ホンダの旗艦「レジェンド」を公道試乗。価格680万円の走り味とは?
2014年11月に発表、2015年2月に発売開始となってホンダのフラッグシップモデル「レジェンド」。フロントをV6エンジンとモーター内蔵7速DCTで駆動、リヤは左右独立2モーター駆動という3モーターハイブリッドを搭載する先進のプレステージサルーンを高速道路と市街地で試乗することができました。
ホンダのフラッグシップモデルとして復活した「レジェンド」のプロフィールを手短に記すと、3.5リッターV6エンジンのハイブリッドで、リヤはモーターだけで駆動するスーパーハンドリングAWD、JC08モード燃費は16.8km/Lで、メーカー希望小売価格は680万円となっています。
同じく、3.5リッターハイブリッドを採用している産フラッグシップモデルとしては日産フーガやトヨタ・クラウンマジェスタが挙げられます。レジェンドはカーAVやプリクラッシュセーフティシステムなど標準装備を充実させたモノグレード設定なので、同等の装備で比較すると、フーガで620万5680円〜687万4869円、マジェスタで689万1428円となりますから、けっして他に比べてレジェンドが高いというわけではありません。
いや、ライバルがFRなのに対して、レジェンドはAWDなのですから、むしろお買い得に感じるほどなのです。
プラグイン(外部充電)を持たないハイブリッドカーですから、バッテリーは減速回生により充電する仕組みですが、モーターはアシストではなく、積極的にEVモードで走ろうとします。つまり、リチウムイオン電池が十分に充電されている状態であれば、発進時はリアのモーターだけで動き出します。
後輪駆動、しかも高レスポンスで振動知らずのモーターですから、その発進マナーはプレステージカーにふさわしいもの。この感覚は内燃機関をメインとした高級車では味わえません。速度が出てくると、後輪駆動モーター周りからのノイズも少々室内に入ってきますが、タウンスピードであれば、 圧倒的な高級感が味わえます。
本来、SH-AWDとはスーパーハンドリングに由来する名前ですし、左右独立駆動モーターによるトルクベクタリングがヨーを自在にコントロールすることで実現する異次元のコーナリング性能や安定性を実現するための最新テクノロジーです。
しかし、レジェンドを運転するときに、そうした黒子の部分を引き出すような走らせ方は似合いません。あくまでも知らぬ間にサポートしてくれているというくらいでドライビングすることがレジェンドらしさを引き出せるといえそうです。
ヘッドアップディスプレイにSH-AWDが作動する様子を写していると、交差点を曲がるくらいの速度域でもリヤ外輪を駆動、内輪でエネルギー回生するといった具合に、常にドライビング・アシストをしている様子は確認できますが、あくまでも裏方として、それによる挙動変化を感じさせない味付けとなっています。
3.5リッターエンジンと3つのモーターによるシステム最高出力は281kW(382PS)もありますから、あえてSH-AWDの効果がわかりやすいように動かそうとすると、すぐに法定速度を超えてしまいますし、2t近い車重からいっても、振り回して楽しむというのは現実的ではないといえそう。
日常域で、ハイテクを意識せずに乗っている中で、ステアリングに対してクルマがオン・ザ・レール感覚で曲がっていくなど、知らぬ間にSH-AWDの恩恵を受けているといったスタイルが、適切なレジェンドの味わい方といえそうです。
新型レジェンドは、純正オーディオにこだわっているのも特徴です。パートナーとしてホームオーディオで知られるアメリカのブランド「Krell(クレル)」とコラボレーション。専用アンプ、高性能クロスオーバー、そして14ものスピーカーが車内に最適配置されています。
とくにドアにマウントされたミッドレンジ・スピーカーはコーンにザイロンという防弾チョッキにも使われる強い合成繊維を用いたもので、応答性・収斂性に優れたユニットとなっています。スピーカーカバーがパンチングメッシュとなっているのも、ザイロンコーンのスピーカーをさり気なくアピールします。
オーディオの評価というのは、個人の好みによって左右されやすい面もありますが、音量が大きくても小さくても、低音中音・高音のバランスが崩れることなく再生してくれるという印象を受けるものでした。
新型レジェンドに限った話ではありませんが、グローバルに見ると、ホンダやアキュラの最新パワートレインを積むモデルに「エレクトリックギアセレクター」の採用が拡がっています。
日本では、このレジェンドが初採用。 システムを始動して、前進するときには丸いDボタンを押し、後退する際にはRスイッチを引くように押し、ニュートラルは長方形のNボタンを押すというのが基本操作。
初見では使いづらく見えた「エレクトリックギアセレクター」ですが、実際に動かしてみると、セレクター表面の微妙な角度やスイッチの配置や大きさ、形状とあいまって、直観的に使いやすいものでした。
たとえば、走行中にまちがってNボタンを押してしまっても、すぐにはニュートラルになりません。ニュートラルにするには、Nボタンの長押しが必要になるといったブラインド操作によるミスもカバーする設計になっています 。
パーキングブレーキは電動式で、ブレーキをかけるときには引き上げるという自然な操作。もちろん停車からシステムを始動して、Dボタンをプッシュ、アクセルを踏み込むと自動的にパーキングは解除されます。
先代のレジェンドもV6エンジンにSH-AWD(メカニカル式)を使っていましたが、全体的にSH-AWDをアピールするスポーティな味付けが表に出てくるキャラクターといえるものでした。
新しいレジェンドは、走りを支えるメカニズムは電動SH-AWDの採用など進化しながら、それらが裏方として機能するという次の段階に入ったことを感じさせます。
そうした奥ゆかしさが新型レジェンドの個性。圧倒的にプレステージ度を高めたホンダの最高級車であり、和の心を感じさせるジャパニーズフラッグシップモデルでもあるのです。
●ホンダ・レジェンド主要スペック
車両型式:DAA-KC2
全長:4995mm
全幅:1890mm
全高:1480mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1980kg
燃料消費率:16.8km/L(JC08モード)
乗車定員:5名
エンジン形式:V型6気筒ガソリン直噴SOHC24バルブ
総排気量:3471cc
エンジン最高出力:231kW(314PS)/6500rpm
エンジン最大トルク:371Nm(37.8kg-m)/4700rpm
燃料タンク:57L(プレミアムガソリン)
変速装置:7速オートマチック(DCT)
フロント駆動モーター最高出力:35kW(48PS)/3000rpm
フロント駆動モーター最大トルク:148Nm(15.1kg-m)/500-2000rpm
リヤ駆動モーター最高出力:27kW(37PS)/4000rpm(一基あたり)
リヤ駆動モーター最大トルク:73Nm(7.4kg-m)/0-2000rpm(一基あたり)
二次電池:リチウムイオンバッテリー
タイヤサイズ:245/40R19 94Y
システム最高出力:281kW(382PS)
システム最大トルク:463Nm(47.2kg-m)
メーカー希望小売価格:680万円
■関連記事
ホンダ・レジェンドは価格680万円でハイブリッド、安全機能を充実させ登場
http://clicccar.com/2014/11/10/277563/
ホンダ変革、最上級ハイブリッド「レジェンド」は価格680万円
http://clicccar.com/2015/02/25/294700/
ホンダ「レジェンド」画像ギャラリー ─ ついに発売開始、ハイテク満載フラッグシップセダン
http://clicccar.com/2015/02/23/294657/






(山本晋也)
ホンダの旗艦「レジェンド」を公道試乗。価格680万円の走り味とは?(http://clicccar.com/2015/03/20/298207/)





