総合マーケティングビジネスの富士経済は、毎年行っている加工食品の市場調査を7月から開始した。調査は20カテゴリー383品目を対象に、4回に分けて実施する。第4回は、家庭での調理頻度減少の影響がみられる調味料、簡便性や時短を訴求した商品の好調によって緩やかな拡大が続く調味食品、手軽に喫食できる商品が堅調なスープ類、米価格の高騰による代替需要獲得が伸びの要因となっているめん類、原料米の価格高騰の影響が大きい米飯類の5カテゴリー97品目の国内市場を調査した。その結果を「2026年 食品マーケティング便覧 No.4」にまとめた。

トピックスとして、無菌包装米飯・レトルトライスの国内市場では、原料米の価格高騰や不足によって銘柄米使用商品の休売がみられ、伸びが鈍化し、2025年見込は2024年比4.7%増の1088億円とみられる。2032年予測は、日常食としての需要が定着することで、堅調に拡大。品種や銘柄だけでなく、雑穀ブレンドなど白米以外のアイテムが充実化することで、2024年比9.2%増の1135億円と予測する。

この調査では、対象品目の2014年から現在までの市場動向と、温度帯や用途、チャネル、パッケージの動向、参入企業やブランドの動向などを分析し、2032年までの市場を予想した。また、4回の調査終了後には、その調査結果を総合的、横断的に分析するとともに、加工食品業界の将来を展望する。

無菌包装米飯・レトルトライスでは、備蓄需要が主体だったが、近年は簡便性と保存性の高さから日常食としての需要を獲得し、市場は拡大を続けている。2024年は8月の南海トラフ地震臨時情報の発表に関連した備蓄需要の高まりに加え、量販店やドラッグストアの精米コーナーの空きを埋める商品として展開が増えたことで、代替需要を獲得した。急激な需要増加でメーカーの生産が間に合わないケースもみられたが、市場は前年比二桁増となり、1000億円を突破した。

2025年は、原料米の不足による銘柄米使用商品の休売や終売のほか、値上げの影響などから10個入パックの需要が低下している。また、備蓄米の放出による反動減もあり、市場の伸びは鈍化が予想される。

白米中心に国産米や銘柄米などを訴求した商品が展開されているが、日常食としての需要が定着するにつれて、銘柄だけでなく、雑穀ブレンドなど白米以外のアイテムが充実化し、炊き方などの食感を訴求した商品のニーズも広がっていくとみられる。


国産パスタ、輸入パスタの2024年は市販用で米の代替需要獲得が進んだほか、業務用ではCVSや量販店などの中食業態の弁当で米飯メニューの一部をパスタメニューに切り替える動きなどがみられたことから、国産パスタ、輸入パスタ、どちらも前年以上の伸びとなった。

2025年は、国産パスタが市販用で米の価格高騰を受け主食代替需要を引き続き獲得しているほか、前年発売のもちっとした食感を訴求した付加価値品が定着しつつあり、業務用でも外食、中食向けが堅調なことから、市場は拡大が続くとみられる。輸入パスタは、手ごろな価格などから人気であるトルコ産やギリシャ産パスタが、値上げによって国産パスタとの価格差が縮まり優位性が薄れていることから、国産パスタへの需要シフトがみられる。一方、イタリア産の高価格帯ブランドを中心に外食向けが引き続き安定しており、市場は僅かながら拡大するとみられる。

国産パスタ、輸入パスタともに、レンジ調理が可能で簡便性に優れた冷凍パスタ(市場対象外)への需要シフトがあるものの、市販用では早ゆでタイプや1食分にまとめた結束タイプなど簡便性の高い商品の好調が続き、業務用も引き続き堅調に推移するとみられ、今後も安定した成長が続くと予想される。


鍋つゆでは、鍋料理は手軽に調理でき野菜も多く摂ることができる人気メニューとして定着している。2024年は、値上げにより単価が上昇したほか、11月頃からの本格的な冬の到来に伴い需要が押し上げられたことで市場は拡大した。

