ブレイクから10年「吉岡里帆」はなぜアンチが多いのか?朝ドラ同期・小芝風花との比較で見えた意外な答え
NHKの朝ドラ『あさが来た』の放送から10年。同作でブレークした吉岡里帆と小芝風花は、いまや好感度において対照的な立ち位置にいる。
吉岡は「あざとい」系のイメージが定着し、『豊臣兄弟!』でもミステリアスな「女狐」キャラを演じる一方、小芝は俳優との交際報道さえ好意的に受け止められるアンチの少ない好感度女優へと成長した。
同じ朝ドラから羽ばたき、実績も拮抗する二人の間に、なぜこれほどの「女ウケ」の差が生まれたのか? 後編では、芸能評論家がさらにその核心に迫る。
前編記事『大河でも「女狐」キャラの吉岡里帆、”5年同棲”が称賛される小芝風花…朝ドラ同期の2人から「女ウケ」の謎を考える』より続く。
頑固で不器用「あざとい」の裏にある素顔
その点、吉岡はどうかというと――。学生演劇を見て芝居に憑りつかれたというだけあって、今どきっぽくない頑なさやこだわりの強さがある。例の女ウケ云々についても、こんなことを言っていた。
「私はそもそも自分の中に嫌われる要素があるなと思っていて。そういう部分はちゃんと受け入れて、それでもみなさんに真剣に作品を届けたいと思っているので。嫌われても、私は作品を見てくださる方が好きだから。(略)失敗する、嫌われるかもしれないと思っていてもやる。そういうことを生きていく上で大事にしたいんだと思います」
本質的に真面目な人なのだろうし、これはこれでひとつのあり方だが、こういう人は自分を上手くネタにできない。『豊臣兄弟!』や「どんぎつね」CMのように、お膳立てしてくれる作り手が不可欠で、あざとい系のイメージをバラエティー番組でも活かせる田中みな実や松本まりかとは違うのだ。
とはいえ、そんな頑なさやこだわりの強さも吉岡の魅力であり、長期的なシリーズとなっている『京都人の密かな愉しみ』(NHKBS)での陶芸家役ではそのあたりが堪能できる。生粋の京都出身者ならではの方言も心地よく、個人的には彼女のベスト作品だ。
ただ、ふと頭によぎるのは、この京都出身というところも、あざといイメージにつながっているのかも、ということ。むしろ、嘘がつけないタイプにも見えるのだが、世間的にはどうなのだろう。
小芝風花にアンチが少ない理由
なお、出身でいえば、小芝は大阪。そのあたりが、明るく親しみやすいイメージにもつながっているのかもしれない。また『あさが来た』で大阪の実業家の娘役に起用されたのも、これが決め手のひとつだったという。
それから10年たった今、彼女は『あきない世傳 金と銀』(NHKBS)のシーズン3に主演中だ。江戸時代の大坂で生まれ育った女商人の波瀾万丈を描く物語。彼女のふわりとして、それでいて芯は強く、誰からも愛されそうなキャラがいかんなく発揮され、シリーズを重ねてきた。
そういえば、筆者は6年前、小芝について「ブレークっぽくないブレークは真の演技派の証し」「何かひとつの役にハマって終わりではなく、どんな役も自分らしくこなしていく」などと書いている。吉岡の「宜ちゃん」や「どんぎつね」のように、わかりやすいブレーク作や当たり役がないまま、ここまで来たことが、アンチの少なさにもつながっているのではないか。突出した状態にならなければ嫌われにくい、というのは、どの世界でも同じだ。
現在、日曜の夕方にはNHKBSで『豊臣兄弟!』と『あきない世傳』を続けて見ることができる。筆者にとっては、吉岡も小芝も好きな女優なので、女ウケの違いについてはどこか納得できないところもある。その「納得」のために、こんな文章を書いているのかもしれない。
ただ、小芝にしても、その好感度が永遠だとは言い切れない。一方、吉岡が女ウケしない理由が完全に解明されることもないだろう。そういう意味では、狐みたいな謎めく女優だともいえる。
吉岡の女ウケ問題については10年近く、さまざまな文章を書いてきて、小芝と比較した今回のこれもひとつの仮説にすぎない。そのあたりが「好感度」という不確かな指標、そういうものに左右される芸能の妙味でもあるわけだが。と、ひとまずは締めくくっておこう。
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