■「世界一の幸せ者だ」と思われていたが…

お笑いコンビ「アンジャッシュ」渡部建(47)の「多目的トイレ不倫」には驚き、呆れ、笑った。

写真=Pasya/アフロ
2020年1月29日、レストラン評価サイト「食べログ」の年間表彰式『The Tabelog Award 2020』が都内のホテルで行われ、司会進行にお笑い芸人のアンジャッシュの渡部建が登場した。 - 写真=Pasya/アフロ

経緯をご存じない方に、週刊文春(6/18号)に載った「佐々木希、逆上 相手女性が告白アンジャッシュ渡部建『テイクアウト不倫』」を簡略に紹介しよう。

アンジャッシュの渡部建(47)というのはよく知らないが、佐々木希(32)なら知っている。

秋田県で店員をしていたところを集英社「週刊ヤングジャンプ」のスタッフが見つけ、写真を撮って雑誌に掲載したところ、「ギャルコンJAPAN」初代グランプリに輝いたというシンデレラストーリーの持ち主である。

168cmあり、グラビアアイドルだけではなくファッションモデルとしても活躍。歌手、女優へと活動の場を広げていたが、2017年に渡部建と結婚、2018年に男の子を出産している。

こんな女性と結婚したヤツは世界一の幸せ者だ。私も陰ながらそう思っていたが、この男、とんでもない食わせ物だったと文春が報じたのである。結婚前から複数の女性とSEXをしていたというが、それは結婚後も何にも変わっていないと、渡部の知人が語っている。

■1万円札を渡し15分ほどで追い返された

佐々木と交際中から、「彼はある会社経営者が主催する乱交パーティに参加していました」(知人)。そこで知り合ったA子と関係を深めていったが、同じ時期に知り合ったB子とも肉体関係を結んでいたという。

「私と渡部さんは、多いときには週二回ほどエッチをする関係でした。トータルで三十回以上は関係を持ったかもしれません」(B子)

渡部の個人事務所の殺風景な部屋で、部屋に入るとすぐに体を求めてきた。だが。行為が終わると途端に、シャワーすら浴びさせてもらえずに、いつも15分ほどで追い返され、「帰り際には『またね』って必ず一万円札一枚を渡してきました」(同)。

渡部の行為がエスカレートしていく。渡部がB子に、「六本木ヒルズの地下駐車場の多目的トイレに来い」という。エレベーターの前で落ち合うと、

「トイレの鍵を閉めた瞬間、すぐにプレイが始まりました。(中略)下半身をガバッと出し、舐めるよう命令する。ことが終わると彼はマスクをして帽子を被り、『LINEの文面を全部消して! 早く携帯見せて』と。キスから別れるまで、三〜五分という物凄い早さです」(同)

そんな関係は渡部が入籍した後も続いていたと、さすが文春、17年7月20日、同月30日、9月7日にもB子と肉体関係を持ったことを“確認”しているのだ。

■「デリヘル扱いされたことが本当に悔しかった」

渡部の性癖は多目的トイレSEXだけではない。地方ロケの時はLINE電話をかけてくるのだが、「ビデオ通話のカメラをオンにしたところ、画面には渡部さんの下半身がドアップで映し出されていた」(同)。お互いの自慰行為を見せ合う“相互鑑賞プレイ”も趣味だというから、呆れ果てる。

別のクラブで知り合った女性も、ベッドに寝転び、「はい、やって」と口に含むように促されたと告白している。行為が終わると一変して、すぐ帰るようにいわれ、「デリヘル扱いされたことが本当に悔しかった」と話している。

ここまで読んできて、私はよからぬ想像をしてしまう。こうした“変態”SEXが好きな男は、妻にも同じことをしているのだろうかと。私の小さな胸は張り裂けそうである。

文春が渡部を直撃すると、「ちょっと車停めてきていいですか」と力なく呟き、その場から逃げてしまったという。その数時間後、関係があった女性たちに渡部から、「交際内容」を確認する連絡が入ったそうだ。

そしてB子のところには、「奥さんが隣にいるんだけど代わるね」と告げ、妻の希が、「あなた酷いですね。今の会話、録音していますから。嘘をついたら大変ですよ。彼と最後に会ったのはいつ?」と詰問してきたという。

私たちが結婚したのは17年だから、関係を持ったのはその前か後かを執拗(しつよう)に問い質し、告訴するようなこともほのめかしたそうだ。

彼女の怒りは分からぬでもないが、相手の女性を商売女のごとく扱って“変態”SEXを強要した亭主のほうに非があると思うのだが。

さすがに渡部も、これは大変なことになったと慌てたのだろう。文春発売前に、所属事務所を通じて、「ご指摘の女性と関係を持ってしまったことは私の不徳の致すところ」と事実を認め、彼が出ていたすべての番組から降りることを発表したのである。

