500台が道路の中央で一斉に停止…中国の不景気を支える国家戦略事業「自動運転車」に起こった異常事態

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PMIは回復も

中国の3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4となり、好不況の境目である50を3カ月ぶりに上回った。水準も1年ぶりの高さだったが、今回のデータは春節(旧正月)休暇の影響でゆがめられたとの指摘が出ている。

持続性にも疑問符が付く。中東紛争に起因するエネルギー価格の高騰が、輸出依存度が高く利幅の薄い製造業に新たな逆風をもたらしているからだ。

中国人民銀行(中央銀行)の金融政策委員である黄益平氏は3月31日の会見で、「中東紛争に起因する輸入インフレが中国経済の重荷になる。最も懸念しているのは企業収益への打撃だ。収益の圧迫は実体経済にとって極めて不利に働く」との見解を示した。

原油価格が跳ね上がり…

中東紛争のせいで中国は原油を割安価格で購入できなくなっている。

米国政府が海外に滞留するロシア産とイラン産の原油取引禁止措置を時限的に解除し、インドなどの買い手が殺到した影響で、両国の原油価格は跳ね上がった。ロシア産原油価格はブレント原油よりも割高となり、イラン産のディスカウント幅もほぼゼロになってしまったほどだ。

ガス輸入の混乱が災いして、中国南部の工業地帯では石炭需要も急増している。

このため、中国政府は第2次トランプ政権発足前後から停止していた米国産の原油や液化天然ガス(LNG)の購入を再開せざるを得なくなっている。

タンカーをはじめとした船舶・貨物の追跡などを行っている欧州調査企業ケプラーによれば、中国を行き先とするタンカーが4月に積み込む予定の米国産原油は日量約60万バレル、3月に積み込んだ米国産LNGは約30万トンだ。

輸入インフレへの懸念が高まるなか、中国企業の利益率の低下は進む一方だ。

新車販売台数世界、でも…

中国メディア・第一財経は3月末、「中国自動車業界の1~2月の利益率は2.9%と、過去最低水準に落ち込んだ」と報じた。

昨年の中国車の世界シェアは35.4%に達し、新車販売台数で初めて日本勢を抜いて世界一位となった。だが、激しい価格競争で利益が圧迫され続けている状況に変わりはない。

技術力の高さを誇るようになった中国だが、「不都合な真実」も明らかになっている。

中国・武漢で3月31日現地時間夜9時頃、百度(バイドゥ)の自動運転タクシー500台が走行中、道路上で突然停止してしまったのだ。乗客は社内に2時間超に渡り閉じ込められ、事故も発生したと言われている。

障害発生の原因は不明だが、専門家は「百度のタクシーは集中制御の下で運用されていたのではないか」と指摘する。これが事実だとすれば、ハッカーがこうしたシステムに侵入し、金銭やテロ目的のために車両を悪用するリスクが排除できなくなる。

「急いては事を仕損じる」ではないが、中国企業の安全性を度外視した新技術の社会実装には大きな落とし穴があると言わざるを得ない。

とはいえ、約1兆1900億ドル規模に達した輸出が好調と見る向きもある。しかし、後編『男がブルドーザーで暴走し刃物での殺傷事件も…不景気続く中国でまたしても起こった「社会への報復」の恐怖』で見ていくように、中国の輸出業を支えているアジアや欧州各国は景気後退に入る可能性がある。不動産不況を契機に起こった不況が改善する兆しが見えないなかで、また中国国民の不満が噴出していた。

【つづきを読む】男がブルドーザーで暴走し刃物での殺傷事件も…不景気続く中国でまたしても起こった「社会への報復」の恐怖