2023年の期待は無線通信規格「Wi-Fi 6E」! 超高速モバイル通信10Gbpsの光通信時代を支える技術を分かりやすく解説
●2023年に期待したい通信技術「Wi-Fi 6E」
2022年も残りわずかとなりました。
今年の通信業界は円安による端末価格の値上げなどの厳しい状況はあったものの、2021年のモバイル通信料金値下げラッシュも落ち着き、比較的平穏な1年だったように思います。
一方で、通信技術面ではまた1つ進歩があった年でもあります。それは「Wi-Fi 6E」の認可です。
Wi-Fi 6Eとは、2018年に策定された「Wi-Fi 6」(≒IEEE 802.11ax)という通信規格の拡張規格となります。
このWi-Fi 6Eが、いよいよ2023年に普及していくことになります。
Wi-Fi 6Eは何が便利で、どのように使われる技術なのかを分かりやすく解説します。
Wi-Fi技術は日々進化している
●電波の混雑を回避し、高速で安定した通信を目指す
みなさんの中にも自宅などでホームルーターを利用している方がいると思いますが、ここ1〜2年で発売されたホームルーターであれば、多くの機種がWi-Fi 6に対応していると思います。
Wi-Fi 6では2.4GHz(ギガヘルツ)帯と5GHz帯(5.2GHz帯)という2つの周波数帯の電波を用いて通信を行います。
Wi-Fi 6Eでは、さらに6GHz帯でもWi-Fi 6の仕様で通信を行えるように規格を拡張したものです。
Wi-Fi技術は通信方式や周波数帯によって世代分けされている
Wi-Fi 6Eという通信規格が必要になった背景は、ざっくりと言えば「他の周波数帯が混雑してきたから」です。
例えば2.4GHz帯はWi-Fiだけではなく、Bluetoothや電子レンジでも利用されています。そのため、
・自宅で電子レンジを使用すると通信が途切れる
・Bluetooth機器を使用すると通信速度が落ちる
このような現象が発生しやすい状況でした。
そこで利用され始めたのが5GHz帯の周波数です。
しかし、この周波数帯も屋外では衛星システムや気象レーダーなどでも利用されているため制限の多い周波数帯でもあり、
さらに利用端末が増えてきたことで、2.4GHz帯の時のように混雑による通信速度低下なども懸念され始めたのです。
そして登場したのがWi-Fi 6Eです。
まだ利用する機器(端末)が多くない周波数帯で、より広い帯域幅を利用することが可能であるため、
より高速でより安定した通信を行える周波数帯および規格として期待されています。
電波は用途や使用環境によって細かく使用の可否が決められている(総務省資料より引用
●対応機器の普及がカギ。Wi-Fi 6Eで自宅の通信環境をステップアップ
それでは、Wi-Fi 6Eは私たちの生活でどのように活用されていくのでしょうか。
最も一般的なのは、スマートフォンやタブレットでの活用です。
利用方法や利用感覚は現在のWi-Fi 6とほぼ変わりません。
ユーザーがWi-Fi 6なのか、それともWi-Fi 6Eなのかを意識する必要はなく、対応しているスマートフォンなどの端末とホームルーターさえあれば利用可能です。
Wi-Fi 6Eでは最大約9.6Gbpsという超高速通信が可能です。
最近では一般家庭用の光回線でも10Gbpsプランなどがありますが、こういった契約の家庭でも十分に高速通信性を無線で利用できることになります。
10Gbpsの光回線も当たり前になった今、無線通信規格も追従する必要が出てきた
Wi-Fi 6やWi-Fi 6Eでは、4G LTEなどのモバイル回線でも利用されている通信方式(OFDMA)を採用しているため、
移動する複数のモバイル端末からのランダムアクセスに強いという特徴があります。
まさに、超高速モバイル通信時代のための通信規格なのです。
Wi-Fi 6Eが日本国内で認可されたのは2022年9月であるため、ホームルーター市場にはまだ対応機種があまり多く出揃っていませんが、
2023年になれば次々と発売されることは確実です。
また、スマートフォンやタブレットなども対応機種が多くありませんが、2023年以降に発売される端末では一気に対応が進むでしょう。
Apple製品ではiPad ProシリーズでWi-Fi 6Eが利用できるがiPhoneは対応機種がない。2023年モデルに期待したい
来たる2023年は卯年。
ウサギにかけて何かと「勢い良く飛躍する年に」などと言われがちな干支ですが、
