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ガソリン車を試乗 A180改良型

軽量・小型車体の日常用途向けのモデルとして誕生したAクラスだが、代を経る毎に車体サイズとキャビンを拡大。

【画像】新デザインのAクラス 従来型と比較【細部まで見る】 全74枚

メルセデス車のエントリーというポジションは変わらないが、ファーストカーとしての汎用性を高めてきた。


改良新型メルセデス・ベンツA180(ローズゴールド)    宮澤佳久

もっともファミリー&レジャー用途適性では、同系プラットフォームを用いてハイトパッケージングによりキャビン容量を拡大したBクラスには及ばない。

相対的にはパーソナル志向が強く、それがスポーティ&カジュアルなキャラにも繋がり、Aクラスの個性にも繋がっている。

MCしたAクラスに用意されているパワートレインは、ガソリンの1.3Lターボ+7速DCTと、2Lのディーゼルターボ+8速DCTの2タイプ。

車体タイプはハッチバックとセダンが用意され、試乗したモデルはメルセデス車全体のエントリーに位置する「A180」だ。

MBUX「ARナビ」の実用性は?

車体平面寸法は全長4440mm×全幅1800mm。プリウスやシビックよりも多少コンパクトであり、小回りが利くメルセデス車らしく最小回転半径は5.0mでしかない。

タウンユースの機会が多いユーザーにも好ましい寸法諸元であり、タウン&ツーリング両用途のバランスがいい。


改良新型メルセデス・ベンツA180の前席(内装色:ブラック/レザーARTICO/MICROCUT)    宮澤佳久

メルセデス車というとプレミアム性に目が行きがちだが、実用車としてのセオリーを外さないのも特徴。Aクラスはその点でもメルセデス車らしいコンパクトカーだ。

スペック/装備面のMCの目玉商品は、MBUXのアップデート。

交差点での進行方向を、モニターに映し出された実景で指示するARナビなどの最新仕様となった。実景は瞬間的な認識しやすさでは今ひとつだが、込み入った交差点で道を探すような時は実に有り難い。

標準地図データの指示も可能であり、状況に応じて使い分ければ利便性も一段と向上する。

手放し検知/装備のアップデート

また、運転支援機能に付随する「手放し検知」は、操舵トルク感応式から静電容量式に変更。

トルク感応式では“操舵支援とほぼ同期した操作”を行うと「手放し」と誤判定されることもあるが、舵輪保持を直接検出するなら心配無用。ちなみに、高度な運転支援装備では静電容量式が標準的だ。


改良新型メルセデス・ベンツA180の後席(内装色:ブラック/レザーARTICO/MICROCUT)    宮澤佳久

この他にも交通状況に応じて照射域を自動調整するアダプティブハイビームアシストの標準化、高出力のプレミアムオーディオシステムの採用など、MCでは充実した装備更新が施されていた。

キャビンスペースや積載機能は従来型と変わっていない。男性4名が長時間過ごすに十分なスペースと居心地を持つ。

サイドウインドウグラフィックは後席乗員の見晴らしも考慮した形状であり、SUV等のハイト系には及ばないにしても後席乗員の居心地も良好。

自慢できるほどのキャビン実用性でもないが、アップデートされた装備類もあって馴染みのいい使い勝手を備えている。

ガソリン仕様 見どころは?

最高出力はNA1.5L相応の136ps、1.4t近い車重には少々頼りなくも思える。

ただ、最大トルクはNA 2L相応の20.4kg-mであり、1460〜4000rpmという幅広い回転域で発生する。試乗した印象も、トルク特性のよさを実感させるものだった。


改良新型メルセデス・ベンツA180(ローズゴールド)    宮澤佳久

全開の高回転域の加速も悪くないが、3000〜4000rpmを使った加速が心地いい。強めの加速でも一段落としで3000rpm台を伸びやかに使う。

中庸域の力感にも優れたトルク特性もあって、体感する加速は最高出力のスペックから想像する以上だ。

また、エンジンフィール・排気音も穏やか且つ精度感のあるもので、高回転を使用しても威圧感がないのが加速の心地よさを後押ししている。

ただ、走りの熟成度という点で注目されるのはフットワークである。

ポイントは、沈み込む感覚

A/Bクラスの中でも「Aクラス・ハッチバック」は軽快あるいはスポーティな特性。

ただし、硬いサスチューンで絞めたというより、低い全高や短いリアオーバーハングというパッケージングをそのままにフットワークに投影した感じだ。


改良新型メルセデス・ベンツA180(ローズゴールド)    宮澤佳久

挙動のメリハリは利いているが、そこに沈み込みも意識させるようなストローク感が織り込まれている。

現行型登場当時のトーションビーム式リアサスを用いたFFモデルは、リアサスが少々突っ張った印象があったが、MC車は往なしのストロークを感じさせる。

Cクラス以上の“メルセデスFR車にも似た味わい”が加わったとも言える。

インパネ周りのデザインが象徴的だが、流行を追うわけでもなくメルセデス車らしさを優先したクルマ造りへのこだわりを強く感じる。

しかも、クラスやカテゴリーの基本から逸脱しない。

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走りの側面なら、高速域で扱いやすく、同乗者にも安心感を与える収まりのいい挙動と乗り心地。

コンパクトなハッチバック車の基本キャラに相応なスポーティ&カジュアルなテイスト。


Aクラス全モデルのボンネットが、力強いパワードームのデザインに。AMGラインのグリルには、マットクローム仕上げの小さなスリーポインテッドスターを散りばめた。    宮澤佳久

前者はクラス内でのメルセデス車らしさ、後者はメルセデス車相対でのAクラスのキャラであり、この2つが矛盾なく融合されている。

さらに走りの質感で言えば、多少Cクラスに近づいた感もある。

前項で述べたように主にリアサスのストローク使いによるものだが、硬柔とは別の車体挙動のちょっとした違いに“Cクラスと共通した味”が増加。

だからといってCクラスと対等になった訳ではないが、プラットフォームやサス形式の差を以前ほど意識しなくなった。

エントリーモデルといってもA180は498万円からの価格設定であり、コンパクトカーとしては値頃とは言い難い。

適応用途から「Bクラス」や「Aクラス・セダン」との比較検討は必須なものの、同カテゴリーでは最も手堅い選択の1つでもあり、価格に見合った価値があるか問われれば、迷わず肯定できる。

「メルセデス車を選べば安心」もMCでランクアップしたようだ。

メルセデス・ベンツA180 スペック

価格:498万円
全長:4440mm
全幅:1800mm
全高:1420mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:15.3km/L
CO2排出量:-
車両重量:1380kg
パワートレイン:直列4気1331ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:20.4kg-m/1460-4000rpm
ギアボックス:7速DCT


試乗車が履いていたのは、AMGラインパッケージの新ホイール(18インチ)。    宮澤佳久