現在開催中の高校選手権で、ロングスローが物議を醸している。ロングスローから1試合に3点も決めたチームがあることで、賛否が分かれているというのだ。

 僕はまったく気にならない。ロングスローから得点を取ることの、何がいけないのだろう。何が気になるのだろう。

 ロングスローは“飛び道具”と表現されることもある。正攻法ではないもの、という意味合いがそこには含まれている。

 だが、ロングスローを投げられる選手がいて、それに合わせられる選手がいれば、得点に結びつけられるというわけではない。しっかりと練習を積んだうえで、各チームは得点パターンのひとつとしているはずだ。FKやCKと同じリスタートであり、リスタートから得点できるかどうかは、勝敗を左右する重要な要素である。

 さらに言えば、選手の特徴を生かして得点を奪うことは、自分たちが持っている武器をしっかりと使うことである。何ら否定されることではない。

 ロングスローによる得点が高校選手権ではなく、W杯だったらどうだろう。

 グループステージ突破をかけた一戦で、日本代表がロングスローから得点を奪い、ベスト16進出を決めたら──僕は「つまらない」と思わないし、「アンチ・フットボールだ」と眉をひそめたりもしない。得点の瞬間には身体が無条件に反応して、ガッツポーズをするに違いない。ロングスローから点が入ったことに対して、気恥ずかしさを覚えることもない。

 得点へのプロセスを度外視するつもりはないが、試合内容や得点経過は時間とともに薄れていく。最終的に記録と記憶に残るのは、結果だからだ。

 日本ではなく強豪国だったらどうだろう。ブラジルやアルゼンチン、ドイツやフランスといった国々がロングスローから得点したら、日本のメディアやファンは批判するのか。それがW杯の決勝戦で、決勝点だったとしても、物議を醸すのか。

 なりふり構わず得点を奪いにいった、勝利への執念を見せた、という声があがる気がする。前向きに評価する声が、はっきりと聞こえてくると思う。

 W杯と高校選手権は違う、という意見があるかもしれない。

 ならば、高校生年代が挑むU―17W杯で、日本代表がロングスローから失点したら、「それならしかたがない」と納得するのか。ロングスローから得点をしても、「つまらない」と切り捨てるのか。

 そんなことはないだろう。育成年代と呼ばれる高校生年代は、「結果より内容を追求するべきだ」という声が聞こえてきそうだが、高校生だって結果にこだわっていい。負けてなお得られるものはあるが、勝つことで得られるものも間違いなくある。

 ロングスローからの得点がこうして話題になるのは、パスをつなぐサッカー、相手の守備を崩して得点を狙うサッカーが、好まれているからなのだろう。つなぐサッカーからの得点には、僕自身も爽快感を覚える。

 そのうえで言えば、ロングスローという手段の是非を問うことには、率直に言って意味がないと思う。どんな手段によるものでも得点に変わりはなく、相手より多くの得点を奪って勝つことが、サッカーという競技なのである。