【小林 雅一】このデマだけは許せない…メラニア夫人「エプスタイン関与」を完全否定で急浮上した「実業家の名前」

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名誉回復に動いたメラニア夫人

なんで今、それをやるの?

トランプ大統領の側近をはじめホワイトハウス関係者は思わず首をひねったに違いない。全米、いや全世界の関心が「アメリカとイランの和平交渉」に注がれていた今月9日(米国時間)、メラニア・トランプ夫人が突如ホワイトハウスの玄関ホールで記者会見を開いたことだ。

会見の壇上に立ったメラニア夫人は厳粛な面持ちで「私と恥ずべきジェフリー・エプスタインを結び付ける嘘は今日で終わる必要があります」と訴えた。エプスタインとは、2019年7月にニューヨーク近郊の空港でFBI捜査官に逮捕され、その後、拘置所内で死亡が確認された世界的な性的人身売買ネットワークの首謀者(性犯罪者)だ。

壇上のメラニア夫人は続けて「エプスタインと私に関する無数のフェイク画像・発言は過去何年にも渡ってソーシャルメディアに拡散し(私を苦しめ)てきました」と指摘した上で「私はエプスタインの友人でも被害者でもありません」と断言した。

エプスタイン文書とは何か?

メラニア夫人が今回の記者会見に臨んだ背景には、今年1月30日にアメリカ司法省が開示した「エプスタイン文書(Epstein Files)」の存在がある。

これは米国の検察やFBIが、エプスタインの性犯罪を長年捜査する過程で収集してきた「メール」「写真」「ビデオ」や「公判記録」など膨大な証拠資料である。その分量は全部で約650万ページにも及ぶと言われるが、1月に開示されたのは、そのうちの300万から350万ページとされる。

これら膨大なエプスタイン文書には、現職のトランプ大統領やビル・クリントン元大統領をはじめ世界各国の政治家、財界人、文化人、セレブらの名前が何度も登場することから、これらの著名人がエプスタインの性的人身売買(性犯罪)に関与したかもしれない、との疑念を呼んでいる。

この文書が開示された事によって、既にマイクロソフト共同創業者で世界的な実業家・慈善活動家のビル・ゲイツ氏や元アメリカ財務長官でハーバード大学学長も務めたことのあるエコノミスト、ラリー・サマーズ氏ら多くの著名人が、自らの信用や評判が失墜して職を追われるなど社会的に厳しい制裁を受けている。

このように破壊的な影響力を持つエプスタイン文書には、トランプ大統領は元よりメラニア夫人の名前や画像、メールなど関連情報も多数含まれている(たとえば写真1)。このため自分とエプスタインとの関係が疑われ、自身の評判が傷つくのを恐れたメラニア夫人は、ホワイトハウスでの記者会見でその疑いを晴らそうとしたのである。

メラニア夫人が許せなかったこと

メラニア夫人がエプスタイン関連で特に気にしていたのは、「メラニアとトランプが最初に出会ったのはエプスタインの紹介であった」という噂である。これは、かつてスロベニア出身のモデルであったメラニア氏がエプスタインによる性的人身売買の被害者であり、そのプロセスを通じてトランプ氏と出会ったと暗に述べているのと同じだ。

メラニア夫人にとって、この噂は自らの誇りと評判を著しく傷つけるという点で許し難いデマであったようだ。先週の記者会見でも、夫人は「エプスタインは私をドナルド・トランプに紹介しませんでした。私は1998年にニューヨークで催されたパーティで偶然、夫(トランプ氏)に出会ったのです」と釘を刺した。

ただし「偶然、出会った」と言っても、実際には両者の間に立って互いを引き合わせてくれた人物がいるという(これは先週の記者会見ではなく、それ以前からメラニア夫人が公に主張してきたことだ)。その人物とはイタリア出身の実業家パオロ・ザンポッリ氏だ。

ザンポッリ氏は1990年代にニューヨークでモデル・エージェンシーを経営しており、1996年にメラニア・クラウス氏をスロベニアから米国へ呼び寄せた人物である(クラウスはメラニア夫人の旧姓)。

メラニア夫人によれば、このザンポッリ氏が1998年、ニューヨークの「キットカット・クラブ」で催されたパーティで、当時のメラニア氏をトランプ氏に紹介したのだという。

これについてニューヨーク・タイムズの記者が電話でザンポッリ氏に事実確認したところ、同氏は「メラニア夫人の言う通りだ」と認め、「(もし必要なら)その件について議会で証言しても構わない」と述べたという。

ただ、写真でも見られるように、トランプ氏と交際していた頃のメラニア氏がパーティ会場でエプスタインやその共犯者のギレーヌ・マクスウェルと親しそうに並んでいたのは事実である。

…つづく『「すべて暴露する」…エプスタイン事件「関与否定」のメラニア夫人に逆恨みか? 元モデルからの脅迫文の中身』でも、この問題について詳しく解説しています。

【つづきを読む】「すべて暴露する」…エプスタイン事件「関与否定」のメラニア夫人に逆恨みか? 元モデルからの脅迫文の中身