村牛や、但馬系統牛を中心に扱う。肉質もさることながら、甘みを抑えたタレにも試行錯誤の歴史がにじむ。



トングはひとりにつき1本用意され、誰が焼いても美味しくなるよう炭の組み方も計算されている


塩もの、タレもので網の種類を変えるなど、細やかな心遣いも抜かりなし。美味しさとともに心打たれるはず。




「KANEKOのローストビーフ」¥1,980。なめらかな食感を楽しめる厚みにカット。写真はカメノコ。



ワインは、値づけもすこぶる良心的。ボトル1本¥4,180〜


焼肉会食の“正解”を導き出したと称賛されるに違いない。



2.丸の内の高級店を盛り立てたシェフには、一流の気持ちを掴む術がある
『Le Jardin de Kamo』@水天宮前



最寄りの水天宮前駅からは徒歩約5分。隅田川に程近い住宅街の中にひっそりと佇む。東京駅、日本橋からであればタクシーで10分ほどという知る人ぞ知る場所にある点もビジネス会食にオススメ


東京駅周辺のオフィス近くで会食を、となった場合、ビル内の飲食店を選ぶのは安全策だが、色気も少しはほしいところ。せっかくならば、「え、こんなところにいい店を知ってるんだ」というサプライズで、会食の成功に弾みをつけたい。

その点、水天宮前『ル・ジャルダン・ド・カモ』は、ロケーションはもちろん、料理のクオリティと値段設定、そのすべての要素をそろえた店といえるだろう。



値段設定を抑えている理由を「気軽に定期的に訪れてほしいから」とは、シェフの鴨田さん


オーナーシェフの鴨田 猛さんはフランスとベルギーで腕を磨いたあと、丸の内の『サンス・エ・サヴール』で12年料理長を務めた実力派。



奥にある1室限定の4名個室は別途個室料がかかることもなく、どこまでも良心的。店全体を8〜10名で貸し切ることもできる


同店では「自宅の食卓に招かれたような、会話を楽しみながらの食事を楽しんでもらいたい」と語る。

そのため、カウンター席は設けず、テーブル席のみでゲストをもてなしている。


南仏のエッセンスが細部に宿る料理に会話も弾む

冷前菜のひとつ「ホッキ貝とスイカのマリネ リコッタチーズのムース ビーツとカシスのガスパチョ」


料理は¥11,800のコース1択と潔く、この空気感と料理を使いこなしてこそ相手に好印象を残せる。



この日のメインは「瀬戸内産マナガツオ セトワーズのラビオリ アーティチョークとジロール茸 リースガルディアン」。食材の多くを直接、生産者から仕入れることで、価格以上の満足をもたらす。すべてディナーコース(¥11,800)の一例


リラックスした空間で相手と距離を縮める。そんな会食にぴったりだ。



3.極上中華で3時間のフリーフロー。この歓待で必ずや密な関係となる
『礼華 青鸞居(らいか せいらんきょ)』@南青山



地下鉄の駅を出てすぐと近く、大通りに面しているためアクセス抜群。しかし、緑の並木が茂る「パサージュ青山」の小道へ一歩入るというアプローチが、隠れ家感を演出してくれる


外苑前の国道246号と外苑西通りが交わる交差点。そんな街中にありながら、緑に包まれた小道のアプローチがゲストを迎える『礼華 青鸞居』。

都会の喧騒を忘れさせる隠れ家感は、ゲストの期待に応える舞台として申し分ない。


ハイレベルな皿が続き、抜群の安定感

「海老のチリソース煮込み 花巻添え」は発酵調味料の酒醸で辛さをまろやかに


モダン中華の先駆け『中国料理 礼華』の姉妹店とあって、料理は伝統的な中華を基盤に、都会的に昇華させたモダンスタイル。ホスピタリティあふれるサービスやエレガントな器の数々に、名門の風格が漂っている。

ディナーコースは10,000円台からのこの店で、飲み放題付きプランが14,000円というのはもはやご褒美にさえ感じられる。




「国産牛バラ肉の煮込み 黒酢のソース」。煮込んでから揚げている牛バラはとろとろの柔らかさ。



「北京ダック」も付いた豪華な内容。飲み放題付き「麒麟コース」¥14,000(別途室料)から。提供は10月15日までだが、10月16日〜11月10日は特別に、前日までの予約時に「東カレを見た」orグルカレのWeb予約で「東京カレンダー特別プラン」としてオーダーできる(1日1組限定)