Wi-Fi通信の世界でも、さらなる飛躍とステップアップの年となることを期待したいものです。
執筆 秋吉 健
2022年も残りわずかとなりました。
今年の通信業界は円安による端末価格の値上げなどの厳しい状況はあったものの、2021年のモバイル通信料金値下げラッシュも落ち着き、比較的平穏な1年だったように思います。
一方で、通信技術面ではまた1つ進歩があった年でもあります。それは「Wi-Fi 6E」の認可です。
Wi-Fi 6Eとは、2018年に策定された「Wi-Fi 6」(≒IEEE 802.11ax)という通信規格の拡張規格となります。
このWi-Fi 6Eが、いよいよ2023年に普及していくことになります。
Wi-Fi 6Eは何が便利で、どのように使われる技術なのかを分かりやすく解説します。
Wi-Fi技術は日々進化している
●電波の混雑を回避し、高速で安定した通信を目指す
みなさんの中にも自宅などでホームルーターを利用している方がいると思いますが、ここ1〜2年で発売されたホームルーターであれば、多くの機種がWi-Fi 6に対応していると思います。
Wi-Fi 6では2.4GHz(ギガヘルツ)帯と5GHz帯(5.2GHz帯)という2つの周波数帯の電波を用いて通信を行います。
Wi-Fi 6Eでは、さらに6GHz帯でもWi-Fi 6の仕様で通信を行えるように規格を拡張したものです。
Wi-Fi技術は通信方式や周波数帯によって世代分けされている
Wi-Fi 6Eという通信規格が必要になった背景は、ざっくりと言えば「他の周波数帯が混雑してきたから」です。
例えば2.4GHz帯はWi-Fiだけではなく、Bluetoothや電子レンジでも利用されています。そのため、
・自宅で電子レンジを使用すると通信が途切れる
・Bluetooth機器を使用すると通信速度が落ちる
このような現象が発生しやすい状況でした。
そこで利用され始めたのが5GHz帯の周波数です。
しかし、この周波数帯も屋外では衛星システムや気象レーダーなどでも利用されているため制限の多い周波数帯でもあり、
さらに利用端末が増えてきたことで、2.4GHz帯の時のように混雑による通信速度低下なども懸念され始めたのです。
そして登場したのがWi-Fi 6Eです。
まだ利用する機器(端末)が多くない周波数帯で、より広い帯域幅を利用することが可能であるため、
より高速でより安定した通信を行える周波数帯および規格として期待されています。
電波は用途や使用環境によって細かく使用の可否が決められている(総務省資料より引用
●対応機器の普及がカギ。Wi-Fi 6Eで自宅の通信環境をステップアップ
それでは、Wi-Fi 6Eは私たちの生活でどのように活用されていくのでしょうか。
最も一般的なのは、スマートフォンやタブレットでの活用です。
利用方法や利用感覚は現在のWi-Fi 6とほぼ変わりません。
ユーザーがWi-Fi 6なのか、それともWi-Fi 6Eなのかを意識する必要はなく、対応しているスマートフォンなどの端末とホームルーターさえあれば利用可能です。
Wi-Fi 6Eでは最大約9.6Gbpsという超高速通信が可能です。
最近では一般家庭用の光回線でも10Gbpsプランなどがありますが、こういった契約の家庭でも十分に高速通信性を無線で利用できることになります。
10Gbpsの光回線も当たり前になった今、無線通信規格も追従する必要が出てきた
Wi-Fi 6やWi-Fi 6Eでは、4G LTEなどのモバイル回線でも利用されている通信方式(OFDMA)を採用しているため、
移動する複数のモバイル端末からのランダムアクセスに強いという特徴があります。
まさに、超高速モバイル通信時代のための通信規格なのです。
Wi-Fi 6Eが日本国内で認可されたのは2022年9月であるため、ホームルーター市場にはまだ対応機種があまり多く出揃っていませんが、
2023年になれば次々と発売されることは確実です。
また、スマートフォンやタブレットなども対応機種が多くありませんが、2023年以降に発売される端末では一気に対応が進むでしょう。
Apple製品ではiPad ProシリーズでWi-Fi 6Eが利用できるがiPhoneは対応機種がない。2023年モデルに期待したい
来たる2023年は卯年。
ウサギにかけて何かと「勢い良く飛躍する年に」などと言われがちな干支ですが、
Wi-Fi通信の世界でも、さらなる飛躍とステップアップの年となることを期待したいものです。
執筆 秋吉 健