祖父母世代の子育ての常識が、変わってきているのをご存じだろうか。以下の「常識」は現在ではすべてNG項目になっている。

・生まれたばかりの赤ちゃんを産湯につける
・沐浴、散歩後は白湯を飲ませる
・生後1か月くらいから日光浴をさせる
・離乳食は生後2〜3か月をめどに薄めた果汁から
・抱き癖がつくので、泣いても抱っこしないほうがいい
・温度調節が苦手なので、赤ちゃんには厚着をさせる
・1歳までにおむつ、おっぱいをやめる
・おしゃぶりは使用しないほうがいい

出産直後の赤ちゃんは産湯につけず、身体をふくにとどめる病院が増えている。

「赤ちゃんの皮膚についている脂質は皮膚を守るうえで取らないほうがよいという考えや、沐浴による体温低下などで免疫力低下や体力の消耗を懸念してのこと」(日本助産師会会長・岡本喜代子さん)

母乳育児が主流の今、赤ちゃんの水分補給は母乳で十分と考えられているため、現在は白湯を与えることはなくなっている。

以前は日光浴が赤ちゃんの健康に必要と考えられていたが、現在は紫外線の悪影響が知られてきた。日陰での外気浴を中心にすることがすすめられている。

最近では、消化器官が未発達のうちに果汁をあげるとアレルギーの原因になると考えられており、離乳食の早めの「慣らし」をすることがなくなっている。離乳食は子どもの食べたがるペースに合わせ、生後5〜6か月に10倍粥から始めることが多い。

以前は、泣いてすぐに抱くと「抱き癖」がつくと言われたが……。

「今は、子どもが泣いたときは応えてあげるほうが、発達によい影響があるといわれています。スキンシップで愛情を伝え、安心させてあげましょう」(岡本さん)

昔は、赤ちゃんは体温調整が苦手だと言われたが、最近は住宅の気密性が高く、エアコンも普及。

「赤ちゃんは体温が高いですし、大人より服を1枚少なくするのが目安。そのうえで、1枚羽織らせるものを用意して」(岡本さん)

おむつ、おっぱいは、現在は子どものペースに合わせて。最近は、おむつは3歳ぐらいまで。授乳は、「断乳」ではなく、子どもが自主的に飲まなくなるに任せる「卒乳」が主流だ。WHOは授乳についてのガイドラインで「2歳以上まで」を目安に挙げている。

最近はおしゃぶりの存在が見直されている。

「まだ専門家の中でも意見がいろいろありますが、おしゃぶりをすることで、鼻呼吸が身につくメリットがあるのです。口呼吸に比べ鼻呼吸のほうが風邪のウイルスなどが身体に入りにくいという特徴があります。海外では、4〜5歳ぐらいまで使わせる地域も」(岡本さん)

次々と塗り替えられていく子育てに関する常識。だが、変わらないこともあると岡本さんは言う。

「我慢や自分を律する力を養う『しつけ』の根本は変わりません。また、2世代が育児に関わることで、子どもは多様な価値観に触れられますし、祖父母世代は子どもからエネルギーをもらえるはず。孫育てには、メリットが多いんですよ」

「ママ・パパのやり方を最優先に。出産後のママが“獣化”するのは生物として当然。見守って」(NPO法人孫育て・ニッポンの理事長・ぼうだあきこさん)

「子育て・孫育てで一番大切なしつけの本質は変わりません。その点は自信をもって!」(岡本さん)

イラスト/アライヨウコ