■凄まじかった山崎拓元自民党幹事長

これまでも文春を含めて、タレントやお笑い芸人たちの不倫話はいくらもあった。中には、ちょっと可哀想だなと、書かれた人間に同情するような内容のものもあった。

だが今回は違う。渡部建という人間は完全アウトである。彼と関わった女性たちには気の毒ないい方になるが、渡部はあなたたちを女性としてではなく、SEXの道具としか見ていなかった。そこに愛情の欠片もない。これを不倫とはいわない。

渡部建という芸人は終わった。番組への復帰どころか離婚も必至だと、私は思う。希が可哀想だが……。

ここまで書いてきて思わずため息が出た。

これまでもおびただしい数の不倫報道があった。だが、かつて文春が報じた“エロ拓”こと山崎拓元自民党幹事長の「性獣」のように凄まじいSEXの修羅を超えるものは出ないだろうと思っていた。

彼は若い愛人をつくり、日ごと性技の限りを尽くすのだが、ついにはその愛人に、お前の母親と寝たいとまでいい出すのだ。ついに愛想も小想も尽き果てた彼女が、全てを文春に告白する。だが、小泉純一郎首相の盟友で幹事長という絶対権力者である山崎は、事実無根だと逆に告訴をすると脅してくるのだ。

気骨のある当時の文春編集長は、彼女と一緒に外国特派員協会で記者会見を開き、彼女は山崎とのSEXを赤裸々に語り、ついに、山崎は落選し、副総裁も辞任するのである。

私も件の彼女に、山崎の地元の福岡県に行って話を聞いたことがあった。楚々とした美人であった。だが彼女の口から語られる山崎のおぞましい性癖には、聞いているこちらが下を向いたぐらいだった。

■「主人の無自覚な行動により…」とインスタで謝罪

今回文春が報じた渡部建の“性獣”ぶりは、山崎拓に匹敵するレベルにあるのではないか。15歳も下の可愛い妻を持ちながらなぜ? 多くの男はそう思っただろうし、女性のほとんどは、女としてではなく性具のようにしか扱わない渡部に、激しい嫌悪の念を抱いたことだろう。

もちろん、男のいいなりになって“ご奉仕”していた女性たちにも非があることは間違いない。1万円が欲しかったわけではないだろう。

相手が有名人だから? それもあるだろう。だが、テレビで見せる顔とは全く違うお笑い芸人にオモチャにされて喜んでいるのは、失礼だがバカの領域である。

可哀想なのは妻の佐々木希である。6月12日にインスタグラムでこう謝罪した。

「この度は、主人の無自覚な行動により多くの方々を不快な気持ちにさせてしまい、大変申し訳ございません。今回の件について、夫婦でしっかりと話し合いをしようと思います。私自身としては、今後もお仕事を続けさせていただければと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします」

あんたの主人は「自覚して」行動していたんだと突っ込みを入れたくなる文面だが、最後のこの文章に泣いたな。

「最後にお願いです。近隣の方々へ考慮いただきたく、小さい子供もおりますので、自宅や家族、関係者への取材など直接の訪問はご遠慮いただけますと幸いです」

希、あんたは悪くない。お詫びすることなどない。亭主はテレビから永久追放だろうが、あんたは女優を続けたらいい。あんなんと離婚したって、世間はみんなあんたの味方やで。そういってやりたいね。

■不倫を報じたら結婚式の案内状が届いた

文春を含めて、これまでも多くの不倫報道がされてきた。

私が現役週刊誌編集者だった時に手がけた不倫は1本だけ。女優の大原麗子と歌手の森進一である。当時大原は俳優・渡瀬恒彦の妻だった。その大原が森と不倫ということで大騒ぎになった。

大原は、出演が決まっていたテレビドラマに体調を崩して出られなくなったと、週刊現代を民事と刑事の両方で訴えてきた。私は平気だったが、編集長は震え上がり、「謝りに行ってこい」と大原の自宅へ行かされた。大原に頭を下げ、幾何(いくばく)かのカネを払った。それからしばらくして、大原が離婚し、森と再婚した。私にも結婚式の案内状が届いた。

こんな笑える話ならいいが、不倫を報じられたため、死を早めたケースもあった。

■大手新聞政治部次長の最期

私が知っていた人間の2つの不倫報道について書いてみたい。1つは、だいぶ昔になるが、大手新聞の政治部次長でMという人がいた。私よりだいぶ上だったが気のいい人で、酒がめっぽう好きだった。

