格安SIMに禁断の「完全使い放題」登場 キャリアから完全乗り換えできる格安SIM時代が到来か

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「格安SIM」その名はインターネットや雑誌、テレビのニュースになるほど知れ渡っている。「格安SIM」は、通信をあまり使わない人が安くなると言うのがセールスポイントだし、多くの人が持っているイメージだろう。

しかしこの認識は、今や間違っている。いや、半分は正しいが、もう間違っていると言っていいだろう。実はここ数日のうちに、通信をフルに使う人でも格安になる「格安SIM」が登場しはじめたのだ。

●収穫の秋9月は、ただ安いだけじゃないサービスも登場
最近では、月はじめに新しい格安SIMのプランやサービスが発表されるケースが多くなっている。
9月も同様だが、今まではとは大きく違う「格安SIM」が登場してきたのである。
筆者の目に飛び込んできた発表をいくつかリストアップしてみよう。

・「BIGLOBE」:「BIGLOBE 3G・LTEにて30秒あたり10円(非課税)の音声通話サービス「BIGLOBEフォン」を開始

・「日本通信」:「b-mobile X SIMにて2,980円(税別)で7Gバイトまで高速通信ができる「プランFlat」を提供へ

・「エレコム」:最安で780円(税別)の使い放題プランも選択できる「SkyLinkMobile」を提供開始

・「NTTぷらら」:「ぷららモバイルLTE」にて3Mbpsの高速通信でデータ通信完全使い放題を実現した「定額無制限プラン」を2,760円(税別)で提供開始

このほかにも、ヨドバシカメラやSo-netの格安SIMとスマートフォンのセット販売や、イオンスマホの第3弾セット販売開始など、大きな変更が続いている。

ここで筆者が注目しているのが、「NTTぷらら」の完全使い放題プランだ。
モバイルデータ通信は「○Gバイトで速度制限」という契約が多いなか、「定額無制限」という言葉は、なにやら大きな期待とインパクトがある。

「定額無制限」ってどういうことなの!?

●「定額無制限プラン」、本当に定額無制限のようである
このように書くと、「腹痛が痛い」とか「頭が頭痛」と書いているような間抜けな表現なのだが、実際にそうなのである。
通信速度こそ最大3Mbpsに制限されてしまうが、それだけあればフルHDやHDといった高精細な動画でない限りは見放題となるのだ。つまり、YouTubeもニコニコ動画もHuluもdビデオであっても、通信量を気にせず見放題となる。本当なのだろうか?

NTTぷららのサービス紹介ページによると「ブロードバンド回線のようにつなぎっぱなしで利用できる!」「もう残容量を気にしなくてOK!」とえらく威勢のよい、うたい文句が書いてある。自称ネット識者の筆者には、この内容がにわかに信じられない。
各社が2Gバイトや7Gバイトいった通信量制限を設けている背景には、つなぎっぱなしにされた際のネットワーク負荷を懸念しているからだ。この問題を解決しないかぎり、「完全定額」の使い放題は絵に描いた餅のようなものだからだ。
しかしながら、NTTぷららは、この難題をユニークな対策で解決していたのだ。


ぷららモバイルLTEサービス紹介ページ


それが、人数制限だ。
実は、9月にこのプランに申し込める人は先着600名まで(翌月以降はホームページ上にお知らせ予定)という、掟破りのような契約人数を限定する対策をしてきたのだ。

確かにこの方法であれば、一気に数千、数万人がつなぎっぱなしにすることもない。ネットワークへの負荷も急激に過多になることもなく、総通信量の圧迫は軽減されるかもしれない。

ただ、真のデータ使い放題格安SIMが欲しい人は、契約できる先着の人数に入るため、月はじめにNTTぷららのホームページを張り込みする必要がある。
さながらお盆などの航空券予約サイトを張り込みするかのごとく待機して、プランを手にいれればよいということだ。

一見、不平等にみえるかもしれないが、本当に容量無制限のプランが必要な人は限られるし、早い者勝ちの競争で獲得者をきめるのは、もっともシンプルで公平な方法なのかもしれない。

下記は、格安SIMの大容量プランと大手ケータイ会社のデータ通信料金の比較だ。

●「格安SIM」は、たくさん使う人も格安になるSIMのこと
NTTぷららの「定額無制限プラン」は格安SIM市場に大きな衝撃を与えるものだろう。しかし、他社の格安SIMもだまってはいない。多くのデータ通信を使う人向けの大容量プランを提供しているのだ。

・「OCN モバイル ONE(NTTコミュニケーションズ)」:500kbpsコース(7GB/月) 1,800円(税別)※通信速度最大500kbpsに制限
・「BIGLOBE LTE・3G(ビッグローブ)」:スタンダードプラン(7GB/月) 3,790円(税別)
・「IIJmio高速モバイル/Dサービス(IIJ)」:ファミリーシェアプラン(3GB/月) 2,560円(税別)
・「b-mobile X-SIM(日本通信)」:プランFlat(7GB/月) 2,980円(税別)
・「ぷららモバイルLTE(NTTぷらら)」:定額無制限プラン(無制限/月) 2,760円(税別)※通信速度最大3Mbpsに制限

【参考】
・NTTドコモ:「データMパック」(5GB/月) 5,000円(税別)※別途インターネット接続契約、基本プラン必要
・KDDI:「データ定額5」(5GB/月) 5,000円(税別)※別途インターネット接続契約、基本プラン必要
・ソフトバンクモバイル:「標準」(5GB/月) 5,000円(税別)※別途インターネット接続契約、基本プラン必要

いかがだろうか、まるで相談して決めたかのような大手ケータイ会社と格安SIM各社のプランの違いがはっきりわかる。なおかつ安いというも、一目瞭然だ。

「格安SIM」が、通信をあまり使わない人向けという時代は終わった。
これからは、データを多く使う人にとっても、全てのスマホ利用者にとって「格安」となるSIMの時代が到来したのだ。今後、これこそが格安SIMの本来の使命となり、すでにその扉は開かれているのだ。


ぷららモバイルLTEサービス紹介ページ

布施 繁樹