五穀豊穣を祈り、大地に邪悪なものを封じ込めるため、ウイルスに負けない健康な身体で大相撲春場所は元気に無観客開催ですの巻。
![[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/6/c/6cad2_627_9e02ca6193b61eda443ade4fd49249ef-m.jpg)
大相撲で大地を鎮め、邪気を封じ込める!
スポーツあるいはエンターテインメントというのは誰かに見てもらうことで価値を高めるものです。チケット代、放映権料といった実利の面はもちろん、それに取り組む人たちのいわゆる承認欲求という部分…もう少しスマートに言うなら名誉や誇りといったものを高めるのは観衆の存在あればこそです。
先般聞き及んだ演出家・野田秀樹さんの言葉では、「演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です。スポーツイベントのように無観客で成り立つわけではありません」と演劇のみが演者と観衆の掛け合いによって成立しているかのごとき傲岸不遜な言説もありましたが、決してそうではありません。観衆の存在が演劇の内容に影響を及ぼすように、その他のエンターテインメント、ことにスポーツにおいては観衆の存在は極めて重要な意味を持つのです。
このひと跳びで足が折れるかもしれない、この飛越で墜落して死ぬかもしれない。肉体の限界に挑み、生命をも危険にさらす時、自身を奮い立たせるのは自らの闘志だけではないのです。勇敢な選手たちはたとえ誰がいなくとも相応に燃えるでしょうが、その炎は誰かの存在によって火柱となり、初めて届きうる高さまで伸びるのです。誰も見ていない、誰も存在しない場所では、成しえないところまで。だからこそ、一番大きな舞台で一番大きなチカラが出るのです。
3月8日、初日を迎えた大相撲は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて無観客での開催となりました。力士たちの本質が試される厳しい場所です。自分たちしかいない暗い体育館で、生命を懸けた勝負をどこまで貫けるのか。もちろんカメラの向こうには視聴者がおり、誰に見せるでもない懸賞旗は周回するわけで、何もかもが無となっているわけではありませんが、普段の場所に比べて集中力を欠き、昂ぶりを得られない面は否めないでしょう。
それでも大相撲はやります。
誰よりも早く、この自粛の世界のなかで動き出します。
金や名誉だけではない価値が大相撲にはあると信じているから。ただただ相手を転ばせるゲームではない、特別な意義を背負ってこの文化が継承されてきたのだと信じているから。それは現代の視点から見れば滑稽かもしれませんが、だからこそ大相撲が愛され、だからこそ大相撲が守り抜かれてきた理由となるものです。初日にあたっての挨拶に臨んだ八角理事長の言葉と、そこに並び立った力士たちの姿。滑稽かもしれませんが、それは大相撲の本質を威風堂々示すものでした。
↓有り体に言えば「ちょんまげ兄さんの足踏み動作が新型コロナウイルスを撃退する」という眉唾話なのだが、それを信じて我々は相撲を取る!
<令和二年大相撲春場所 協会御挨拶全文>初日にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。公益財団法人日本相撲協会は、社会全体でコロナウイルス感染症の拡大を防いでいる状況を勘案し、また、何より大相撲を応援してくださる多くのファンのみなさまにご迷惑をかけることは決してできないと考え、大相撲三月場所を無観客で開催させていただくこととなりました。今場所を楽しみにお待ちいただいておりました多くのみなさまには、大変なご迷惑とご心配をおかけすることとなりましたが、何卒ご理解を賜りますようお願いを申し上げます。また、コロナウイルスに感染したみなさまには、一時も早いご回復をお祈り申し上げます。このようなお客様のいない本場所となり、力士にとっても気持ちを整えるのが難しい、非常に厳しい土俵となりますが、それでも全力士は、全国各地で応援してくださっている郷土のみなさまや、ファンの方々の歓声や声援を心に感じ、精一杯の土俵をつとめ、テレビでご観戦のみなさまのご期待にお応えするものと存じます。古来から力士の四股は、邪悪なものを土の下に押し込む力があると言われてきました。また、横綱の土俵入りは五穀豊穣と世の中の平安を祈願するために行なわれてきました。力士の身体は健康な身体の象徴とも言われています。床山が髪を結い、呼出しが木を打ち、行司が土俵を裁き、そして力士が四股を踏む。この一連の所作が、人々に感動を与えると同時に大地を鎮め、邪悪なものを抑えこむものだと信じられてきました。こういった大相撲の持つ力が、日本はもちろん世界中の方々に勇気や感動を与え、世の中に平安を呼び戻すことができるよう、協会員一同一丸となり十五日間全力で努力する所存でございます。何卒、千秋楽まで温かいご声援を賜りますようお願い申し上げ、御挨拶といたします。令和二年三月八日、公益財団法人日本相撲協会理事長、八角信芳。
これを本気で信じてるから面白いんでしょ!
本気の人たちだから見に行くんでしょ!
やるぞ、できるぞ、四股で新型コロナウイルス撃退!
↓元気なおっさんの乾布摩擦みたいになってますが、五穀豊穣を祈っております!
<初日の様子>
- 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) March 8, 2020
白鵬の横綱土俵入り。太刀持ち 炎鵬、露払い 石浦。#sumo #相撲 #春場所 pic.twitter.com/BQZn4cBVB6
やる側が「いやー、ないでしょ…」と思ったらこの文化は終わりです!
信じて貫きますよ、永遠に!
