ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

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12球団で群を抜くWARなど、ほとんどの打撃指標が12球団トップ

 現在、日本球界で最高の打者と言えば、皆さんは誰を思い浮かべるだろうか? 数々の好打者がいる中で、ソフトバンクの柳田悠岐外野手を挙げる人が多いのではないだろうか。このオフには日本人野手史上最高額となる年俸6億1000万円(推定)で契約を更改した柳田には今季もまた、我々を驚かすような活躍が期待される。

 驚愕のパワー、圧倒的な飛距離、そして体勢を崩されながらもスタンドまで運ぶ“変態打ち”などなど、柳田の魅力は数多くあるが、その凄さは一体どこに隠されているのだろうか? セイバーメトリクスの指標を用い分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照し、昨季の柳田が叩き出した凄さを分析してみよう。

 最多安打のタイトルを獲得し、得点数もリーグトップだった柳田。その一方で、打率は吉田正尚(オリックス)に次ぐ2位、本塁打と打点は浅村栄斗(楽天)、中田翔(日本ハム)に次ぐ3位、出塁率は近藤健介(日本ハム)に次ぐ2位だった。各指標で上位につけているものの、この成績だけを見ると、傑出ぶりはさほど見えてこない。

 ただ、セイバーメトリクスの打撃指標を見ると、柳田の“異質ぶり”が伝わってくる。特に傑出しているのが「WAR(Win Above Replacement)だ。そのポジションの代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたかを表す指標で、柳田は8.4という凄まじい成績を残す。2位の坂本勇人(巨人)の5.7に2.7もの差をつけており、その存在感が際立つ。

重要な局面での勝負強さを表す「WPA」と「Clutch」も12球団でトップ

 これだけではない。出塁率と長打率を合わせたもので、12球団で1を超えているのは柳田と村上宗隆(ヤクルト)の2人だけ。その村上に対して、柳田は0.059の差をつけて12球団トップだ。長打力を表す「ISO」も12球団トップ。1打席あたりにどれだけチームの得点増加に貢献したか、を表す「wOBA」も.462で12球団1位となる。

 さらには得点創出力を表す「wRC」の115.2、「wRC+」の205も12球団トップと、ありとあらゆる打撃指標でトップに立つ。チームの勝利期待値の増減に寄与したかを示す「WPA」は驚異的な8.24という数字に。2位の浅村の4.90に3.34もの差をつけており、いかに柳田が打つことでチームの勝利期待値を増加させたか、重要な場面で打ってきたかを表す。

 さらには重要な場面でこそどれだけ普段以上の結果を出すかを表す「Clutch」という指標でも2.02で12球団でトップに立つ。この指標はどんな凄い打者でも重要な局面で普段通りの成績であればゼロ、普段よりも成績を落とせばマイナスになる指標。常に相手の脅威となる柳田だが、チャンスの場面ではさらにその凄みが増すという結果になっている。

○柳田の主な打撃指標
OPS 1.071(12球団トップ)
ISO .281(12球団トップ)
wOBA .462(12球団トップ)
wRC 115.2(12球団トップ)
wRC+ 205(12球団トップ)
WPA 8.24(12球団トップ)
WAR 8.4(12球団トップ)
Clutch 2.02(12球団トップ)

 この傑出した打撃指標の数々が柳田の凄さを存分に表している。今季は2年連続のリーグ優勝、5年連続の日本一を狙うソフトバンク。主砲として柳田の活躍からも目が離せない。(Full-Count編集部)