こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した輝線星雲「干潟星雲」(Lagoon Nebula、M8)のクローズアップ。いて座の方向、地球から約4000光年先にあります。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した輝線星雲「干潟星雲(M8)」(可視光線データ使用バージョン)(Credit: NASA, ESA, STScI)】

輝線星雲とは、若い大質量星から放射された紫外線によって水素ガスが電離し、光を放っている星雲のこと。電離水素領域(HII領域)とも呼ばれています。ガスと塵(ダスト)が集まった雲から新たな星が生み出されていることから、星形成領域とも呼ばれます。


ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、干潟星雲は幅55光年にもおよぶ広大な星形成領域です。地球からの見かけの大きさは満月の視直径の3倍ほどもあり、条件の整った暗い夜空であれば肉眼でも観察することができます。


巨大な若い星が輝くダイナミックな環境

この画像は、そんな広大な干潟星雲の中心部分、幅約4光年ほどの領域を捉えたものです。「干潟」という言葉から連想する穏やかそうなイメージとは対照的に、ここではガスと塵が入り乱れるダイナミックな環境で、高温の星から吹き出した恒星風としてガスが流れ、渦巻く煙突のような構造もみられます。


画像の中央付近、暗い雲に囲まれてひときわ明るく輝いているのは、「Herschel 36(ハーシェル36)」と呼ばれる大質量星です。年齢約100万年と若いこの星は、太陽の約20万倍という明るさで輝いています。Herschel 36が放出する強力な紫外線は周囲のガスを電離させ、恒星風はガスを吹き飛ばして幻想的な構造を作り出しています。


冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「WFC3(広視野カメラ3)」で取得したデータを使って作成されたもので、HSTの打ち上げ28周年記念画像としてESAやNASA(アメリカ航空宇宙局)などから2018年4月19日付で公開されました。紹介したのは可視光線のデータを使用したバージョンで、この他にも赤外線のデータを使用したバージョンも公開されています。


本記事は2019年7月28日公開の記事を再構成したものです。


関連画像・映像

【▲ HST(ハッブル宇宙望遠鏡)が観測した輝線星雲「干潟星雲(M8)」(赤外線データ使用バージョン)(Credit: NASA, ESA, STScI)】

 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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