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夫がW不倫で離婚を決意した女性から、相手から慰謝料の減額を求められることを前提に300万円を請求したいという相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者によると、夫の不倫相手も既婚者で、交際期間は約2カ月、実際に関係を持ったのは2回とのことです。証拠としてラブホテルの出入り写真、不貞行為があったことを示すLINEのやりとりなどを持っているとのことです。

相談者はすでに不倫相手に内容証明を送り、300万円を請求しているそうですが、「減額交渉をしてくることを前提」としてこの金額を請求しているとのことです。また、不倫相手の夫から相談者の夫に対する慰謝料請求が認められるかという点についても気になっているようです。

一般的に、W不倫のケースで慰謝料を請求する場合、相手方からも慰謝料が請求されることを見越して、あえて高額に慰謝料を請求して認められる可能性はあるのでしょうか。

●今回のケースでの相場は100万円程度と思われる

一般的に、不貞が原因の慰謝料の相場は100〜300万円程度とされています。

もちろん、相手方が同意すれば、請求通り300万円を支払ってもらうことも可能です。
しかし、同意がない場合には最終的には裁判所が決めることになります。

慰謝料の金額は、婚姻期間・不貞の期間や回数・相手方の経済状況などを総合的に考慮して決まります。

今回のケースでは、交際期間が約2カ月と比較的短く、不貞行為も2回とこの種の事案の中では少なめです。

そのため、100万円程度ではないかと思われます。

●「W不倫だからお互い様」にはならない

W不倫の場合、「お互い様だから慰謝料は減らされるのでは」と思う方もいるかもしれません。これは誤解です。

W不倫はそれぞれの夫婦に加害者と被害者がいるという構造になっています。具体的には以下のような構造です。

【不法行為1】相談者が被害者
被害者:相談者(妻A)
加害者:相談者の夫(夫A)+不倫相手の女性(妻B)

【不法行為2】不倫相手の夫が被害者
被害者:不倫相手の夫(夫B)
加害者:不倫相手の女性(妻B)+相談者の夫(夫A)

この2つは、まったく別の話です。
相談者(妻A)が不倫をしたわけではありません。
相談者はあくまで不法行為1の「被害者」です。

1と2をごちゃまぜにして「どっちもどっち」となるわけではなく、それぞれが独立した請求として扱われます。

相談者が相手の女性に請求するのは1の話です。
相手の夫から相談者の夫に請求がくるのは2の話です。
両者は無関係です。

●「財布が同じ」かもしれない点に注意

ただし、今回のようなケースでは、事実上「財布が同じ」になってしまうかもしれません。 これだけだと意味が分かりにくいと思いますので、具体的に考えてみましょう。

仮に、相談者が相手の女性(妻B)から慰謝料として100万円を受け取ったとします。

一方で、相手の夫(夫B)が相談者の夫(夫A)に慰謝料として100万円を請求して認められたとします。このとき、相手の夫に支払われる100万円は、相談者夫婦の共有財産から支出されるおそれがあります。

相談者は離婚の意思が固いようです。離婚した場合には財産分与といって、夫婦の財産を分け合うことになりますが、上のような慰謝料の支払いによって、相談者が受け取れる財産が目減りしてしまう可能性があります。

このため、具体的な事情によって次のような工夫が必要になるかもしれません。

・財産分与の合意をなるべく早く固めるなどして、夫からの財産の流出を防ぐ
・相手妻からの慰謝料は一括払いでできるだけ早期に受け取る
・相手の女性に慰謝料を支払ってもらう際、相談者と相手方女性との間で交わす合意書に、相手の女性が相談者の夫に『半分負担して』などと請求できなくする条項(求償権の放棄)を入れる

離婚の時期や、相談者の夫と相手方女性との関係性など、個別の判断が必要となるため、弁護士に相談することをおすすめします。

(参考文献)
森公任・森元みのり監修『離婚の法律相談と手続き 実践マニュアル』(三修社、2020年)

(監修:小倉匡洋 弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)