2025年は、記録的な暑さが続き秋の需要取り込みが遅れたほか、生鮮野菜の価格高騰などから需要の伸び悩みもみられる。しかし、手軽に多くの野菜を摂取できる健康的なメニューであることや、食材の選び方で経済的な負担も抑えられるため、前年と同様にシーズン後半にかけて盛り上がり、同じく冬に需要が高まるしゃぶしゃぶやすき焼きのたれ、おでんの素などほかの鍋関連調味料が苦戦しているのと異なり、市場は堅調とみられる。

フレーバーは、寄せ鍋、ちゃんこ鍋、キムチ鍋のほか、有名店監修商品やラーメンテイスト商品などがあり、有名店監修商品は監修店のファンなど新規顧客の獲得が早く、参入企業が積極的に新商品を投入している。また、タイプ別では、開封後すぐに使用できるストレートタイプは利便性の高さから支持されており、市場全体の7割程度を占める。一方で、濃縮・希釈タイプも自宅での保管スペースに優れることもあり、個食ニーズの高い単身者層などから支持されている。

今後も個食ニーズ対応商品による新規顧客の掘り起こしや、名店監修商品による売り場の活性化、通年メニューとしての鍋メニューの提案が行われることで、市場拡大が予想される。


調味料は、家庭での簡便性ニーズの高まりや業務用での人手不足の深刻化を背景とした基礎調味料から応用調味料へのシフトによって、市場は堅調である。2025年は、値上げや商品の付加価値化による単価上昇のほか、応用メニューの提案などの参入企業の活発な需要喚起により、市場は小幅ながら拡大を続けるとみられる。

調味食品は、冷凍食品など調理済食品や外食、中食との競合がありながら、市場は緩やかな拡大を続けている。2025年は、新商品投入など参入企業の積極的な商品施策によってレトルトカレーやインスタントカレーが堅調なほか、パスタが米の代替として食される機会が増加したことでパスタソースが伸長しており、中でも和えるタイプや電子レンジ調理対応商品が増えている。また、韓国ブームによる韓国食品の人気が続いており、アジアンメニュー専用合せ調味食品(市販用)も好調である。

スープ類は、インスタントスープやストレートタイプなど手軽に喫食できるスープが堅調な一方、鍋を用いて加熱などの調理を必要とするスープが苦戦している。2025年は一食あたりの単価の高いフリーズドライスープが伸び悩んでいるが、全体としては参入企業の注力度が高く、夏場需要の掘り起こしや具材のボリューム感を訴求した商品の投入などが行われ、ギフト需要を獲得する商品もあることから、市場は引き続き拡大するとみられる。

めん類は、即食性の高いカップめんの規模が大きい。2024年は8月の南海トラフ地震臨時情報の発表に関連した備蓄需要の急増で大きな伸びとなったが、2025年は一部の品目で前年の反動がみられる。しかし、引き続き米価格の高騰により代替需要を獲得している国産パスタが堅調であるほか、在日外国人の増加を背景にビーフン・米粉めんが好調なことから、市場拡大が予想される。

米飯類は、2024年は備蓄需要の急増と米価格の高騰や品薄を受けて雑穀や包装餅が例年以上の伸びとなった。2025年は、前年に続く米価格の高騰から値上げを余儀なくされる品目も多く、市場拡大が続くとみられる。一方で、原料調達が不安定となったことで無菌包装米飯・レトルトライスやおかゆ・雑炊・リゾットでは休売や終売などが発生している。

[調査方法]富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
[調査期間]2025年9月〜12月
[小売価格]
書籍版:16万5000円
書籍/PDF版セット:19万8000円
書籍/PDF+データ版セット(全体編):22万円
ネットワークパッケージ版:33万円
(すべて税込)

富士経済=https://www.fuji-keizai.co.jp