2012年7月から約7年間、『月刊ジャイアンツ』(報知新聞社)で連載コラムを担当した芸人の「おくまん」。根っからの"G党"である彼が、リーグ連覇の喜びと共に、来季に向けてヤクルト・山田哲人のFA問題を語り尽くす!

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今オフFAの目玉であるヤクルトの山田(右)。巨人の坂本(左)とは仲がいいことで知られるが......

 東京出身の僕は生まれてからずっとジャイアンツファンである。

 父親の影響で夕飯時にはナイターが必ずついていたし、小学生の頃はウォーレン・クロマティ選手が好きすぎて、文房具をはじめすべての持ち物に彼の背番号である49を書いていたりした。

 そして、芸人になった今でもジャイアンツ愛は衰えることなく、昨年は東京ドームを中心に40試合以上を現地で観戦。そんな僕が大好きな読売ジャイアンツが、10月30日に2年連続38度目のリーグ優勝を果たしました!

 今年は開幕13連勝の菅野智之投手や、新人王候補・戸郷翔征投手らを柱に、大江竜聖投手・高梨雄平投手ら新戦力の中継ぎ陣もフル回転して勝ち星を重ねていった。

 さらに、タイトルや記録の行方が気になる"サカオカマル(坂本勇人、岡本和真、丸佳浩)"はもちろんのこと、育成ドラフト出身の松原聖弥選手・増田大輝選手らが躍動し、ベテラン中島裕之選手の復活で厚みの増した攻撃陣。そして、チームメイトの活躍を喜ぶベンチ一丸の姿も麗しかった! これほどまですべてが噛み合っての優勝は久々のような気がする。

 そして、そして! 締めくくりは8年ぶりの日本シリーズ制覇しかないでしょう!!

 さて、突然ですが、僕は毎年この季節になると思うことがある。「人間の欲というものは無限なんだ」と。

 今年優勝したけど、来年も優勝してほしい。
 来年優勝したら、再来年も優勝してほしい。
 っていうか、もはや毎年優勝してほしい。

 これは僕のみならず、12球団のファンに共通する思いじゃないでしょうか。

 ジャイアンツには今まで以上に強いチーム作りをしてほしいし、盤石の体制で来季に臨んでほしい。そこで、今年も気になるのがFA市場です。

 昨季、丸選手が広島から加入して以来、他の選手たちの顔つきが変わった感じがするし、なんといっても打線に厚みが出た。田口麗斗投手は丸選手に、「自分は(対戦投手として)どう映ってましたか?」と聞きにいったとか。打者だけでなくチーム全体にいい影響を及ぼすのがこのFA移籍なのである。

 ちなみに、今年の主なFA選手は、山田哲人選手(ヤクルト)・梶谷隆幸選手(DeNA)・田中広輔選手(広島)・西川遥輝選手(日本ハム)・大野雄大投手(中日)・小川泰弘投手(ヤクルト)・増田達至投手(西武)など、豪華な顔ぶれ。

 このメンバーの中で、やはり僕が気になるのはトリプルスリーを3度も達成した大打者・山田選手。もちろん打撃だけでなく、広島の菊池涼介選手の陰に隠れてさほど目立ってないような気がしますが、守備力もピカイチ!

 もちろん、僕もただただ「欲しい」って言ってるわけじゃありませんよ。

 金銭面に関しては僕の知るところではないけれど、山田選手はキャプテンの坂本選手とプライベートでも仲がいい。試合中に、ときどき二塁ベース上で談笑してる2人の姿なんか最高ですよね。芸人の世界も楽屋に仲のいい先輩や後輩が居たりすることって、メンタル的にかなりいい影響を及ぼします。プロ野球選手もきっとそうなはず! ここ超重要!!

 さらには、山田選手は子供の頃に好きだった選手が、元巨人のドミンゴ・マルチネスだったと聞くし(めちゃめちゃ渋い!)、ジャイアンツの長年の補強課題と言われていたセカンドというのも見事に合致するんです。

 この状態、謎かけ名人のねづっちさんの言葉を借りるならば、ジャイアンツが山田哲人獲得に動く条件は「整いに整いまくってる」んですよね。

 こんなことを言ってると「またジャイアンツかよ!」とか「すぐ他のところで育った選手を持っていくのかよ!」とか言われちゃいますね。今までこのセリフをどれだけ言われてきたことか(笑)。なんだかすみません!!

