ナフサ不足問題も将来は「藻」が解消、食料不足・資源不足の日本を救う可能性
ナフサ不足の影響でプラスチック容器を使った食品の値上げが相次いで発表されている。原油から精製される無色透明の液体ナフサは、プラスチックのもっとも基本的な原料だからだ。
技術的には現在すでに、原油由来のナフサを使わなくてもプラスチックを作ることができる。植物資源から作られるバイオマスプラスチックだ。三井化学や三菱ケミカルなど、取り組んでいるメーカーは日本にも30社近くある。できあがったプラスチックの性質は、多くの場合、従来品と変わらない。
日本の独自研究が進んでいるのは「藻」だ。藻と聞くと日本では「海藻」を思い浮かべる人が多いかもしれない。わかめ、昆布、のり、ひじきなど、和食では昔から親しまれてきた食材だ。
ただ、藻の世界はとても広く、30万種もあって性質もさまざま。ミドリムシ(ユーグレナ)、クロレラ、スピルリナなどは微細藻類と呼ばれ、わかめや昆布などは海藻だ。大きくこの2種類に分類されるが、共通している特徴は光合成すること。
微細藻類は食べものとしての可能性だけでなく、環境分野、エネルギー分野、素材開発などにも応用が期待されている。例えば、2005年設立のベンチャー「ユーグレナ」はその社名自体がミドリムシの意味だが、エプソンやNECなどと共同でミドリムシ由来のプラスチック開発を進めている。
NHK「所さん!事件ですよ」で取材した産業技術総合研究所では、ミドリムシから作った強力な接着剤を開発した。自動車の構造部材の接着剤として、環境規制の厳しいヨーロッパのメーカーから引き合いがきているという。
「藻は石油の代わりになるもの」
マレーシアには世界最大級の藻のプラントがあるが、ここを運営しているのは日本のベンチャー企業。開発責任担当者の大嶋俊介さんは「藻は石油の代わりになるもの」と話す。ボツリオコッカスという藻は細胞の50%以上が油でできており、この油を精製する過程で、プラスチックやPET樹脂などあらゆる化学製品を作ることができる。顔料を混ぜれば塗料にもなるし、ジェット燃料にもなる。
海に囲まれた日本にとって、藻は無限の可能性を秘めていると言えるが、唯一の課題はコスト。現在の化石燃料である原油と同じくらいの価格で製品化できるかどうか。しかし、あらゆる製品がそうだが、当面は高価格でも大量生産されればコストは下がる。日本としてその覚悟があるかどうか。
ちなみに、日本政府は、2030年までにバイオエコノミー社会の実現を目標にしたバイオエコノミー戦略を2019年に策定し、国内外で100兆円規模の市場創出を目指している。このなかの「バイオものづくり・バイオ由来製品」における “有望なバイオ燃料・素材用バイオマス”として位置づけられるのが微細藻類だ。
ニュースからは毎日のように、ナフサの調達先を分散化すべきとの論調が聞こえてくるが、当面はそれでもよい。しかし、石油危機・ナフサ危機は将来また起きないとも限らない。できるだけ早く化石燃料に依存しない経済をつくるべきだろう。
