キーマン近藤健介、出塁率6割の秘訣とは【写真:ロイター】

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「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 東京プール」1次ラウンド

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場中の日本代表打線では、近藤健介外野手が重要な役割をこなしている。2番として後ろの大谷翔平投手に繋ぎ、1次ラウンドB組1位通過の原動力の一人に。昨季オフに日本ハムからソフトバンクにFA移籍し、春季キャンプで新しいチームメートたちと過ごせた時間が少なかった代わりに、国際試合の舞台で強烈に存在感をアピールしている。

 近藤は1次ラウンドの全4試合に「2番・右翼」で先発出場し、大谷の前を打った。打率.467(15打数7安打)、出塁率.600を誇り、7安打はチームトップで今大会出場選手中2位タイだ。5四球も大谷に次ぐ2位タイ。猛打のみならず持ち前の選球眼を発揮し、走者を置いた状況で大谷に回す役割を見事に果たした。

「メンバー発表の段階では、ここまで試合に出られるとは思っていなかった。(鈴木)誠也の分も、ということでスタメンで使っていただいています」と述懐。侍ジャパンの先発外野陣は当初、左翼・吉田正尚、中堅ラーズ・ヌートバー、右翼・鈴木の現役メジャーリーガーで固め、指名打者も大谷“一択”と見られていた。近藤は代打の切り札と目されていたが、鈴木が左脇腹を痛めて辞退し、チャンスが回ってきた格好だ。

 奇しくも、当初の「代打のつもり」が、現在の好調な打撃に繋がっているという。「侍ジャパンに招集された外野陣を見た時、代打が多くなるのかなと思ったので、1打席でしっかり結果を出すことを心掛けました。そのまんまのイメージで、ここまで来ています」と明かす。

 近藤を含め、侍ジャパンに選ばれるような野手は普段、所属チームではレギュラーとして4打席以上を保証される。相手の先発投手が手ごわい場合は、1〜2打席目にタイミングを測り、配球を研究して、試合後半に勝負をかけることもある。

 近藤は「シーズン中であれば“4打席計算”になってしまいがちです。今は1打席、1打席。1打席で結果が出なかったら、その場で切り替えている。それがいいのかな」と自己分析。この意識こそ、国際大会で過去に対戦したことのない、データも少ない相手投手を打てている理由だと言うのだ。

近藤「打線が文字通り“線”になるように心がけています」

 1打席、1球たりとも無駄にできないという意識は、フリー打撃にも表れている。「これまでは、1球目はバントの構えでスピードを見たりしていましたが、今は1球目からしっかりスイングして、1発でタイミングを合わせるようにしています」。例年に比べて20日ほど早く“本番”がやってきた状況に対応できているのも、こうした積み重ねがあるからだ。

「翔平以降で点が入るように、打線が文字通り“線”になるように、攻撃が円滑に進むようにと心がけています」

 打線で大谷と“2、3番コンビ”を組む一方、守備では中堅のヌートバーとの右中間コンビが冴えている。ヌートバーをいまや日本全国に知られたニックネームの「たっちゃん」で呼び、「こんちゃん」と呼ばれる。「本当にアグレシブにプレーしてくれるので、僕はライン(右翼線)際だけを意識すればいいので、助かっています。僕はあまり英語を喋れませんが、なんとかジェスチャーを交えてコミュニケーションを取っています」と笑った。

 一般的に侍ジャパンの選手の認知度と人気は、1に大谷、2にダルビッシュ、3にインパクト大の新顔ヌートバーといったところ。だが、大谷もヌートバーも、いぶし銀の近藤がいるからこそ輝きが増す。16日のイタリアとの準々決勝(東京D)からは負けたら終戦の一発勝負。近藤にとっては望むところだ。

(宮脇 広久 / Hirohisa Miyawaki)