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アメリカでの成功を、欧州市場に合わせて翻訳

筆者は過去の例でも、欧州市場を念頭にコンパクトカーを開発したと、ジープから話を伺ったことがある。しかし、世界市場を前提に設計し、この土地へ合わせた調整を加えることと、初めから欧州で設計を進め生産することとでは、大きな違いがある。

【画像】ライバルが高価過ぎる MGモーター MG4 想像を超えた完成度 ジープ・アベンジャー 全122枚

ジープ・アベンジャーは、後者のプロセスで誕生した。その仕上がりは目をみはるほど高く、AUTOCARでは2023年のベスト・スモールカーへ選出することにした。


ジープ・アベンジャー(欧州仕様)

正直なところ、アベンジャーが発表された当初、このような結果に至るとはまったく想像していなかった。これほどの賛辞を送ることになるとは。

アメリカでの成功を、欧州市場に合わせてイチから翻訳するとどんなモデルを作れるのかが、見事に体現されている。このブランドにとって、大きなマイルストーンになったと思う。

アベンジャーはイタリアで設計・デザインされ、ポーランドの工場で生産される。プジョーe2008などと同じく、ジープが属するステランティス・グループが開発した、eCMPアーキテクチャを採用していることが特徴だろう。

果たして、アベンジャーは間違いなくユニーク。独自のポジショニングにある。アメリカ以外で生産される初めてのジープであり、同ブランド初のバッテリーEVでもある。

間違いなくジープなスタイリング

アベンジャーの開発スタッフと意見を交わす機会があったが、情熱的にプロジェクトへ取り組んだことが、ひしひしと筆者にも伝わってきた。競争の厳しいコンパクトSUVというカテゴリーへ、他とは異なるモデルを投じるべく尽力したことは明らかだ。

ボディサイズは小さく、全長は4080mmで、全幅は1780mm。今のところ、Bセグメントでは最小のBEVに位置している。ジープなら、もっと大きなモデルから投入が始まっても不思議ではなかったと思う。


ジープ・アベンジャー(欧州仕様)

サイズは小ぶりでも、スタイリングは間違いなくジープ。頑丈そうなスクエアな面構成で、縦横比などのプロポーションは整っている。個性的な見た目は、他にはない魅力を感じさせる。

実際の走りも好ましい。乗り心地は洗練され、操縦性にはまとまりがある。電動パワートレインは活発で、市街地で大きな強みを発揮する。コンパクトSUVとしては、期待以上の仕上がりといっていい。

車内も驚くほど広い。乗員空間にはゆとりがあり、小物入れも随所に設けられている。インテリアデザインは明るくポップで、適度にモダン。ダッシュボード下部に用意されたワイドな収納トレイなど、利便性も考えられている。

欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝く

BEVとしての能力も高く、一度の充電で走れる航続距離は最長402km。急速充電能力は100kWと、コンパクトSUVとしては妥当だろう。

英国価格は3万6500ポンド(約588万円)から設定され、価格価値にも優れる。残価設定が高いため、月払いの金額が少なくて済むことも訴求力を増している。


ジープ・アベンジャー(欧州仕様)

これらの総合力が評価され、アベンジャーは2023年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。さらにAUTOCAR以外からも、多くのメディアが賞を与えている。

コンパクトカーとしての愛らしさと、ジープらしさが見事に融合している。アベンジャーの仕上がりは、想像を間違いなく超えていた。