危機の中で、日本の進路をどう取るか?【私の雑記帳】

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日本の存在感低下に…

 日本の存在感が低下─。このことに危機感を募らせる経済人は少なくない。

「先日、トルコへ久しぶりに出かけて行って、取引先の経営者と話していてね。日本人の平均賃金は幾らぐらいか訊かれたので、年間4万ドル前後と答えたら、相手からびっくりされましたよ」とは某商社首脳。

 大体、その国の働く人たちの年収を語る時、10万ドル(今の為替相場で約1400万円)が一応の目安。G7(先進7カ国)の一員を占め、〝先進国〟というイメージがある日本の現実の一端に触れ、トルコの経営者も日本の低迷ぶりを再認識させられたようだ。

「国は日本の進路をしっかり示してほしい」と国と企業の関係の再構築を訴える声もある。

「周囲の状況がどうであれ、われわれは生き抜かねばならないからね」とは流通関係者の覚悟の弁。

 企業業績は前3月期(2023年3月期)を見ても、全上場企業の過半数が増益など、好業績をあげている。しかし、企業経営者に浮かれている様子はない。

 純利益で1兆円をあげた総合商社でも、先行き不透明なグローバル環境の中、「心して行く」(某首脳)と気を引き締めている。


世界景気減速の前兆に

 銅や亜鉛などの資源価格が今年の高値から2割、3割安く、石油価格も軟調。また、米国の金融状況は厳しく、『逆イールド』現象が起きているなど、世界の景気は〝減速〟の前兆が見られる。

 米国に次いで世界第2位の経済国・中国も不動産分野での債務問題が経済全体の足を引っ張るという見方が強まる。

 1978年、時の指導者、蠟小平氏が改革開放路線を掲げて以来、成長街道をひた走りに走ってきた中国も40数年を経て、大きな転換期、正念場を迎えている。

 米中対立、泥沼化のウクライナ危機という中で、日本の進路をどう取るか─という選択である。


バフェット氏の日本投資

〝投資の神様〟といわれるウォーレン・バフェット氏が今年4月、日本を訪れ、大手商社トップと個別に会い、日本株買いに注力しているスタンスを示した。

 こうしたこともあって、日本の株式市場も活気が出て、日経平均株価も30数年ぶりの3万1000円台突破となった(6月初め)。

 米中両国、そして欧州経済は今、下降局面にある中で、「相対的に日本経済がいいということ」(某エコノミスト)。

 W・バフェット氏が日本の商社株に投資してきたということは、商社界はもちろん、他の産業界も活気づく。〝失われた30年〟といわれる日本にとって、「日本経済再生の最後のチャンス」(某首脳)ということで臨んでいきたいものだ。


「油断があった」

「油断があった」─。日本の半導体産業の関係者はこう語る。

 日本の半導体産業は1980年代、世界のシェアの半分を握るほど、その強さを発揮。米国は危機感を覚え、日米貿易交渉で〝日本潰し〟と言えるほど、日本の半導体に圧力をかけてきた。

 自らの対日貿易赤字を減らすため、「米国製を買え」という圧力の下、日本は米国製の半導体をはじめ、各製品を買わされた。

 当時、大手半導体メーカーの某首脳は、「質の悪い米国の半導体を買わされて、太平洋に捨ててしまいたいよ」と、愚痴とも嘆きともつかぬ反応を筆者に示した。

 日本が強かったのは1980年代まで。1990年代になると、転落の坂を転げ落ちていく。これはバブル経済崩壊とも重なる。

 日米貿易交渉で、日本は対米輸出だけで成長を追うなと圧力がかかり、『内需拡大』の方向に向かう。