いとこ同士で愛を誓い合ったカップル(画像は『New York Post 2020年1月8日付「Meet the kissing cousins who could face prison for having a baby」(Roger Kisby)』のスクリーンショット)

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日本の民法でいとこ同士の結婚は認められているが、アメリカでは25の州で禁止されており、制限なしで認めているのは19の州だけだ。そんななかユタ州で定められた法律に違反して結婚、今年5月に出産を控えているいとこ同士のカップルがメディアに登場し「ユタ州でも私たちの関係を認めて欲しい」と訴えた。

ユタ州イーグル・マウンテンに住むマイケル・リーさん(Michael Lee、38)とアンジェラ・ペアンさん(Angela Peang、38)が結婚したのは、昨年3月のことだった。アンジェラさんの父はマイケルさんの母の兄にあたるため2人はいとこ同士だが、同州の法律では双方の配偶者が65歳以上、もしくは55歳以上で妊娠できないと証明できる場合にだけしか結婚が認められないため、婚姻証明書は隣のコロラド州で手に入れた。

アンジェラさんは現在、妊娠5か月でユタ州在住のままで出産となれば、カップルには1万ドル(約109万円)の罰金か5年の懲役刑が科されることになる。しかし2人は「私たちは愛し合っているの。ユタ州でもいとこ同士の結婚が認められるよう、SNSで嘆願書を作成して署名を集めているところよ」と強気の姿勢を崩さない。

2018年のコロンビア大学の研究によるといとこ同士の場合、子供に遺伝子疾患が現れるのは4〜7%だそうで、血縁関係がない場合の3〜4%と比べると若干ではあるが高い割合になるようだ。しかしアンジェラさんは「子供に影響がでないか、妊娠前に遺伝子検査をしたの。周りからはリスクが高いとか無責任とか散々言われたけど、赤ちゃんに問題はないはずよ」と語っており、新しい命の誕生を心待ちにしている。

アンジェラさんとマイケルさんが初めて出会ったのは7歳の時で、すぐに意気投合。ファーストキスもこの時に済ませたそうだ。マイケルさんは自分の母親に「僕はアンジェラと結婚するよ」と宣言したが、「友達でいなさい」となだめられ、彼女への想いはずっと心の中にしまっておいたという。1年後に再会を果たした2人だがその後は疎遠になり、それぞれが別のパートナーと結婚。アンジェラさんには17歳、16歳、12歳になる3人の子供がいるが、2010年に離婚。一方でマイケルさんは4年の結婚生活を経て2012年に離婚した。そして2018年10月にFacebookを通して連絡を取り合うようになり、12月に開かれた親戚のクリスマスパーティで3度目の再会を果たしたのだ。

アンジェラさんは「シングルの立場で出会って、お互いにこの人だって感じたの。私たちの関係を毛嫌いする親戚もいるけど、気にしないようにしているわ。末娘にも最初は反対されたけど、今ではとてもいい関係を築いているの。結婚という形をとったのは、自分たちや産まれてくる赤ちゃんを守るためよ。愛し合っているのだから、いとこ同士が性的関係を持ってもそれは当然のこと。彼との相性は全てにおいて抜群なの」と明かしている。

そしてマイケルさんも「結ばれるべき人と一緒になったんだから最高だよ。いとこだからという理由で、惹かれ合う2人が離れ離れになる必要はないでしょう。ユタ州でもいとこ同士の結婚が認められるようになることを願っているよ」と語っている。

ちなみにこのニュースには、「愛し合っていることこそ重要」「自由の国なんだから、制限を設けるべきでない」「彼らが望んだこと。好きなようにさせてあげたら」「LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、ジェンダークィア)も認められる時代。いとこ同士だっていいんじゃない」「うちの両親もいとこ同士。この2人を応援したい」「アインシュタインもいとこ同士の結婚だったそうだよ」といったコメントがある一方で、「やっぱり嫌だわ」「認められないのには訳がある」「何世代にもわたって近親婚を繰り返すから問題になるんだ」「法律で認められているコロラド州で暮らせば?」「子供に問題がないって100%言えるの? やはり心配」といった否定的な意見も見受けられた。

なお10か月前にSNSに投稿された2人の嘆願書には、目標数2000人に対して1月11日時点で1594人のサポーターの署名が集まっている。はたして2人はユタ州の法律を変えることができるのか。赤ちゃんの出産予定日は5月22日とのことだ。

画像は『New York Post 2020年1月8日付「Meet the kissing cousins who could face prison for having a baby」(Roger Kisby)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)