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最高に楽しい優勝争いでした!

この週末、僕は今シーズン初めてと言っていいレベルの「野球の楽しさ」を感じていました。我が埼玉西武ライオンズはCS進出が叶う3位という望外の好結果を得ることができ「アガリ」という実感を深めているなか、まだ優勝争いをやっている他球団がいる。そして、その優勝争いを大きく左右する立場で、最後までひっかきまわすことができる。何と気持ちが楽しくなるシチュエーションでしょう。これを昔の人は「気持ちが楽しくなる」略して「気楽」と呼んだのでしょう。どっちが勝ってもどうでもいい戦いを、門外漢として嫌がらせができる。率直に言って最高にやり甲斐を感じます!(←性格が悪い)

土曜日、我らが本拠地西武ドームには球界の盟主・福岡ソフトバンクホークスさまがいらっしゃっていました。「すみません、こんな秩父山中くんだりまでお越しいただきまして…」「えっ!?今夜ビールかけをされる予定なんですか!?」「わかりました、駅前のファミマのビールを全部買い占めておきます!」と優勝お見届け球団としてのプライドを持って、ソフバン様をお迎えいたしました。球場は大入り満員。もちろんソフバンさまのお客さまが中心ではありますが、我が方もビッシリと入っておりチケットは完売しています。「ぶっちゃけ胴上げって見てみたいですよね」「何か楽しそう」「絶対ウチが負けて優勝決まるっしょ!」とウッキウキワックワクの空気が広がっていました。

試合は壮絶なものでした。相手方のマジックは1。追いかけるオリックス・バファローズさまの試合はありません。我らが負ければソフバンさまが優勝で、我らが勝てば日曜日に決着は持ち越しになる。「もしかしてこれが生殺与奪の権ってヤツか…?」と思いながら見守る試合。もし僕が現場指揮官であったなら「親会社が特別損失を出してヤバイので200億円くらい恵んでくれたら今日は楽しい試合にしてあげてもいいですよ」くらい言ったかもしれません。ソフバンさまとオリックスさまが手のひらの上で転がっていることにたまらない愉悦を覚える時間です。

ソフバンさまが優勝を目指して送り出した先発はその名も高き千賀さま。「侍ジャパンとかで見る選手だ!」と思いながら「あーこりゃノーノーでアッサリいかれるなー」と半ば諦めながら見守りますが、思いがけない形で試合は動きます。0-0で迎えた4回裏、西武は3本のヒットと四球を集中させて1点を先制したのです。「3本のヒットと四球を集中させて1点なの!?」「さすがソフバンさまから点を取るのは難しいぜ!」「オリックスさーん!見てますか!見てたらお金ください!」と大盛り上がり。ものすごいペースでお酒が進む試合です。

↓何故か二塁走者が立ち止まってしまうあたり、さすがソフバンさまの守備はお見事です!

ここを1点で止めるソフバンさま!

さすが球界の盟主だなと感心しました!



オリックスさまの優勝には「西武が勝つ」ことが絶対に必要でした。ソフバンさまの勝利はもちろん、引き分けでも優勝はソフバンさまのものになります。西武の1点先制はお喜びいただきつつも、まだまだ安心はできない状況でした。しかし、我が方にしてみればどっちがどうなろうが知ったことではありません。極論すれば楽天さえ上回ればあとはどうでもいい。そんななか、親会社の特別損失を補填してくれないのであれば、どちらに義理立てする理由もありません。ここから我が方は個人記録狙いの投手無駄遣いを始めます。

1-0リードのままで迎えた8回表。文句を言われない程度に勝負感を演出した末にマウンドに送り込んだのは、日本三大由伸のひとりとして知られる水上由伸さん。新人王の資格を残す2年目の若獅子は、この日まで34ホールドポイントを記録し、最優秀中継ぎ投手のタイトルを争っていました。タイトルを獲れば新人王とのダブル受賞もグッと近づいてきます。水上さんは1点リードで迎えた8回表のマウンドにあがると、打者ひとりをアウトにしてすぐさまマウンドを降りました。

