「芸術で反抗」 香港の芸術家、旧政治犯収容所で展覧会 抗議者の精神伝える/台湾
展覧会場は国民党政権による政治的迫害「白色テロ」が行われていた時代に政治犯収容所として使われた施設を再利用した「国家人権博物館白色テロ景美紀念園区」(新北市)。9室の監房それぞれに異なるテーマを設け、2019年のデモ当時に撮影した写真や映像、デモの道具などを展示する。
今回の展覧会は「和勇光時」と題した。「和勇」とは「平和、理性、非暴力」の支持者と過激派の「勇武」支持者の2つの力の団結を表す。「デモでは参加者それぞれに自分の持ち場があり、前線に行くとは限りません。私のような芸術家の市民は、芸術でこの文化戦争に参加するのです」。芸術家には時代の問題を反映する責任があると訴えるウォンさんは「芸術で反抗する」のだと話す。
監房に置かれた2つのサンドバッグは、「怒り」と「力」を象徴するのだとウォンさんは説明する。逮捕されたデモ参加者の一人は、刑務所でトレーニングに励み、以前よりもさらに強い肉体を手に入れたという。「刑務所の中の人が諦めていないのに、刑務所の外にいる人がどうして諦められるのでしょうか」
台湾に住んで1年余りのウォンさんには、台湾の歴史の本を読んだり、中国による今年8月の台湾周辺での軍事演習を目の当たりにしたりして感じたことがある。それは、一部の台湾人には戦争意識がなく、故郷がいつでも侵略されうるのを忘れているようだということだ。この状況は10数年前の香港と似ているとウォンさんは警鐘を鳴らす。
自身は比較的安全な台湾に戻ってきた老兵のようだと形容するウォンさんは「ヒツジとオオカミが対決する時、ヒツジは高い壁を築き、狩り人にオオカミを殺すよう知らせなければならない。ヒツジとオオカミが平和に共生できることを望んではならない」とのメッセージを台湾の人々に伝えたいと語る。
ウォンさんは、これらの作品は本来ならば香港で展示すべきだと心の内を明かしつつ、香港にもいつの日にか人権博物館が設立され、香港人が勝ち取った民主主義や人権の歴史的記憶を示せるようになればと願った。
人権芸術生活フェスティバルは今月19日から来月10日まで。
(陳沛冰/編集:名切千絵)
