ウォルマートの戦略が結実へ 注文額35%増を実現した AI アシスタントの衝撃

記事のポイント
AIアシスタント利用者の注文額は非利用者より約35%高い。
スパーキーが購買意図を捉え検索から意図主導型コマースへの進化を後押ししている。
OpenAIやGoogleと提携し、AI投資を加速させる戦略も取っている。
ウォルマート(Walmart)の新CEOに就任したジョン・ファーナー氏が、今月19日午前、同社の第4四半期決算説明会で、AIを活用したショッピングアシスタント「Sparky(スパーキー)」を利用する顧客の注文額は、利用しない顧客よりも約35%高いと語った。
同社が6月の提供開始時に発信したニュースリリースによると、このアシスタントは商品検索やレビューの要約だけでなく、いつどのスポーツチームが試合をするのか、向かう予定のビーチの天気など、特別な日の準備までサポートする。
さらに同社は2025年3月、小売業者向けアシスタント「ウォーリー(Wally)」も立ち上げた。
デジタル上の購買意図を迅速なフルフィルメントと実店舗へ連結
「スパーキーが当社のオムニチャネル戦略に完璧に適合している点を私は気に入っている。スパーキーは、デジタル上の購買意図を、フォワード・デプロイド・インベントリ(前線配備型在庫:顧客に近い場所で在庫を配置すること)と米国内の150万名の従業員を通してフルフィルメントにつなげている」とファーナー氏は述べた。
「スパーキーがバスケット(買い物かご)を作成すると、当社は迅速な配送、ピックアップ、または店頭販売を通じてそれを実行し、AIによるエンゲージメントを即時の物理的な成果へとつなげている」。
検索から「意図主導型コマース」への進化が収益性を強化
ウォルマートのアプリ利用者の約半数がスパーキーを利用したことがあると、ウォルマートUSのプレジデント兼CEOであるデビッド・グッジーナ氏は述べた。
同氏は今月、ウォルマートUSの最高eコマース責任者を務めたあとに現職へ昇進した。
「スパーキーは、従来型の検索から意図主導型コマースへの進化を、本質的に後押ししている」とグッジーナ氏は決算説明会で述べ、同社が新機能の追加、パーソナライズの強化、そしてより深い文脈理解の実現に向けて継続的に取り組んでいると付け加えた。
「経済的観点から見ると、より優れた発見体験と高いコンバージョン率は、より多くの購入数と購入頻度の向上につながる。スパーキーは顧客が必要なもの、欲しいもの、愛するものを見つける手助けをしており、拡大に伴って当社のデジタル部門のユニットエコノミクスも強化している」。
AIによるパーソナライズが実現する「未来の小売体験」
スパーキーは現在、米国内でのみ利用可能であるが、将来的には世界の各市場にも展開したいとファーナー氏は考えている。「小売業における変化のスピードは加速している」とファーナー氏は述べた。
「ウォルマートにとって未来は速さ、利便性、そしてパーソナライズ化である。AIの可能性が広がり、深まるにつれ、当社のチームにはさらに迅速に動くよう求めている」。
またファーナー氏は、ウォルマートが市場全体で一貫した体験を提供するためにテクノロジープラットフォームを構築しているとも述べた。
さらに同氏は、既存資産をより有効活用するため、既存プラットフォームの上にAIを統合することで、「イノベーションを着実に拡張し、資本集約度を低減する助けとなっている」と語った。
顧客のライフスタイルを深く理解し独自の解決策をリアルタイム生成
ファーナー氏は、スパーキーが新たなスキルを習得するにつれて、ウォルマートがこれまで以上に顧客の意図を深く理解する手段へと急速に進化していると述べた。
「スパーキーができることは、あなたが人生で何を成し遂げようとしているのかを、非常に明確に理解することだ。それが誕生日パーティーであれ、キャンプ旅行であれ、1週間分の献立作りであれ、あるいは今夜の夕食の準備であれだ」とファーナー氏は述べた。
「そして当社は、必要であればリアルタイムで優れた独自の解決策を提示できるし、これまで以上にあなたのことを深く理解することで、よりあなたの個人的な好みに沿った提案もできる」。
OpenAIやGoogleとの提携で加速するオープンな戦略
ウォルマートは、自社のWebサイトおよびモバイルアプリにおけるAIショッピング機能に加え、OpenAIおよびGoogleとも提携し、パートナーシップを通じたアプローチでAIショッピングへの投資を同時に進めている。
これは、ほかのテクノロジー企業と協業よりも自社のAI機能への投資に注力してきたAmazonとは対照的である。
このオープンなパートナーシップ戦略は「テック企業が得意とする革新的なテクノロジーの開発に専念できるようにする」と、ウォルマートCFOのジョン・デビッド・レイニー氏は決算説明会で述べた。
「そして当社がもっとも得意とする、最良のテクノロジーを小売体験に生かし、顧客や会員、そして私たちの事業にとって価値を創出する、明確な目標を実現するためのハッキリとした道筋が見えてくる」。
[原文:Walmart says AI users build 35% bigger baskets than others]
Mitchell Parton(翻訳、編集:藏西隆介)
