前伊東市長「田久保眞紀氏」が書類送検…前橋市長に再選「小川晶氏」との圧倒的な差はなぜ生じたのか? 専門家は「謝罪が2人の運命を分けた」と指摘
これほど好対照な“前市長”と“現市長”は珍しいかもしれない──。2月27日の夕方、大手メディアは一斉に「静岡県伊東市の田久保眞紀・前市長が書類送検されていたことが分かった」と速報で報じた。田久保氏の学歴詐称問題では6つの容疑で刑事告発が行われていたが、その中の地方自治法違反の疑いで書類送検されたのだ。一方、群馬県前橋市の小川晶市長は2月20日に会見を開き、市の2026年度一般会計当初予算案を発表した。
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【実際の写真】上目遣いで“ぶりっ子ポーズ”を… まるでアイドルのような「小川晶氏」
担当記者は「田久保さんが書類送検されたというニュースは、たちまちSNSで拡散しました」と言う。
「3月に入ってからも田久保さんの関連記事が次々に配信され、こちらもSNSで拡散を続けています。特に『入学した東洋大学では132単位中、68単位しか取得していなかった』という報道は書類送検の前に伝えられたのですが、今も多くの人に読まれ、言及されています。SNSでの投稿も『卒業出来てないことを自覚しながらよくあそこまで平気で嘘をつけるもんだ』と田久保さんに対して厳しい論調が圧倒的多数です。一方、小川さんのほうは批判の対象になるどころか、もはや炎上騒動自体が過去のものになっている感すらあります」

小川氏は前橋市の市長としてXに公式アカウントを開設している。3月4日には強風注意報の発令を伝えたり、地産地消の「まえばしふりかけ」をPRしたりしているが、全く炎上していない。
いや、それどころか「お疲れ様です」、「安全を呼びかけていただきありがとうございます」、「まえばしふりかけ、いいですね」と好意的な返信が圧倒的多数だ。
“ルール違反”で炎上
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「田久保さんと小川さんに対するネット上での好対照な反応は、“ネット潔癖症”が大きな影響を与えています」と言う。
「一見するとSNSを代表するネット上の言論空間は“無法地帯”のような印象を持ってしまいますが、実はルールの厳守を求める意見が強く、こうした“潔癖志向”は世界各国のネット空間で認められます。ルールを破った人は容赦なく攻撃するという傾向も共通しており、日本では2000年代から顕著になりました。田久保さんの場合は学歴を偽った疑惑が、小川さんの場合は既婚の男性と宿泊施設に入った疑惑が浮上しました。まさに両者とも“ルール違反”が問題視されたわけです。疑惑の発覚当初、田久保さんは『大学は除籍と言うが卒業証書は持っている』、小川さんは『二人きりになったが、やましいことはしていない』というトーンで説明したため、『無茶苦茶な反論だ』とさらに反感を買い、大炎上に発展しました」
よく「選挙で勝利すれば禊ぎが済んだと考えられる」という見解を目にする。だが今年1月に行われた前橋市の出直し市長選で小川氏が再選を果たしたことと、彼女の炎上騒動が「過去のものとなり、攻撃の対象から除外された」ことは関係がないという。
井上氏は「なぜかと言えば答えは簡単で、当選しても批判が止まらない政治家はたくさんいるからです」と説明する。
謝罪文化の影響力
「田久保さんと小川さんの運命を分けたのは、出直し市長選における態度です。田久保さんは学歴詐称問題について基本的に釈明も反論もせず、ひたすら『市政の改革継続』を訴えました。一方、小川さんは選挙期間中、謝罪行脚を徹底的に行いました。いわゆる“不倫”の疑惑はくすぶっていたとはいえ、『あそこまで謝っているんだから、許してやってもいいか』という世論に変化していったのです。お二人の表情も対照的で、田久保さんは厳しい表情が多かったのに対し、小川さんは神妙な表情に徹しました。危機管理の専門家も日本社会における謝罪文化の根強さを指摘しますが、伊東市長選と前橋市長選は、まさしくその好例だったと思います」(同・井上氏)
学歴詐称疑惑が浮上した際、田久保氏が取るべき対処法は一つしかなかった、と井上氏は言う。
「まず学歴詐称を認めることが最優先だったと思います。『卒業と偽ってしまいました。申し訳ありません』と記者会見で頭を下げるべきでした。ただし、それでも世論は沈静化しなかった可能性はあります。市議会で不信任案が可決されたかもしれません。その場合は、絶対に市議会を解散しないことが重要でした。全く反省していないように受け止められるからです。ただちに辞職し、出直し市長選に出馬し、小川氏のようにひたすら謝罪行脚を続ける。それでも落選したかもしれませんが、今のように炎上が延々と続くようなことはなかったでしょう」
デイリー新潮編集部
