【ジャケ買い日本酒】まるでワイン!?な日本酒「KURAMOTO」〜『伊藤家の晩酌』第二十四夜1本目〜

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弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第二十四夜は「ジャケ買い」がテーマ。1本目は、ワインのような香りと味を追求した奈良のお酒。(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

第二十四夜1本目は、ソーヴィニヨンブランと同じアロマ成分を含む「KURAMOTO」

日本酒発祥地の奈良県で1871年創業の「倉本酒造」。代々、大切にしてきた裏山の水を使い、日本酒の新たなスタンダードを目指す。まさに温故知新な酒造りで生まれた新しい1本。「KURAMOTO」720ml 2750円(税込・ひいな購入時価格)/倉本酒造株式会社

娘・ひいな(以下、ひいな)「今回の特集は、ラベルが気になっちゃった特集です!」父・徹也(以下、テツヤ)「ジャケ買いってやつだね(笑)」ひいな「そうそう」テツヤ「今まで飲んだことのないお酒?」ひいな「そう。飲む前にラベルが気になってジャケ買いして、おいしかった中から厳選した3本ご紹介します!」テツヤ「どれだけ飲んだの(笑)?」ひいな「飲まないと決められないからね!」テツヤ「そりゃそうだ(笑)」ひいな「ねぇねぇ、このラベルに見覚えあったりする?」

テツヤ「うーん、あるような。この雰囲気、どっかで見たことあるぞ」ひいな「第58回で出てきました」テツヤ「それはさすがに覚えてないな(笑)」ひいな「ゲストの方に料理を作ってもらったんだけど……」テツヤ「あ、料理長の早乙女さんの回だ!」ひいな「そう。白いラベルのお酒で『六十餘洲』 って覚えてる?」テツヤ「あぁ! もしかして熟成酒?」ひいな「そうそう。あのお酒とデザイナーさんが同じなの。安藤次朗さんという方がデザインしてるんだけど」テツヤ「へぇ」ひいな「このラベルについては、あとで話しするとして」テツヤ「OK(笑)」ひいな「これは、“品目 日本酒”って書いてあるんだけど、本当に日本酒?って思っちゃうようなお酒なの」テツヤ「へぇ。早く飲んでみたいな。ワイングラスが出てるってことは、ワインぽいってことかな?」ひいな「ね。まず飲んでみようか」

テツヤ「いい音! きれいな透明だね!」ひいな「ね。きれい〜」ワイングラスでいただきます!注ぐだけでいい香り〜!いただきます!

テツヤ「おぉ、いいぞ。酸味がいいぞ」ひいな「マスカットっぽくない?」テツヤ「うんうん。確かに。香りがすでにめちゃくちゃ緑のぶどう感あるね」ひいな「そう。ぶどうっぽい渋みは感じないワインというか」テツヤ「あぁ、そうだね。寿司屋でさ、ワイン置いてあるお店ってあるけど、寿司とワインは合わないんじゃないかって個人的には思ってるんだけど、これはいいかもね」ひいな「日本酒とワインの間というか」テツヤ「どうしてこんなにぶどうっぽいんだろう?」ひいな「不思議でしょ? それがね、調べても出てこないの(笑)。でも、『4MMP』っていわれる、白ワインに使われる品種のソーヴィニヨンブランの香りの成分が含まれてるみたいで」テツヤ「おぉ! ワインぽいと感じたのは間違ってなかったんだね」ひいな「ライチとかマスカットとかグレープフルーツが融合した感じの香りなんだって」テツヤ「うんうん、わかる気がする。その香りって酵母が関係してるのかな」ひいな「おそらく。日本酒を飲みたいっていう時はこのお酒じゃないかもしれないけど」

テツヤ「でも、最初の一杯とか、軽く飲みたいとかにいいよね」ひいな「ね。精米歩合は64%、純米とは書いてないけど純米規格らしいよ」テツヤ「情報が少ないんだね」ひいな「書いてない部分は想像して楽しんでくださいってことなんだと思う。ちょっと秘密めいてる感じ」テツヤ「『KURAMOTO』いいね。ちょっと知ってるとよくない?」ひいな「そうそう。2750円って、それなりの値段ではあるんだけど」テツヤ「まあまあするねぇ(笑)」ひいな「でも、ほらワイン買ったと思えば」テツヤ「確かにね。ワインとして考えるんだったら、何が合うんだろう?」

