画面越しに包丁をもった道渕が、「一生後悔しつづけろ!」と……罵倒は3時間に及んだという(知人提供写真)

「助けてっ、殺される!」
 8月9日午前0時30分ごろ、宮城県警に切羽詰まった女性の声で、110番通報が寄せられた。女性は、交際相手の男性に暴行を受けていたのだ。女性が提出した被害届を受けて、9月7日、男は傷害罪容疑で逮捕された。

 この事件の加害者は、サッカーJ1の「ベガルタ仙台」に所属するMF・道渕諒平(26)。そして被害者の女性は、地元放送局の情報番組で活躍するタレントだった――。

「彼は仙台のユース出身で、サポーターの期待は大きい。キレて無用なファウルをする選手ではなく、むしろ仕掛けるプレーからファウルを多くもらうタイプ。日本代表入りも狙える、スター性のある選手です」(サッカー専門誌記者)

 道渕は、「ヴァンフォーレ甲府」に所属していた2017年にも、別の女性への暴行事件で逮捕され、出場停止などの処分を受けた過去がある。しかし、今回の仙台での事件は、いっさい報じられていないのだ。

「彼女は、今もトラウマに悩まされ、元の自分を取り戻そうと心療内科に通っています」

 そう事情を話してくれたのは、道渕とも今回の被害者である女性タレント・H美さん(27)とも交流のある知人だ。

「H美さんは、お笑いタレントを多く抱える大手芸能事務所に所属していました。道渕とは2019年5月、SNSで知り合い、1カ月後には交際に発展したと聞きました」(知人)

 交際は順調だったが、徐々にH美さんは追い詰められていく。理由は、道渕によるDVだ。

「交際から3カ月たつと、彼が日常的に暴言を吐くようになったのです。たとえば、『お前なんて、顔だけで生きてきたくせに』『俺は努力して成功したけど、お前は怠惰だから売れない』――。

 束縛も酷く、LINEの返信が5分遅れただけで『無視??』など、数十通もメッセージが届くと怯えていました」(同前)

 H美さんは、道渕を怒らせないよう努めたが、それがまたDVに拍車をかけた。

「彼女の体は、あざだらけでした。胸倉を掴まれ投げ飛ばされたり、首を絞められたり……。山の中で車から降ろされ、置き去りにされたことも。

 彼とのビデオ通話の映像を見せられ、相談を受けたこともあります。道渕がみずからに包丁を突きつけ、『俺の気持ちを踏みにじりやがって! 死んでやるから見てろよ、一生後悔しつづけろ!』と3時間も罵りつづけるんです。常軌を逸しています……」(同前)

 DVのあと、道渕はしつこいほど謝ってくるのが常だった。H美さんが別れを切り出すと、「死んでやる!」と暴れ、手がつけられない状態になった。ユース時代から道渕を知るサッカー関係者は、こう語る。

「仙台駅で、泣き叫ぶH美ちゃんを、道渕が車に引きずり込むのを見かけたことがあった。後日、道渕本人に注意したら、彼女がチクったと勘違いしたのか、3時間以上も彼女が罵倒されたと聞いた」

道渕からH美さんへの連投LINE。ファンからのプレゼント(ダイソン)を売るよう求められた(知人提供写真)

 DVの手口は、大きく6パターンに分類できると、DV問題に詳しい「あおば法律事務所」の橋本智子弁護士が語る。

「(1)殴る蹴るなどの『身体的暴力』。
(2)言葉で痛めつける『精神的暴力』。
(3)無視やいじめなどの『心理的暴力』。
(4)外出制限などで人間関係を絶たせる『社会的暴力』。
(5)経済的に圧迫する『経済的暴力』。
(6)性交渉を強いるなどの『性的暴力』。

 道渕選手のように、6つの手口すべてを駆使するという徹底したケースは珍しい。筋金入りのDV加害者といえるでしょう」

 現在、H美さんは道渕と決別し、心身を癒やす日々だという。

「H美さんは、今回の事件で関係者に “迷惑” をかけたということで、情報番組を突如降板させられました。彼女は道渕が裁判を受けることを望んでいましたが、面倒を嫌った所属事務所が、彼女の意に反して示談にしてしまったそうです。

 結局、9月いっぱいで事務所との契約も解除になりました。彼女は被害者なのに、事務所はなぜ、彼女にこんな仕打ちをするのか……」(前出・知人)

 本誌がH美さんに連絡すると、「お答えできない決まりなので……すみません」と言うのみ。また、彼女の前所属事務所は、「やめた人間ですので、事件に関してお答えすることはできません。9月末日で退社したのは、『インスタやツイッターなど、SNSでより広く活動していきたい』という本人の希望によるものです」と回答した。

 一方の道渕は、8月下旬からの5試合はベンチメンバーから外れていたが、現在は何事もなかったかのように試合に出場。チームから、事件に関する公式発表はない。

 ベガルタ仙台に問い合わせると、「当時、道渕諒平選手が関わるトラブルについて報告を受け、本人の事情聴取を実施しております」と、事件そのものは認めた。

 しかし、「同選手から『二度と同様の行為をしない』との誓約書を取り、重い処分を科したうえで活動を継続させております」と、これ以上の処分の明言は避けた。

 H美さんが通報した夜、道渕は彼女の顔を踏みつけ、胸の上に全体重を乗せて正座し、首を絞め、泣き叫ぶH美さんに罵声を浴びせつづけたという。

「人の顔を足蹴にし、その足でボールを蹴って子供たちに応援されてるのが許せない」

 H美さんは知人に、こう話していたという。

(週刊FLASH 2020年11月3日号)