発売されたばかりの新刊小説の中から、ライターの立花ももがおすすめの作品を紹介する連載企画。数多く出版されている新刊小説の中から厳選し、今読むべき注目作を紹介します。(編集部)芦沢央『嘘と隣人』(文藝春秋)   嫉妬を理由に兄を殺した弟が、その罪を隠すために兄の居場所を「知らない」と答えた。それが人類にとって最初の殺人であり、最初の嘘。それがすべて、誰かのためではなく、自己の承認欲求と保