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平日は「働くクルマ」として大活躍

text:Kenji Momota(桃田健史)

日本を代表する、商用車のロングセラー。トヨタ・ハイエースには様々な顔がある。

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平日の、東名高速、関越道、東北自動車、常磐道、京葉道路から同流する首都高速の各路線。朝は上り路線、夕方から夜にかけては下り路線で「働くハイエース」を数多く見かける。


トヨタ・ハイエース    トヨタ

コロナ禍でも、都心のビル建設などが進んでおり、首都圏各所から建築、電気、水道などの専門家が「働くハイエース」で通勤しているのだ。

彼らは「現場」近くにある、1日最大料金が設定されている屋外駐車場にハイエースをとめる。作業を始めるのは午前8時過ぎが多いが、高速道路での朝の渋滞を避け、また駐車場を確保するため午前7時頃には「現着」するのが常識だ。

ルーフキャリアに固定した脚立を下ろしたり、荷室後部に設置した各種専門工具の使用準備をしたり「移動作業部屋」となる。

こうした「働くハイエース」は単なるトランスポーター(移動車)ではなく、現場近くの休憩所として、昼休みと中休みでの「つかのまの憩いの場」となる。

またスマホやノートパソコンを使った業務連絡や業務報告をおこなう、事務処理に対応した「移動オフィス」としても活用される。

そうした「働くハイエース」でも様々なグレードが選ばれている。

ハイエース、車内アレンジに独自性

「働くハイエース」の基本は、コスパを最優先して、ロングバン・標準ボディ・標準ルーフの「DX」。樹脂製の黒バンパーが目印だが、上位グレードの「スーパーGL」をイメージして、カラードバンパーなどをオプション装備を施した「GLパッケージ」を選ぶ人もいる。

もちろん「スーパーGL」を働くクルマとして、また日常使いとして活用している人も多い。


トヨタ・ハイエースのインテリア一例。    トヨタ

こうした4ナンバー車に加えて、1ナンバー車となるがロングバン・ワイドボディ・ミドルルーフの「スーパーGL」の需要も確実に増えている。

商業車、作業車としてだけではなく、周知の通り「楽しむハイエース」という乗用で利用する人も多い。

まず、近年ではキャンプブームが再燃しており、キャンパーのベース車として専門業者が様々なアレンジした完成車として仕上げるケースが増えている。

メーカー系列でのオプション設定としては、トヨタカスタマイズ&ディベロップメント社のモデリスタブランドとして、mRT(マルチ・ロール・トランスポーター)がある。

荷室床の加工や、トリム仕様、また折り畳み式の簡易ベッドを装着するコンプリートカーだ。

この他、ユーザーがホームセンターや100円ショップで加工用素材を見つけ、独自に車内をDIYするケースも多い。

先祖返り? 楽しむハイエース、復活

最近の「楽しむハイエース」の動向を見ていると、筆者としては80年代を思い出す。

当時、すでに商用車であるハイエースを「レジャーで使おう」というトレンドがあった。


レジャーでの使用増はハイエースだけではない。日産NV350キャラバンの荷室長を活かした車内泊スペースが誕生。    高桑秀典

対面式のスイングウエイシートや、大型の電動サンルーフや、当時としてはまだ珍しかったムーンルーフなど、生活をより楽しむためのアイテムを満載。

足元にはファッショナブルなアルミホイールを履くケースも増えた。

ハイエースまでのボディサイズだと、車庫の広さや日常使いでの取り回しでは「大き過ぎる」と思う向きには、「タウンエース」が選ばれた。

この頃はまだ、ミニバン文化は芽生えていない。

それが90年代に入り、状況は一変する。

まず、米キャルティデザインスタジオがスケッチを描いた「エスティマ」が日本で大ブレイクする。さらに、96年には「ノア」の前身である、「タウンエースノア」が登場。

こうした流れが2000年代の「アルファード」へとつながり、各メーカーがごぞって各種ミニバンを企画するようになった。

そして2010年代中頃から後半になり、ミニバン文化からの、まるで「先祖返り」のように「楽しむハイエース」が復活したといえる。

では、今後のハイエースはどのように進化しているのだろうか?

6世代(300系)が登場するも日本は?

現在(2020年末)、ハイエースは5代目(200系)モデルであり、2004年デビューから16年目にある。

ハイエースの歴史をみると、初代が10年間、2代目が8年間、3代目が10年間、4代目が9年間でフルモデルチェンジを受けており、5代目の車齢の長さが目立つ。


2019年に新興国向けとして、300系が登場。それをベースに日本では、高級ミニバン「グランエース」となった。    神村 聖

ただし、5代目のなかでマイナーチェンジされ、現行車は2020年5月改良の6型である。

メガウェブ(東京都江東区)におこなわれた5型の記者発表会を取材したが、この日は「ハイエース誕生50周年」イベントも兼ねており、開発担当の主査に対して「これまでのハイエースとこれからのハイエース」について直接、話を聞いた。

その際、「働くハイエース」としての性能向上はもちろん、「楽しむハイエース」の分野を販売店を交えて深堀りしていきたい、と将来への意欲を見せた。

さらに、6代目「ハイエース」について言及は避けたが「適材適所」への考慮をにじませていた。

結果的には、2019年に新興国向けとして、300系が登場。それをベースに日本では、高級ミニバン「グランエース」となった。

トヨタの各方面からの声を総合すると、200系は日本市場での「働くハイエース」と「楽しむハイエース」の両面を考慮し、300系とは完全に棲み分けて、当面は生産継続の可能性が高い。