【宝塚記念 見どころ】逞しさが問われる、初夏のグランプリ

レガレイラ(c)SANKEI
上半期の総決算・春のグランプリ 第66回宝塚記念<GI・3歳以上オープン(国際)(指定)定量コース:2,200メートル(芝・右)>が6月15日(日)に阪神競馬場で行われる。
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例年とは異なり、開催が2週早まった宝塚記念。
春のGⅠ7連戦を締めくくるにふさわしいドリームレースということで今年は6頭ものGⅠホースが揃い踏みとなり、例年以上の豪華さを誇る。
じめじめとした梅雨時に開催されることもあり、GIホースがこれだけ集まるということもなかなかないが... 一方で絶対的な王者がいないのも確か。
実際に14日の午前9時時点の宝塚記念の単勝オッズを見ると、10倍を切る馬が実に6頭もいる。
GⅠホースが多数集まったとはいえ、絶対的な王者がいないことでファンもどの馬から買うべきか決めかねているようにも見える。
だが、宝塚記念と言えば混戦になるのが定番。
天気の具合も読みづらいこの時期で実力が拮抗した馬たちが集まり、さらにコースはトリッキーなことで知られる阪神芝2200m。一筋縄ではいかないというのは自明の理だろう。
だからこそ、近年の宝塚記念勝ち馬はどこか逞しい馬が多いように見える。
例えば2020年、2021年にこのレースを連覇したクロノジェネシスはその最たる例に感じる。
3歳時に秋華賞を制したとはいえ、人気になるとどこか頼りない印象のあった芦毛の少女は4歳で宝塚記念を制すると、自信を付けたのかその後は牡馬たちとも対等に渡り合い、有馬記念を制す。
クリストフ・ルメールと組んだ5歳時も宝塚記念を制して連覇。秋には凱旋門賞にまで挑んでいる。
クロノジェネシスが初めて宝塚記念を勝った1年前にこのレースを制したリスグラシューもそうだ。
4歳秋にエリザベス女王杯を勝ったとはいえ、牡馬相手にはひ弱な印象があった彼女はダミアン・レーンとのコンビでこのレースを突き抜ける。
すると、まるで馬が変わったかのようにその後はコックスプレートを制し、ラストランの有馬記念では近年まれに見るブッチギリの圧勝を演じた。
混戦を抜け出してグランプリホースの栄誉を掴んだ2頭がその後、逞しくなっていったように今年の勝ち馬にそうしたタフさが求められることだろう。ならば、昨年のグランプリホース・レガレイラはどうだろう。
牝馬ながら2歳暮れに彼女が挑んだのは阪神JFではなく、牡馬と争うホープフルS。
そこで彼女は出遅れながらも直線で豪快に伸びて先に動いたシンエンペラーに並ぶこともなくそのままゴール。
2歳馬場馴れした末脚の切れはクラシック制覇を予感させるもので、管理する木村哲也調教師は牡馬クラシックの皐月賞を目指すと高らかに宣言した。
それほどの才女だったが、3歳春にレガレイラは苦しめられる。
ルメールの負傷により急遽北村宏司とタッグを組んだ皐月賞は直線で伸びずに6着。
その後ダービーで巻き返すも5着止まり。秋は牝馬路線に戻るが一度狂った歯車はなかなか戻らず、とうとう4連敗で有馬記念を迎えた。
その有馬記念もスタートで出遅れるなど、決して順調に行ったわけではなかったが、スローな流れに合わせてポジションを上げて早めのスパート。
最後には古豪シャフリヤールとの叩き合いになったがこれをハナ差で勝利。これまでの鬱憤を晴らしてみせた。
その後骨折して休養を余儀なくされたが、体調は万全に仕上がっているだけに力は出し切れる。グランプリレース連勝で3つ目のGⅠタイトルを手にするだろうか。
安定感ならばこの男を忘れてはいけない。
大阪杯で連覇を果たしたベラジオオペラが夏のグランプリを掴みに来る。
皐月賞10着、ダービー4着とクラシックでは結果を出せなかったが、この馬が本領を発揮したのは4歳になってから。
京都記念2着をステップに挑んだ大阪杯は2番手から押し切って勝利。弱い世代とはもう言わせないとばかりの激走で力のある所を見せた。
昨年の宝塚記念は道悪馬場で苦しいレースとなったが、それでも先行策から踏ん張って3着。今年も盤石な走りで大阪杯の連覇を果たした。
6勝中4勝をこの地で挙げるなど、阪神は得意中の得意。
最内枠から位置を取っていければ、もう「5歳世代は弱い」とは言わせない。古馬GⅠ3勝目で真の王者の座に君臨する。
このままでは終われない――虎視眈々と王座返り咲きを狙うのは2年前の皐月賞馬・ソールオリエンスだ。
この馬が表舞台に現れたのはデビュー2戦目の京成杯。まるで恐竜のような荒々しいフットワークでロスの多い競馬ながら、小さなロスは関係ないと言わんばかりの破壊力で完勝。
重馬場で行われた皐月賞でも4角17番手から先行馬たちをごぼう抜き。顔を泥だらけにしながら掴んだ主役の座はそう簡単に明け渡さないと思われた。
ところが、続くダービーで2着に敗れたところからソールオリエンスの苦難の道が始まった。
同世代の馬たちとの激突であれば馬券圏内をキープする安定感があったが、対古馬戦となると掲示板に入るのもおぼつかない。いつしかこの世代のレベルを疑問視する声も聞かれるようになった。
ソールオリエンスが再び表舞台に立ったのは昨年の宝塚記念でのことだった。
それまで6連敗。対古馬戦では1度も馬券圏内に絡んでいないことから7番人気まで評価を下げたが、馬場はあの日と同じ重馬場。道悪を気にしない荒々しい走りで2着に入り穴を開けた。
あれから1年。再び舞台は阪神の芝2200m。得意なコースであれば堅実に伸びてくる実力馬が2年ぶりに勝利を掴むだろうか。
混戦模様のグランプリを制し、逞しい王者になるの果たしてどの馬か――
2025年の春競馬のフィナーレから目が離せない。
■文/福嶌弘
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