 しかし、ここで問題がひとつ。育ってきてるんですよー!! 今のジャイアンツはどんどん若手が育ってきてる! 長年の課題と言われてきたセカンド問題にもメドがつきそうな感じなんですね。

 吉川尚輝選手は、今季105試合に出場(11月2日現在)し、打っては1番打者として定着。開幕戦では土壇場で技ありの逆転HRを放ち、チームに勢いをつけました。あの一発がなければ、菅野投手の連勝記録もなかったわけですからね! 守ってもその守備範囲の広さで何度もチームのピンチを救ったし。さすが菊池選手と一緒の中京学院大出身です。

 他にも、若林晃弘選手、田中俊太選手、増田選手、2軍で主軸を打つ北村拓己選手など、3〜5年目の生え抜きの若手が本当にどんどん育ってきてる。この勢いはまさに"ジャイアンツ第七世代"の誕生と言ってもいいかもしれません! これほど嬉しいことはないですねえ。

 だから実を言うと、山田哲人選手を補強したいけど...って状態なんですけど、実際問題「山田哲人を獲るのか獲らないのか。どっちだ!?」と二択を迫られたら、そりゃ獲りたいに決まってる!

 というわけで、仮に山田哲人選手を獲得したと仮定して、2021年開幕オーダーを考えてみました。考えるのは自由ですからね(笑)。

1(二)吉川尚輝
2(一)山田哲人
3(遊)坂本勇人
4(三)岡本和真
5(中)丸佳浩
6(左)若林晃弘
7(右)松原聖弥
8(捕)小林誠司
9(投)菅野智之

 おお、これは......我ながら、生え抜き(ドラ1が5人)・FA組・育成出身&ドラフト下位指名の選手とバランスが取れたいいスタメンです!

 見てのとおり、一応、9番ピッチャーはエース・菅野投手にしたんですけど、最近になってメジャー挑戦のニュースがチラホラ出始めましたよね。嬉しいような寂しいような......。絶対的エースが居なくなると当然、戦力の大幅ダウンは否めませんけど、彼にはぜひとも海を渡ってほしいと思っています。

 2017年WBCの準決勝・アメリカ戦のように、バッタバッタとメジャーの打者たちを打ち取っていくあの大きな背中がまた観たいじゃないですか! そして、数年後にジャイアンツに戻ってきてくれることを信じ、僕はその日を正座して待とうと思います。

 絶対的エースが抜けるとしたら、その穴は今年ブレイクした戸郷投手をはじめ、大学の後輩である中川皓太投手、自主トレにも帯同してる宮國椋丞投手らを中心に、"菅野イズム"を継承した若手投手陣がカバーしてくれるはず。それらは大前提として、やはり今オフFAの大野投手の獲得に動いてもいいですね!! いやいや、これはさすがに冗談です(笑)。

 オーダーの話に戻りますが、悩みに悩んだ結果、若手有望株の吉川尚輝選手の1番セカンドは生かしつつ、山田選手には侍ジャパンでも経験のあるファーストを守ってもらうことにしました。これが一番しっくりくるかも。打順は2・3番で「てつと・はやと」を並ばせたい。名前だけ見ると浅草の師匠コンビみたいになっちゃいますけど。

 この山田哲人FA問題、獲得できればもちろん嬉しい。しかし、獲得できなくても生え抜き若手の活躍の機会が増えたと考えればこれまた嬉しい。つまり、どっちに転んでもジャイアンツ的には最高の形が決定してるんです! そんなこと言いつつ、究極は「山田哲人選手を獲得できて、なおかつ生え抜きの若手が活躍してくれる」のが最高なんですけどね(笑)。

 あ、でも、もしセリーグにDH制度が導入されれば、出場できる野手がひとり増えるので、この問題も解決しますねえ。ああ、この流れでセリーグにも実験的にDH制度が導入されたらいいのになー。

 やはり、人間の欲というものは無限である。