無観客の薄暗い土俵のなかでの大相撲。こうした光景自体は本場所午前中の時間帯などで見てきたものではありますが、改めて見ると不思議なものだなと思います。何故髷、何故拍子木、何故軍配、何故まわし、何故デブ…理由のよくわからない文化が、誰疑うことなく展開されています。無観客ゆえにテレビでも聞こえる呼出しの声は、観衆がいればざわつきでかき消される程度のもので、普段の中継では意識もされないものでしょう。しかし、それでも大相撲はそれを守り、受け継ぎ、ずっとやってきたのです。
それはさながら、古き伝統を受け継いでひっそりと暮らす少数民族の集落を垣間見るがごときです。「扉を開けたら江戸時代」という異世界観。ここにいる全員がそれを信じていることで生まれる不思議な空間。美しくて不思議な魅力があります。逆に、無観客によって異世界観が際立つことで、ときおり混ざる「ファンのみなさま」であるとか「プロ」「パフォーマンス」といった現代語に、強い違和感を覚えもします。まだまだ徹底できる部分や伸びしろがあるなと感じます。
そして、土俵で展開される相撲。腹を叩く音や四股を踏む音、立ち合いでぶつかる頭の音や、四つに組んだときに漏れる大きな息遣いの音は、いつも以上の迫力をもって響きます。規格外の半裸デブと規格外の半裸デブがドーンとぶつかる非日常の戦い。世界のどこを探してもこんなものはほかにないのではないかと、改めて引き込まれます。むしろ無観客であるからこそ、地下闘技場での非合法の戦いのような妖しさに引き込まれます。
もしも、何も知らずにコレと出会ったなら。
観衆などなく、華やかさもなく、相撲という名前もわからないものであったとしても、コレを見てしまうだろうなという魅力がそこにはありました。こんなもの世界のどこにもないでしょう。中世を引きずった人間が、異様な肉体改造を経て、血みどろでぶつかり合っているものなんて、見ないわけにはいかないでしょう。生き残った恐竜か大相撲かってなもんです。日本の宝だなと思います。
↓秘密の会員制クラブとかでコレを見ていたら、ゾクゾクくるでしょうなぁ!
<初日 この一番!(幕内取組)>
- 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) March 8, 2020
敢闘精神あふれる力士投票1位は貴景勝!
貴景勝−高安
取組動画は、日本相撲協会公式アプリ「大相撲」で幕下上位5番から見られます→ https://t.co/ob2MabB5MM 投票もできます。#sumo #相撲 #三月場所 #春場所 #2020年 #この一番 pic.twitter.com/CLlhWCYALh
妖しくて、秘密めいた戦い!「殺せー!」とかお客が叫ぶヤツ!
コレを現代でも普通に見られること、受け継いできてくれた先人たちに感謝の念がわいてきます!
はたして千秋楽まで走り切れるものか。協会はひとりでも感染者が出たら場所を中止すると言っています。内心では「あぁ、本場所が終わるまで誰も病院には行かせないって意味だな」とは思いますが、本当に感染者が出た場合、たとえ全員で秘密にしていても隠し通せないかもしれません。大相撲は濃厚接触と飛沫まみれの世界です。咳をしつづける行司と、次々に休場していく力士が登場したら、隠そうにも隠しきれないでしょう。
もちろん対策はしています。力士たちはタクシー移動を活用し、外ではマスク姿、入場時にはアルコール消毒、報道陣との距離も数メートル空けるという気遣いをしています。それでも15日間は長く、関わる人の数は多い。もしも大相撲が途中で打ち切られるような事態となれば、このご時世のなかでも敢行する、あるいは再開を目論むほかのすべてのエンターテインメントに多大なるダメージが及ぶでしょう。「お客さんがいなくても、そもそもやっちゃダメよね」と。
八角理事長の挨拶であえて入れた「力士の身体は健康な身体の象徴」という言葉は、たとえ新型コロナウイルスに襲われても絶対に免疫で跳ね返してやるぞという意気込みでしょう。「やめろ」「力士は太ってるだけで中身は普通の人間」「いいから保健所に知らせろ」とは思いつつも、本当にそうであってほしいなと思います、祈ります。絶対に誰も感染せずに千秋楽を迎える、そのことで大相撲がほかのすべてのエンターテインメントを勇気づけ、大地に邪気を封じ込める、エンターテインメントの横綱でありますように!
↓着ぐるみがマスクをして、手?を消毒する徹底対策ぶり!
<初日の様子>
- 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) March 8, 2020
会場に入る前に、しっかり手指を消毒します。#sumo #相撲 #春場所 pic.twitter.com/dcmiwWd3fe
「やばいぞ」
「バカだぞコイツら」
「本気なのか冗談なのかわからん」
「本気でないとこんなことやらんだろ」
「冗談なら炎上するヤツ」
「洗濯機に放り込むべき」
「洗濯機に放り込むべき」
「どことなく感染症を舐めてる感」
↓期間限定で見られるAbemaTVの大相撲中継では、「力水やらない」って言ってたのにやっちゃう鶴竜と遠藤の姿も!
【動画の1時間30分00秒から】普通にひしゃくに水を入れて待つ鶴竜↓普通に遠藤に渡す鶴竜↓普通に受け取る遠藤↓普通にクチをつける遠藤↓見ていても止めない呼出し↓力水をクチに含んでペッ!↓エアロゾル飛散
「やばいぞ」
「バカだぞコイツら」
「本気なのか冗談なのかわからん」
「本気でないとこんなことやらんだろ」
「自分たちで力水止めるって言ったのに」
「誰も水を飲むこと自体を」
「制限してるわけじゃないのに」
「自分たちで勝手に止めると言っておいて」
「自分たちでそれをスコーンと忘れて」
「いつも通り普通にやってるぞ」
「どことなく感染症を舐めてる感」
誰も感染者なく千秋楽までいけますように!僕も四股を踏んで祈ります!
外部サイト
さまざまなジャンルのスポーツを"お茶の間"目線で語る人気のコラム