「KURAMOTO」に合わせるのは、ビストロの定番たまご料理「ウフマヨ」

テツヤ「これは何だ? たまご?」ひいな「これは、ナツ・サマーさんと飲みに行った時に人生で初めて食べたウフマヨです(ライター注:ナツ・サマーさんには第十六夜にゲストでご登場いただきました!)」テツヤ「ウフマヨって何?」ひいな「フランス語でウフはたまごっていう意味なんだけど」テツヤ「フランス語なんだ」ひいな「そう。マヨはマヨネーズ。今回、マヨネーズは既製品を使ったんだけど、マヨネーズを牛乳でのばして、お酒と合うようにお酢を入れてみました」テツヤ「へぇ。どんな味なんだろう。このマヨソースが気になるね」ひいな「このマヨソースと黄身を合わせるのに試行錯誤したの」テツヤ「どういう食べ方がいい?」ひいな「最初にウフマヨを食べてから飲んで、また食べて飲んで、かな。シンプルにフランス料理屋さんに行って、最初に前菜としてウフマヨを頼んだ、みたいなイメージで」テツヤ「なるほど。ほんとに合うのかな?」ひいな「どう?」

日本酒にウフマヨ!?と半信半疑な父・テツヤ。お酒にもバッチリ合いました!

テツヤ「うん、合う(笑)」ひいな「よかった〜! 合うでしょ? お酒にはないとろみをカバーしてくれてる感じがあるでしょ?」テツヤ「確かに。お酒がさらっとしてるもんね」ひいな「マヨの酸味も合うし」テツヤ「お酒でさらにのばす感じもあるというか」ひいな「ウフマヨだけだと抜群においしいわけじゃないと思うんだけど、お酒があるから引き立つというか」テツヤ「うんうん。確かに増長してる感じ」ひいな「お酒と合わせるからいいんだよね」テツヤ「マヨネーズが合うね。さっぱりとする。このたまごってさ、もしかして、益子で買ってきたやつ使ってる?」

父が益子の道の駅で買ったという「丈夫卵」

ひいな「そう」テツヤ「白身がおいしいってことで買ってみたんだけど。このたまご、独特の白身だよね?」ひいな「そう。弾力がすごいよね。ぷるんぷるん」

名前や情報だけじゃない、ラベルに込められた蔵の想いやメッセージを読み解く。

ひいな「このラベルの話していい?」テツヤ「お願いします!」ひいな「安藤次朗さんがデザインしてるんだけどね、中心に波紋があるのわかる?」テツヤ「うんうん」ひいな「それに重なり合って、白い波紋がうっすらと見えるでしょう?」テツヤ「あぁ」ひいな「平面なんだけど、奥行きがあるようなデザインになっていて」テツヤ「手触りもいいね」ひいな「日本酒の色を見る“蛇の目”ってわかる?」テツヤ「蛇の目?」

おちょこの底に描かれた蛇の目の模様は利き酒の時に色を見るためのもの。

ひいな「これなんだけど」テツヤ「あぁ、これか! なるほど。これは蛇の目っていうんだ」ひいな「これは、蛇の目とか蔵の軒下によくぶら下がってる杉玉を意識したデザインなんだって」テツヤ「なるほど」ひいな「デザイナーの安藤次朗さんが蔵に行って、杜氏の方にお話を聞いたりして、裏山の手入れを自分たちで行なったり井戸水を使うことから、山と波紋っていうイメージが生まれたんだって」テツヤ「へぇ」ひいな「歴史がある蔵だから、さらに日本酒の世界を拡張するために固定概念にとらわれず、温故知新でこのお酒を造ったらしくて、新しいラベルを取り入れたのも、これからにつなげていくためなんだって」テツヤ「シンプルな中にメッセージが込められてるんだね。ちょっと温度上がってきたら味が変化してきたね。キンキンに冷やして飲んだほうがおいしいかも」ひいな「うん。温度が上がってくると少し渋く感じるね。私もノートに『キンキンがおいしい』って書いてあった。正解!」

裏に書いてあるQRコードを読み込むとウェブサイトへ飛びました。

テツヤ「やった! ワインじゃないけど、ワインみたいに合わせたいね。いいお酒を教えてもらったなぁ」ひいな「この雰囲気、他にあんまりないと思うな」テツヤ「贈り物にもいいんじゃない?」ひいな「気の利く1本だよね」テツヤ「そうだよね。センス良く思われるかな?」

【ひいなのつぶやき】ちょっとしたプレゼントにも、自分へのご褒美にも、知っておくとタメになる1本です! 仕事終わりの贅沢な一杯にもいいなぁ〜!ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中