政治家にも顔の広い人で、何人もの政治家を紹介してもらったり、政界の裏話をレクチャーしてもらったりしていた。美人の奥さんとも何度か会った。

そのMから電話が来た。「文春にオレの話が載るが、何とかならないか」というのだ。詳しい話はしない。仕方なく、知り合いの文春の編集者に電話したが、「無理」だと断られた。

発売された文春を見ると、Mが某新興宗教の教祖の娘と不倫しているというのである。記事中には、小さいが2人がベッドで寝ている写真も添えられていた。記事を読む限り、女性の夫が部屋に忍び込んで撮ったもののようだ。

発売後にMに会った。新聞社を辞めるという。記事だけならともかく写真まで載ったのでは会社に迷惑がかかるというのだ。

しばらくしてMは離婚して個人事務所を持ち、評論家活動を始めた。順調のように見えたが、会社勤めではないので、朝から酒を飲みだした。どれぐらいたった頃だっただろう。Mが倒れて病院へ救急車で運ばれたと聞いた。肝臓が壊死していて、手の施しようがなかったという。悲しい別れだった。

政治部長ならともかく、次長クラスの不倫をなぜ? そう思わずにはいられなかった。

■記者からニュース番組へ転身したが……

2つ目のケースは、これも大新聞の記者で、そこで出している週刊誌の編集部にいたときに知り合った。面白い人間で、記者にしては物言いもはっきりして豪快だった。その新聞系列のテレビ局の夜のニュース番組から、キャスターにと声がかかった。私も聞いた時、適材だと思った。すると、歯に衣着せぬコメントと人懐こいキャラクターで一躍人気者になったのである。

だがこれもやはり文春だった。彼と8年間不倫をしていた元代議士秘書が、「私と○○愛欲8年」を告白したのだ。

出会うきっかけから、彼の妻に知られてしまったこと、ニュース番組に出て傲慢になったことなどを縷々(るる)述べて、SEXのことまで微に入り細をうがちしゃべり、その中にバナナの話まで入れたのだ。バナナがどのように使われたのかはご想像に任せるが、発売と同時に彼は「バナナの君」というニックネームがついてしまったのである。

彼の苦悩は想像を絶するものがあっただろう。ニュース番組からは降り、自ら望んで東北の支社に異動した。

だが不屈の闘志を持った男だった。そこで地道に取材を重ねて成果を上げた。しばらくして会ったときは、ヒゲもじゃで誰だか分からなかった。

2つの不倫ケースを、私が編集長の時は忘れたことがなかった。不倫報道を否定しているのではない。今回の渡部建のケースは、私が編集長でも迷わず載せた。

■スキャンダルは「公益性」があるかどうか

私が編集長の時、「報じるだけの公益性があるか」を顧問の弁護士たちとよく議論したものだった。

中でも難しいのは不倫などのスキャンダル報道だった。政治家や大企業の社長、有名芸能人なら迷うことはない。どこまで細部を書くのかを考えればいい。だが、大新聞とはいえ、政治部次長クラスの不倫を、それも相手の夫が盗み撮りした寝屋の写真まで掲載する必要があったのだろうか。

今一つのケースでも、一記者の性癖を書くのに、バナナのことまで入れる必要があったのだろうか。 愛人だった女性が、テレビに出るようになって彼のSEXが変わってしまったと語っている。

「何が彼を変えてしまったんでしょうか。私にはわかりません。私が拒まなかったから○○さんも何か勘違いされたのかもしれません。でも私は、本当に耐えられなかったし、オモチャ扱いされていると思うだけで悲しかった」

やはり、人間として、一人の女として扱われなかったことが、告白の動機になっているのだ。

■現在不倫している男性諸君へ

私にはもはや関係のない世界のことだが、不倫しようと思っている、または現在進行中の不倫している男性諸君、くれぐれもこれだけは気をつけたほうがいい。

不倫が発覚すればどんな目に遭うか、これまでの芸能人のスキャンダルを見ても分かるはずだが、もしそれでも構わないというなら、相手を、妻と同じように大事にすることだ。それと、妻が妊娠中や子育てで苦労している時は、絶対、不倫してはいけない。それは、年下の女優と不倫していた東出昌大を、妻の杏が絶対許さないのを見ても分かるだろう。

宮崎謙介という衆院議員(当時)が不倫していたのも、妻の金子恵美衆院議員(当時)が出産のために入院中だった。妻は激怒し、選挙民からも批判され、議員辞職に追い込まれた。

不倫の要諦は、相手の女性も妻も怒らせてはいけない。それを忘れると世間は絶対に許してはくれない。(文中敬称略)

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元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198630283/presidentjp-22" target="_blank">編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。
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(ジャーナリスト 元木 昌彦)