人生の締めくくりに「友だち」はいらない…超ベストセラー作家がそう考える理由

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友人関係を捨てることで「幸せ」を得よう

「同窓会を開いていると、『あぁ、あいつが先立ったのか……』などと、同級生の死を知らされてしみじみ感じるわけですね。年を経るごとに話題は病気の話ばかりになり、そのぶんだけ悩みも多く抱えてしまい、辛気くさくなる。それもイヤなので、70歳になったのを区切りに友だち同士で話し合い、中高一貫校時代の同窓会を終わりにしました。同窓会を生前整理したわけです」

本誌にそう明かすのは、「島耕作シリーズ」を描く漫画家の弘兼憲史さん(78歳)だ。弘兼さんは70歳を過ぎてなお多くの友だちを持つと、精神的・金銭的負担が増していくだけだと考えている。気の合う仲間を選んで付き合えばいいのだ。

「友だちはせいぜい5人もいればよいというのが僕の持論ですが、大事なのはその選び方。仕事で培った人脈よりも、趣味や遊びのほうで気が合う人を選ぶのがよいです。

会社時代の肩書に依存した人間関係は、定年と同時に消えてしまう。『遊びの友』こそが、人生の終盤を支える貴重な存在になります。そして、現役時代の肩書をすっかり捨てて、ごく普通の地域住人として謙虚に仲間と付き合うこと。これに尽きます」

友だちと交わらず、孤独に人生を締めくくるのは不安で怖いと悩む人は多いかもしれない。しかし、友人関係を捨てることで得られる幸せもある。友だちを手放す生き方を考えていくことにしよう。

『嫌われる勇気』著者が語る友人関係の在り方

世界累計1500万部に達する超ベストセラー『嫌われる勇気』の著者で、哲学者の岸見一郎さん(70歳)は、人生の締めくくりに友だちが必要かどうかを考えること自体が間違いだと語る。

「友だちが自分に必要か不要かという発想は、損得勘定や上下関係を前提として友だちを見ています。ですが、真に楽しい友人関係とは、必要・不要にかかわらず、互いに依存することのない対等関係でのみ築けるものです。

自分が必要とする人だけを友だちとみなしてはいけません。その人から何かを与えられることばかりにとらわれているからです。

ドイツの社会心理学者、E・フロムは『学ばなければならないのは、愛されることより、愛することだ』と言っています。『私はこの人のために何ができるのか』と発想することが、対等な友人関係を築くことにつながるのです。

私はかつて無名の研究者でしたが、『嫌われる勇気』がベストセラーになると、友人でもない人が『彼は学生時代からの私の友人だ』と言い出しました。ですが、損得を考えて近づいてくるような人は、得にならないと思ったら離れていくものです。

70歳ともなると、あきらめないといけないことも出てくる。あらゆる人と仲良くはなれないので、付き合える友人にも限りがあります。そこで地位や肩書で判断しない真の友人に出会えると、幸福な晩年を過ごすことができるでしょう」

【後編を読む】「私には友達がいない」名門に生まれた88歳の元首相が考える「人生の締めくくり方」

「週刊現代」2026年5月11日号より

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