『豊臣兄弟!』『GIFT』に共通点 佳久創&山田裕貴、“中日の息子”が盛り上げる日曜日
NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で存在感を増しているのが、藤堂高虎を演じる佳久創だ。筋骨隆々で武芸の達人。いつだって人のことを思い、バカがつくぐらいの正直者。こんなピュアな人間がいるのか、と思えるような人物を佳久が見事に演じている。
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とりわけ物語が第2章に入った第18回「羽柴兄弟!」は、藤堂高虎のためのような回だった。第15話「姉川大合戦」で、浅井側の軍勢の一人として鮮烈に登場し、小一郎(仲野太賀)、藤吉郎(池松壮亮)、蜂須賀正勝(高橋努)の3人を相手に大立ち回りを披露してみせてから2年。城持ち大名となった藤吉郎と小一郎のもとへ、再び高虎が姿を現す。
石田三成(松本怜生)らとともに羽柴家の家臣を選ぶ試験に挑んだ高虎は、豪胆さや怪力、人の良さだけでなく、頭の回転の速さを存分に発揮。藤吉郎に認められ、小一郎にとって初めての家臣になる。今後描かれるであろう、秀長と高虎の深い結びつきを示唆するエピソードとなった。
大河ドラマが終わると日曜劇場『GIFT』(TBS系)が始まる。車いすラグビーチーム「ブレイズブルズ」の孤高のエース・宮下涼を演じているのが、山田裕貴だ。
交通事故によって車いす生活を余儀なくされ、車いすラグビーの選手として懸命にプレーするが、チームは低迷して結果がともなわない。焦りと苛立ち、それでも必死に食らいつこうとする競技に対する真摯さと家族への優しさ。そんな涼の内面を、これまで築いてきたキャリアを存分に活かして山田が繊細に演じている。多くの人が共感できる“もう一人”の主人公として、涼の姿を見つめている視聴者も多いだろう。
ところで佳久創と山田裕貴には、ある共通点がある。彼らはいずれも、かつて中日ドラゴンズに在籍した名プレイヤーの息子なのだ。日曜の夜は“ドラゴンズの息子たち”がお茶の間を湧かせていることになる。
佳久の父親は、ドラゴンズで100勝100セーブを挙げた台湾出身のレジェンド投手、郭源治だ。日本球界で100勝100セーブを達成したのは郭を含めてわずか6人。躍動感あふれるマウンドさばきは「踊る守護神」「郭ダンス」と呼ばれ、1988年には優勝を決める胴上げ投手にもなっている。記録もすごいが、記憶にも強く残る選手だった。
山田の父親は、ドラゴンズと広島カープで活躍したいぶし銀の内野手・山田和利。ドラゴンズでは立浪和義の控えとして渋い活躍を見せ、広島に移籍しても一軍で多くの試合に出場した。星野仙一監督の信頼が厚く、再びドラゴンズに呼び戻されている。同期入団で山田と親しかった山本昌は、幼い頃の山田裕貴と何度も遊んであげていたという。
山田の野球絡みのエピソードはよく知られているだろう。2018年、ナゴヤドーム(現バンテリンドーム)で行われた始球式に登場した山田は、父と同じ背番号30のユニフォームに身を包んでマウンドに立った。
中学まで野球をしていて、全国大会に出場レベルのチームでプレーをしていたが、高校でプロ野球選手への道を断念するという大きな挫折を味わっている。始球式の後は「親父の背中を追いかけていた頃を思い出しました」と涙を流した。(※)
佳久にも似た悩みがあった。小学生の頃から野球の道を志したが、偉大な父親と比べられることを窮屈に感じ、周囲に「あいつ、郭源治の息子らしいぞ」と言われるのが嫌で、早々に野球を辞めてラグビーの道へと進んだ。
ラグビーでは7人制日本代表候補に選ばれるなど活躍したが、どこか野球を辞めた自分を後ろめたく感じていた。ケガが原因で引退したものの、まだ燃え尽きていないという思いがあって俳優に挑戦。ラグビー経験を活かして出演した日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』からチャンスを切り開いた。当時、父とテレビ番組で共演した佳久は、野球選手になってほしかったのに黙っていてくれた父に感謝の涙を流している。
2人には“ドラゴンズの息子”というだけでなく、“偉大な父と挫折した息子”という共通点があった。このような経験があったからこそ、何度主君を失っても前を向いて歩み続ける藤堂高虎や、多くのものを失っても懸命にプレーし続ける宮下涼を、陰影深く演じることができるのかもしれない。
『豊臣兄弟!』はドラゴンズの地元・名古屋にゆかりがあるし、『GIFT』の過去の栄光を失って低迷し続けるブレイズブルズのチーム状況は今のドラゴンズを思い起こさせる(チームカラーも同じ青だ)。佳久創と山田裕貴が日曜の夜を沸かせてくれるのだから、ドラゴンズも勝利でファンを沸かせてほしいと切に思うドラゴンズファン歴40年以上の筆者であった。
参照※ https://www.sanspo.com/article/20180811-AY5Y3GSXMFJT7KIHKQMEEGVW6A/(文=大山くまお)