ホールドポイント数で単独トップに立った水上さんは、タイトルを争う他球団のライバルの残り試合数の関係で「もう抜かれない」ことが確定。最優秀中継ぎ投手のタイトルを手にして、とっととお役御免となったのです。これには完封リレーを期待するオリックスさまも「タ、タ、タイトル欲しさで早上がりするのか!?」「逃げるなー!逃げるなー!」「そんなんだから56号も出ないんだぞ!」とさぞやご立腹でしょうが、繰り返しになりますが「どっちが勝とうが知ったことではない」のです。

つづいてマウンドに立ったのはコチラも最優秀中継ぎ投手の可能性を残す平良海馬さん。平良さんは打者ふたりをアウトにしとめてホールドポイントをひとつ積み増し、最終戦での同点タイトル獲得の可能性を残しました。もちろん回跨ぎなどしません。打者2人に投げただけでも感謝してもらいたいくらい。さぁ、これでソフバンさまに残されたのは9回表の攻撃だけ。ソフバンさまが打つのが先か、西武親会社の特別損失を謎のホワイトナイトが補填しにくるのが先か。「カウントダウン」という状況になってまいりました。

ただ、さすがソフバンさまと唸らされたのは9回表の攻撃。西武からはここでセーブをひとつ積み増せばセーブ王のタイトル獲得の可能性が残る増田達至さんをマウンドに送ります。もちろん、タイトルが欲しくて投げるのであって、ソフバンさまの優勝もオリックスさまの優勝もどっちでもいい話。行き掛かり上、ソフバンさまの前に立ちはだかることにはなりましたが、恨まないでいただきたいもの。セーブ王に俺はなる!

↓と思って投げたセーブ王への夢は、ソフトバンク柳田さまの大ホームランで打ち砕かれました!

さすがでございます!

こんなパカスカホームラン打たれるようではセーブ王にはなれないこと、よーく理解しました!


引き分けでもソフバンさまの優勝が決まるなか、勝ちパを無駄遣いしてしまった西武ベンチ。思いがけず長引いてしまった試合には「最近投げてないヤツから肩慣らしでもするか…」くらいの意欲しか残っていません。打つ方もサッパリで連打などとても望めない雰囲気です。ソフバンさまの分厚い投手陣、出てくる投手出てくる投手打てそうもない感じで、内心では「もういっか…」「オリックスの優勝は去年見たしな…」「山本由伸がソフバンから10勝くらいしてればよかっただけだしな…」と諦めていました。よくて引き分け決着でソフバンさまの優勝だな、と。ビールかけする場所が駐車場くらいしかなくてカワイソウだな、と。まぁ、適当にどっか行くんだろうからほっときゃいいか、と。

もし、もし、もしも西武が勝ってオリックスさまに優勝の可能性が残るとしたら、コチラの主砲・山川穂高さんの一発しかないだろうと僕は思っていました。そして、その打席は延長戦のなかで1回くらいしかまわってこないので、そこで打たなければ終わりだなと確信していました。1番から始まった11回裏の西武の攻撃。二死一塁という状況で山川さんに最後であろう打席がまわったときには、「申告敬遠しろー」「ほかのは打てないぞー」「優勝申告敬遠だぞー」とソフバンベンチの気持ちで見守っていたもの。

しかし、ソフバンさまのバッテリーは「よもやの勝負」を選択します。山川さんは半笑いで打席に立っています。その笑みは優勝争いをひっかきまわす喜びに震える悪魔の微笑みか。他人事として「パ・リーグおもしれーなー」というファン心理の発露か。あるいは「勝負してくれるんだ!?」と、打点王争いを制するチャンスが増えたことへのほくそ笑みか。とにかくニッコニコで山川さんは打席に入ります。

初球フォーク、ワンバウンドしてボール。2球目内角のフォークにフルスイングで空振り。バットは大きく空を切りました。3球目152キロの真っ直ぐは、外角に外れる見せ球の気配。「外を意識させて」「さっき空振りした内角へのフォークで」「ハイ三振」という配球か。野球ゲームでコンピューターが相手ならば切って取れるのでしょうが、これは人間と人間の勝負。さっき一度見て、わざわざ大きく空振っておいたボールがもう一度くれば、「よっしゃきたでー!」てなもんでしょう。狙い澄ましたフルスイングは、自分自身の打点王を大きく引き寄せ、ソフバンさまの胴上げを阻止するサヨナラ弾!山川さん的にもキャリア初だというサヨナラホームランは、まさしくソフバンさまの何かをサヨナラさせる一発でした!

