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ビットコインやイーサリアムなど暗号資産(仮想通貨)をめぐっては、その実態よりも取引レートの話題ばかりが先行してきた。また、最近では胡散(うさん)臭い「SANAE TOKEN(サナエトークン)」のニュースが社会をにぎわせた。

それ故、暗号資産の値上がりや値下がり、「もうかった」とか「損した」という類の話は今でも多いが、多くの人は、本当に「資産」となり得るのかという疑問を抱えていた。

金融商品取引法(金商法)の改正案が10日に閣議決定され、暗号資産が金融商品として初めて規制対象となる。そういう意味では1つの方向性が見えてきたかもしれない。

資金調達目的で暗号資産を発行する事業者には年1回の情報開示が義務付けられる。暗号資産の無登録業者に対して罰則を強化し、未公開情報をもとに売買するインサイダー取引などを禁じる。同改正案が今国会で成立すれば2027年度に施行される見通しだ。

暗号資産は通貨にならない

暗号資産は我々が日常的にモノを売り買いする際の「通貨」にはなり得ず、投機目的の「資産」扱いになることが改正案で方向づけられた。「通貨」になるには、ほとんどの人が信じて使う状況が絶対条件だ。

例えば、何か商品を販売したときの対価に暗号資産を受け取ったとして、それが3日後に価値が上がるとわかったら誰もそれを使わなくなり、「投機」対象となる。暗号資産には実物的な裏付けがないので価格変動が激しく、皆が使わないので「通貨」にはなり得ないということだ。

暗号資産も支払い手段としての利用が見込まれていたため、金融庁はこれまで資金決済法で規制してきた。しかし、最近では投資目的での利用が増えていることなどから、金商法の規制に移す。現在の暗号資産市場の参加者は個人投資家が中心だが、制度が整うことで機関投資家が参入しやすくなる。証券会社は暗号資産でETFや投資信託などを組成して販売可能となるので、これまでより多くの人が金融商品として身近になるだろう。

暗号資産の登録業者の名称は「暗号資産交換業者」から「暗号資産取引業者」に変更される。ただ、日本では赤字業者がかなり多く、仲介業者の約9割が赤字だともいわれる。今回の法改正をきっかけに、業界の淘汰(とうた)が進む可能性がある。

文/横山渉 内外タイムス