販売台数大幅減となった原因はなにか?

 あくまでも結果論だが、昨年のゴーン氏逮捕は日産にとって大きなプラス効果となった。ブランドイメージには悪影響が出た一方で、大規模な事業再編に動くことができたからだ。

 日産が発表した2019年第一四半期(4〜6月)の決算では、売上高は2兆3724億円(前年同期比12.7%減)となり、営業利益は98.5%減と大幅に落ち込み16億円だった。なぜここまで大きな落ち込みになったのか?

 販売台数を仕向け別に見てみると、e-POWER特需が収まってきた日本が2.6%減、逆に中米貿易戦争の影響で市場が冷え込んでいる中国では2.3%増、また販売台数が最も多い北米では6.3%減、さらには欧州で16.3%減、中東や東南アジアを含むその他の地域でも13.1%減と落ち込みが目立つ。

 こうした販売台数大幅減の理由はなにか? それは、インセンティブ(販売奨励金)に対する見直しだ。

 日産の新車投入のサイクルは、他メーカーと比べるとスロー。そのため、顧客の購買意欲が沸かない場合が多い。それでも顧客に日産車を購入してもらうため、もっとも有効な手は値引きである。新車を値引けば当然、ディーラーの儲けは減る。だが、販売台数を稼げばメーカーからインセンティブが得られる。これが古典的な手法であるが、購入者はディーラーマンと何度も値引き交渉をする必要がある。

 一方、アメリカなどでは、全国規模で一斉に「3000ドル(約33万円)キャッシュバック」といったテレビやネット広告を打ち、顧客をディーラーへ誘導する。アメリカの自動車業界関係者の間では数年前から「日産の販売は、多額のインセンティブによって支えされている」と指摘してきた。こうした儲けの少ない販売手法に対して、本格的なメスを入れた。

生産台数が調整されるのは当然?

 今回の決算では、生産調整についても触れた。生産台数を減らして、工場の稼働率を上げる。具体的には、2018年時点の700万台強から2022年には650万台程度とすることで、稼働率は69%から89%まで引き上げる。

 これに伴い、グローバルで1万2500人規模の人員削減を行なう。こうした販売と製造の適正化は、ゴーン体制の大幅見直しだといえる。ゴーン体制では、より多くのクルマを売ることを第一とした規模拡大路線が主体だった。

 だが、モデル開発についてはモデルチェンジの期間が延びるなど、クルマそのモノの魅力が重要視されないような印象すらあった。今回の営業利益・前年同期比98.5%減という数字は、人員削減に伴う経費などによる、日産が次世代へと進むための一時的な落ち込み、という見方が多い。

 一方で、ルノーやFCAとの事業連携をミスれば、日産ブランドに対するイメージダウンも避けきれず、2019年第二四半期でも前期比大幅減となる危険性もある。日産はいま、第二創成期と表現できるような、事業展開の大きな岐路に立っている。今回の決算内容が、その証明だと感じる。