↓「狙っていた」とは言わない優しさ風味も含めて、してやったりの一撃!

申告敬遠しないからー!

ほか誰も打てないのにー!

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「あー、今年のパ・リーグ面白かった!」と思って迎えた10月2日。僕は「セレモニーで辻監督が泣いて辞任するところでもお見送りするか…」と思って先んじて確保していたチケットで西武ドームに向かいます。しかし、思惑はすでに大きく狂っていました。西武はCS進出を決めて「さすがツッジ」みたいな雰囲気も高まっていますし、ソフバンさまとオリックスさまは世紀の優勝争いを演じています。NBAの日本開催にも行かず、家でソフバンさまとオリックスさまを2画面で見守るでもなく、僕はなぜ西武ドームくんだりに行くことにしてしまったのか…、ちょっとミスチョイスだったかもしれません。

現地で見守る試合は思惑の嵐です。西武側はこの試合に十亀剣さんを引退選手特例として登録し、お見送り試合として位置付けています。さらに、「俺達」の一角として長く活躍し、他球団ファンにも愛された武隈祥太さんも今季限りでの引退を決断したとかで、いきなり大型ビジョンで引退メッセ―ジを発表し始め、セレモニアルピッチに登場すると言い出しました。電撃引退にもほどがある、発表から裏に引っ込むまでわずか3分のインスタント引退劇。この日は十亀剣さんの引退試合だと思っていたスタンドでは「引退のまとめ売りみたいになってきた」「2袋をテープで止めてるソーセージみたいな感覚」「まとめていっぺんにやっちまおう的な」とわずかにざわめきも起こりましたが、ざわめいている間に武隈さんは豪快なセレモニアル引退暴投を投じて去っていきました。寂しさを感じる時間すらない見事な火着け。本当にお疲れ様でした!

↓引退発表から引っ込むまでリアルに3分しかなくて、僕が家族ならキレてるなと思いました!

「お父さん!お願いがあります!」
「お父さんが野球を辞めるときは」
「僕が花束を渡しに行きたいです!」
「そしてお父さんの引退あいさつで」
「支えてくれた家族として」
「めちゃめちゃ感謝されたいです!」
「お前たちがいたから投げられたよと」
「めちゃめちゃ感謝されたいです!」
「僕はすんごい泣きますんで」
「お父さんも泣いてください!」
「できれば手紙を読みたいです!」
「感動的な手紙を書きまして」
「パ・テレにまとめられたいです!」
「【武隈の息子に全パが泣いた】って動画で」
「パ・テレでバズりたいです!」
「弔辞の人みたいな感じで」
「【武隈の息子の手紙全文】って記事で」
「西スポでバズりたいです!」
「お父さんは西武一筋15年と無駄に長いので」
「球団もそれぐらいのことは」
「さすがにさせてくれると思います!」
「勝手にひっそり辞めてけとか」
「そこまで冷たくはないと思います!」
「だからお父さん、引退のときは」
「僕を球場に呼んでください!」

息子さんがいるかどうかは知りませんが、僕ならこう言ったと思います!

まぁ、アッサリしているのは「らしい」なとは思いますが!

前日に引きつづき、自分たちのやりたいことだけをやる西武。もはや世間体を整える見栄さえなく、先発エンスを2回で降ろすと、最優秀中継ぎのタイトルを狙う平良海馬さんをマウンドに送り込みました。同点の状態であれば打者ひとりをキッチリ抑えればホールドがつきます。一番打たなそうな日ハム・杉谷拳士さんを狙って出てくるタイトル欲しさ100%の登板ですが、もはやこの試合の勝敗には特に何もかかっておりませんので、タイトル狙いでやらせていただくのは当然のこと。我々は一番簡単そうな方法を模索するだけで、タイトル争いから逃げも隠れもしない球団なのであります。

↓水上さん、平良さんのホールドポイントを完璧に調整してダブル受賞達成です!

他球団のライバルも同じことやれば3人並ぶ可能性があったんですけどね!

まぁ、向こうはまだ見栄があったということでしょう!


