銀行や自治体で情報漏洩も…2年間でユーザー数937% Z世代がハマる「BeReal.」の問題点
「親しい友だちだけに見せているから大丈夫」…そんな感覚が、銀行や自治体、病院を巻き込む情報漏えいへと発展している。いまZ世代を中心に利用者を急増させている写真共有アプリ「BeReal.(ビーリアル)」をめぐり、各地でトラブルが相次いでいるのだ。
BeRealは2020年にフランスで誕生し、日本では2023年頃から急速に浸透した。マーケティング会社ヴァリューズの調査によれば、国内ユーザー数は2023年8月の約11万人から、2025年8月には113万人へ到達。2年間で937%増という驚異的な成長を記録しているという。
ランダムな通知が届くと、ユーザーは2分以内に写真を投稿するよう求められ、投稿しなければ友人の投稿が見られない仕組みになっている。さらに、時間内に投稿すると追加投稿の“ボーナス”も得られるため、毎日の利用を習慣化させやすい構造だ。
撮影はスマホの内側と外側のカメラで同時に行われ、保存済みの画像は使用できない。加工や演出もほぼ排除されており、“映え”を競わないリアルな日常共有アプリとして、Z世代を中心に人気を広げている。
背景にあるのは、既存SNSへの疲弊感だろう。過度な加工や演出が当たり前になった風潮に距離を置き、「ありのまま」を共有できる気軽さが、若年層に新鮮な価値観として受け入れられている。
「2分以内」と「限定公開」の落とし穴
しかし、この「2分以内」という時間的制約が、各所で思わぬ落とし穴となっている。西日本シティ銀行では行員が支店内で撮影し、顧客7名の氏名が流出。岩見沢市立総合病院では患者20名の情報が、神奈川県川崎市でも新入職員により研修資料がそれぞれ外部へ投稿された。
投稿者に悪意はなく、「通知が来たから撮る」という無意識の行動が深刻な実害を招いている。学校でも授業中に通知が届くと、教室のあちこちで一斉に撮影が始まってしまうといった光景が日常化しているという。
背景には「限定公開」への過信がある。相互承認制かつ一定時間で投稿が消える仕様が、警戒心を奪うのだ。だが、スクリーンショット等で保存されれば拡散は一瞬。今回のケースも、限定公開のつもりが別SNSへ持ち出され、炎上に至った。
「悪ふざけ」で投稿しているわけではなく、「今の自分を共有したい」という感覚や、連続投稿を途切れさせたくないという心理が先行した結果、背景確認が不十分なままアップロードしてしまうケースも少なくない。
ネット上では「社会人になってまで通知優先で写真撮る文化は正直かなり危険だと思う」「スマホ中毒世代はまだまだ情報漏えいやらかしそう」「新入社員がインストールしてると聞いて背筋が凍った。客先でやられたら信用問題」など、リスク管理の甘さに厳しい声が上がる。
企業や組織側も対策を急ぐ。西日本シティ銀行は、顧客情報を扱う場所への私用スマートフォン持ち込みを禁止した。物理的な制限は一定の効果が期待できるが、根本的には「何を撮影してはいけないのか」という教育の徹底が不可欠ではないか。
気軽な投稿の裏で、他人の個人情報や企業機密が漏れていく。そのリスクとどう向き合うのか。急成長するSNS文化の中で、利用者のリテラシーが問われている。
