高支持率を全く活かせず連敗続き…練馬区長選での敗北で「高市早苗」と「小池百合子」の両女帝に暗雲

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向かうところ敵なしの高市政権にほころび

昨年10月の高市政権発足から4月21日で、半年を迎えるなか、異例ともいえる高支持率を維持している。高市早苗総理総裁(65)がわが世の春を謳歌する一幕があった。

4月11日、第93回自民党大会で「サプライズゲスト」として登場したミュージシャンで俳優の世良公則氏(70)は「私はミュージシャンだから話すことよりも歌うことが得意だ」として’99年のヒットソング『燃えろいい女』を披露。

サビに入ると、『燃えろ、ナツコ』と歌うべき箇所で『燃えろ、サナエ』と歌詞を替えて熱唱すると、高市氏は立ち上がり、両手を挙げて笑顔で応じた。

「時は来た」

高市氏は総裁演説でそう述べると、「新たなページをめくるべきかどうか、国民の皆さまに堂々と問おうではありませんか」などと憲法改正への意欲も示した。

NHK4月の世論調査で内閣支持率は2ポイントアップの61%。驚異的な高支持率を維持し、向かうところ敵なしの高市政権だが、ほころびが生じつつある。

3月の石川県知事選、東京都清瀬市長選に続き、4月12日、東京都練馬区長選で自民党推薦候補が敗れた。続く、19日の福岡県の朝倉市長や嘉麻市長、滋賀県近江八幡市、千葉県東金市、愛知県あま市など7つの市長選で自民党推薦候補が敗北。

「なかでも東京・練馬区長選の敗北は『練馬ショック』と呼ばれる痛手だった。衆院選では東京30の選挙区で自民の候補が圧勝し、練馬区を地盤とする浪人中だった元職二人を復活当選させた。自民が推薦した区長候補の尾島紘平氏(37)は小池百合子知事(73)の元秘書で、練馬区議、都議(練馬)を勤め、前区長から後継指名も受けていた。

東京維新の会、国民民主、都民ファーストの会からも推薦を受け、自民党を支持する業界団体も支援に周り、組織固めは盤石で負けるはずのない選挙だったが……」(都議会議員)

政党から支持や推薦を受けない「完全無所属」を掲げた吉田健一氏(59)に3万3千票差をつけられた大敗。

高市氏は必勝を期した「為書き」を送り、右腕の片山さつき財務相(66)を応援に入れるなど手厚い支援を講じていたが、まさかの連敗となった。

双方に利となる異色のタッグのはずだったが…

自民党と小池氏を巡る複雑な事情も背景にある。

小池氏は’16年の知事就任前後に自民党東京都連を「ブラックボックス」と批判。小池氏を支援した当時、自民党の練馬区議の尾島氏にも「除名」処分が下っていた。

「小池氏を忌み嫌った都連の重鎮が続けて鬼籍に入ったことも大きいが、3度の知事選で圧勝し、人気が揺るがない。『敵に回すのではなく、人気を利用するべき』と都連側が方針を転換。その融和の流れで組織として尾島氏を推薦したが、一部の自民都議は面白くなく面従腹背だった」(同都議)

高市氏も自民党東京都連と同じ思惑で、異色のタッグが今年1月に結成された。

衆院選解散の前日の1月22日、総理官邸に小池氏を招き、地方税制を巡る協議会の設立を決定。4月10日に国と東京都の協議会の初会合が開催され、「国と都が連携を強めることで日本全体の成長戦略につながる」と方針を示した。

東京都とその他の地方との税収格差を巡っては東京都対他46都道府県の構図で、小池氏は不利な立場に立たされている。小池氏の孤立無援な窮状がある一方で、高市氏も真冬に解散・総選挙を打ち出すも、どう転ぶかわからなかった。

東京都連会長でもある萩生田光一幹事長代行(62)を通じて小池氏と接触。東京選挙区で勝つために小池氏の人気にあやかりたかった。衆院選では小池氏がその影響力をいかし、都連所属の議員の応援演説を行い、圧勝につなげた。その労に報いる形で国と都の協議会も開かれ、尾島氏の支援も含まれていた」(自民党東京都連所属の衆議院議員)

双方に利となる異色のタッグのはずだった。しかし、蓋を開ければ、小池氏は衆議院議員時代の地盤で、自宅もある練馬で側近が敗北。一方の高市氏も「私が目指すのは国でも地方でも選挙に勝ち続ける、強い自民党を作ることだ」と党大会で啖呵を切ったばかりのなかで自民系候補の連敗だ。

「内閣支持率は堅調なものの、その高市人気が地方選の勝利に結びつかない。3月の石川県知事選ではイラク紛争が勃発するなか、反対意見を押して応援演説を決行し、敗北。以後、連敗の流れが止まらず、来春の統一地方選を控え、党内で波紋が広がっている。高い支持率で封じていた反高市派の面々が来年の統一地方選に向けて活発に動き出そう」(同議員)

高支持率を背景に都と国を動かして来た女性リーダーたちに暗雲が立ち込めてきた。

取材・文:岩崎 大輔