週刊少年ジャンプで連載中の漫画「バクマン。」。原作・大場つぐみ氏、作画・小畑健氏の「DEATH NOTE」コンビが手がける作品だ。

 どこにでもいそうな中学3年生「真城最高」(サイコー)。無気力で流されるように生きてきたが、成績優秀なクラスメイト「高木秋人」(シュージン)に高い画力を評価され、コンビを組んで漫画を描こうと誘われる。一度は断ったものの、サイコーが思いを寄せる「亜豆美保」が声優をめざしていることを知り、自分の漫画がアニメになったらヒロイン役を演じてほしいとプロポーズ。こうしてサイコーが絵を、シュージンがストーリーを作る共同作業が始まった。めざすは連載漫画としてのプロデビュー。最終目標は18歳までのアニメ化、そしてサイコーと亜豆の結婚だ。

 つまるところ、漫画家をめざす少年2人の青春ストーリーである。デスノコンビの最新作というのに、このライトなタッチはなんだ。そう思う人もいるだろう。しかしこの作品には、裏の顔ともいうべき部分がある。

 サイコーとユージンが連載してもらおうとやっきになっている漫画雑誌「ジャンプ」は、まさにこの作品が掲載されている週刊少年ジャンプのこと。登場する編集者も実在の人物をモデルとしている。登場人物の口からは生々しいまでの漫画界の噂や実態が飛び出し、舞台裏が垣間見えるようになっているのだ。

 例えば、ジャンプの代名詞ともなっているアンケート制度。読者の声で作品に順位をつけ、人気がなければ短い期間でも打ち切ってしまうというものだ。このアンケートで上位を取るために、編集者「服部哲」は『10人のうち2人が確実に面白いと言ってくれればいい』とサイコーたちにアドバイスしている。

 他にも漫画家の年間契約料についてや“戦力外通告”など、通常ならば読者に知らせる必要はないところにまで言及。さらに『都市伝説程度に聞け』と前置きをつけた上で酷い編集者の噂を暴露したり、サイコーの口から『他のマンガやゲームの設定をパクって連載してるマンガだってあるんだぞ』と言わせたりまでしている。これではまるで、この作品自体が漫画界のデスノートではないか。

 原稿をなくされただの、原稿料がひどく安いだの、現実の漫画家は出版社への不満を噴出させ始めている。そんな中、流れに乗ってやろう、といった魂胆が大場氏の中にあるとは思えないが、漫画界の暗部を皮肉を交えて明らかにするスタンスはおもしろい。作中に出てくる漫画家「川中たろう」は大場氏と同一人物とも噂される漫画家・ガモウひろし氏を思い起こさせ、作中の皮肉がよりリアルに感じられてしまうのだ。

 漫画家をめざす青春と漫画界の裏事情が表裏一体となっているこの作品。漫画家をめざすのならば読んでおいて損はないだろう。事実この作品のヒットにより、編集部には作品の持ち込みが増えているそうだ。低迷している漫画界が再興の兆しをみせているのは、一ファンとして非常に嬉しいことである。バクマンは、今の漫画界を変える作品となるのかもしれない。

(編集部:三浦ヨーコ)


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