さらに「北京ダック」や「海老のチリソース煮込み」といった定番人気がきちんとそろう充実ぶりだ。



飲み放題はビール、ワインなどの定番ほか、桂花陳酒や露酒などフルーティな中国酒もそろう


大切なゲストを招くなら、時間に追われずゆったり会話を楽しめることも必要不可欠。

その点、このプランなら最大3時間と、心を解きほぐす余裕もたっぷり。



シノワズリをモダンにアレンジした明るい雰囲気。全室個室で、2名から最大40名まで利用可能。4名以上は室料¥5,500〜


都会の喧騒を離れ、ゲストと向き合う贅沢な夜を過ごすなら、こちらほど頼れる店はない。



4.ワイン好きの食通。難易度高き相手でも3時間後には骨抜きになる無敵感
『Bistrot Bar a vin Kodama』@渋谷



周囲には新旧の人気レストランも。再開発が進む渋谷の喧騒を感じさせない立地で、客層も落ち着いているため、くつろぎながら料理や会話を愉しむことができる。隣も飲食店が入るビルだが、正面に向かって右側へ

上質なワインの値付けに驚き、杯を重ねるごとに笑みが深まる


2000年代の居酒屋ブームでは街中に“ビストロ”と名のつく店が急増したが、本来のビストロとはカジュアルにフランス各地の郷土料理とワインを楽しむ場である。

その伝統的な食文化を日本にいながら体感できるのが『ビストロ バー ア ヴァン コダマ』。渋谷から青山方面に抜ける路地に佇み、食を心から愛する人にとっての“半地下の楽園”といえる。



華美ではないが落ち着く空間


相手の好みや酒量をある程度、把握している会食ならば、この店ほど同胞意識が芽生えるレストランはなかなかない。

事前に押さえるべきポイントは3つ。よく食べよく飲むメンバーと、大人の節度を守ってにぎやかに、店主が作る料理を味わいながらグラスを片手になごやかに語らうことだ。




同店はアラカルトのみ。生ハムの塩味、トリュフの芳香も一体になる「根セロリのババロワ」¥1,500。




塩と胡椒、ソーテルヌでマリネしてねっとり香り高い「フォワグラのテリーヌ」¥3,200。




「クネル ホタテ オマールソース」¥3,000。ホタテとオマール海老のソースが濃厚。




「仔羊のロースト ラタトゥイユ」¥4,200。



赤白ともにワインはボトル¥10,000前後から


黒板メニューを眺めながら食べたい料理をすり合わせ、シャンパーニュで乾杯すれば、楽しい夜宴のはじまり。

余計な気取りも媚びも一切ない料理とともにワインを楽しめば、心の壁はいつの間にか取り払われ、ボトルの空き具合に反比例するように幸福な気分がひたすら高まる。



5.会食の絶対王者な「トマトすき焼き」はどの世代にも、やっぱり刺さる
『三田ばさら 本店』@三田



名物の「トマトすき焼き」¥9,000。先付、前菜5種盛、トマトすき焼き、タリアテッレ、甘味のコースで構成。すき焼きはスタッフが作ってくれるので安心感もひとしおだ

一緒に鍋を囲めば、相手との距離も縮まる


会食の場をスマートに演出したいのなら、つとに知られる『三田ばさら 本店』はやはり盤石だ。

名物は他にない「トマトすき焼き」。意外性に富んだこの料理の存在は、若い世代には驚きを、ベテランには再びの満足感をもたらす。

具材は、選び抜いたトマト、玉ねぎ、牛肉のみという潔い構成。砂糖を使わずに、トマトの酸味と旨みが出汁の役割を果たすことで、すき焼きに新たな奥行きを与えている。イタリアンをベースにした手法だからこそ、軽やかで透明感が感じられるのだ。

「トマトすき焼き」を注文すると、始めに季節を映す八寸が登場し、食卓に華やぎを添える。

〆は、イタリアンを意識し、トマトソースとバジルを入れて仕上げるタリアテッレ。すき焼き×パスタという他にない提案で、和とイタリアンの相性の良さを教えてくれる。



和モダンなインテリアの店内は、落ち着いた会食にぴったりだ。テーブルの間隔もゆったりとして居心地が良い。個室は、半個室と合わせて5部屋4名〜。室料は完全個室¥5,000〜、半個室¥3,000〜


三田という落ち着いた立地と相まって、上品な会食の場としてふさわしく、料理、場所柄、加えて申し分のない丁寧な接客がそろった一軒。



駅から少し距離があるものの、界隈に老舗や名門店が点在する落ち着いたエリア。東京タワーを正面に眺める立地で、会食後に記念撮影をするゲストも多く、その際はスタッフが撮ってくれる


長きに渡って会食でも重宝されているのも納得だ。


▶このほか:会食に慣れた相手には、王道ではなく六本木の“タイ料理”を達人が選ぶワケ