試合全体で思惑ラッシュの西武側。あと残り11と迫っている前人未踏の通算2000三振へ向けてスタメンで登場した中村剛也さんは、2回裏に見事に三振を喫して自身が持つプロ野球記録を1990まで伸ばしますが、2打席目ではホームランを打ってしまうなどその後は記録を伸ばせず。夢の2000三振達成は来年へ持ち越しとなりました。森友哉さんは久々に人気の登場曲「ベイビーシャーク」を鳴らして「(今シーズン)最後なんで(今シーズン最後に)もう一回(最後だから)一緒に(思い出作りとして)やりましょう!(ありがとうございました!)」的なファンへの心遣いを見せる場面も。ラッキーセブンの7回表には引退登板の十亀剣さんが登場し、打者ひとりをアウトに仕留め、亀のメダルを首にかけてもらいました。勝利への気配すらない試合ではありましたが、やりたいことはキッチリできました。さぁ、とっとと試合を終えて、ソフバンさまとオリックスさまの様子を見なくては。

ドコモの電波が届かない僻地球場で悪戦苦闘しながら、僕はDAZN等を駆使して他球場の状況をチェックします(←目の前の試合は流し見)。序盤はソフバンさまが2点をリードし、オリックスさまが2点リードされていました。うーん、さすがに逆転優勝はないのかと思いました。しかし、野球の神様もしくは悪魔は、面白い方へと試合を転がしていきました。オリックスさま、すかさず3点奪取で逆転。ソフバンさま、6回裏に泉圭輔さんがご乱調でスリーランを浴び、ロッテに逆転を許しています。その後もオリックスさまはリードを広げ、ソフバンさまは失点を重ねていきます。

もはや最後のほうはスマホ2台をフル回転させながら他球場を見守っている始末。周りを見渡せば誰もかれもがスポナビあたりの1球速報で他球場の様子をうかがっています。他球場を見守るのが忙しくて、目の前の試合が終わったことも「あーはいはい…」くらいで流してしまったほど。西武の最終戦セレモニーをちょっと待たせてでも、大型ビジョンで他球場の映像を流してほしいくらいでした!

「これ世紀の大逆転くるね…」
「もう完全にオリックス優勝の流れ」
「ソフバン、8回に1点追撃です!」
「ソフバン、8回のチャンス逃しました!」
「オリックス、9回に追加点です!」
「オリックスの試合終わりました!」
「オリックス勝ちました!」
「ソフバンの試合も最終回です!」
「ソフバン負けました!」
「オリックス優勝です!」
「2022年のパ・リーグ優勝はオリックスです!」
「おめでとうございます!」
「井口辞めました!」

↓いやー、こんなことが起きるなんて、頑張って邪魔した甲斐がありました!


プロによるプロのドラマ!

他人事として最高に楽しませていただきました!



いやーーー、面白かった。野球最高!家で見ていればもっと充実したとは思いますが、大満足のシーズン最終日でした。歴史に残る優勝争いを演じたこの両チームと、我が埼玉西武ライオンズがCSでもう一回やらせていただく可能性があるなんて夢のようです。もちろん今さらしゃしゃり出て勝とうなんておこがましい話ではありますが、万が一、これだけのドラマを演じた両球団を倒して「パ・リーグの代表でござい」みたいな顔で日本シリーズに出るようなことがあったらトンデモない珍事となることでしょう。セ・リーグの代表も間違って上がってきた阪神だったりなんかして、「シーズン意味ねぇな」「どっちらけ」「トラとライオンどっちが弱いか決戦」みたいな物議をツイッターで醸したりするのかなと思います。

まぁ、オリックスさまとソフバンさまを近くで見させていただくチャンスだと思って、気楽に楽しめればいいなと思います。「あー、ウチが勝ったらウチ以外全部がズッコケるんだろうなー」という悪戯心を胸に、ソフバンさまを沈めた山川さんのほくそ笑みのような顔で、ニヤニヤ戦いたいもの。もうとっくにコッチは死んでおりますのでね。ゾンビでやらせていただいてますんでね。ひっかきまわして、盛り上げる仕事だと思って気楽に頑張りたいと思います!

↓オリックスさま、もし会いに行けたら1勝ぶんお礼をくださいね!


プロ野球全体のことを考えて、世間をズッコケさせない程度に頑張ります!