『ラーメン屋トイ・ボックス』素ラーメン・醤油 1000円 昨年春に味を進化させた塩。あっさりした中にも複雑な旨みがある

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ご覧の通り、チャーシューもメンマも煮玉子も一切ない。スープと麺、トッピングはねぎ程度という潔くも美しき世界――。今、そんな“かけラーメン”が注目されています。それは自信がないと出せない究極の美味のハーモニー。大人だからこその静かな感動をぜひ!

緻密なバランスの圧倒的な旨みに心まで酔いしれる『ラーメン屋トイ・ボックス』@三ノ輪

人でもモノでも飾り立てない美しさにハッとすることはありませんか。ラーメンもそう。トッピングの影響を受けないスープと麺のシンプルな構成にその店の本質の味が表れる。

名店『トイ・ボックス』の「素ラーメン」、醤油味の場合。それは気品さえ湛える一杯だった。

たまらずひと口啜ればあふれる鶏清湯の豊満な旨み、風味豊かな醤油のキレ、喉を滑り落ちるしなやかな特注中細麺。ごまかしのないおいしさは確固たる実力の証だ。

素ラーメン・醤油1000円

『ラーメン屋トイ・ボックス』素ラーメン・醤油 1000円 昨年春に味を進化させた塩。あっさりした中にも複雑な旨みがある

スープに使うのは鶏と水だけ。比内地鶏や川俣シャモなど味の出方が異なる4種をブレンドすることでふくよかな旨みを実現し、沸騰させない94〜96度をキープしながら、店主の山上さん曰く“鶏が気持ちよさそうになる感覚”で7時間かけて仕込むそう。

かえしは生醤油など10 種を用い、そのわずか1滴でも印象が変わるという計算された配合。仕上げに回しかける鶏油も酸化させないよう新鮮な状態を寸胴から丁寧に取り出し、脱水させるイメージでひと晩冷まして使うとか。

こうして書くだけでも気が遠くなりそうな手間と繊細な作業だが、それら全ての要素から生まれるバランスが1ミリでもブレたらこの味は出せないだろう。

一方、塩は鶏に豚の肉ダシを加え、さらに追いガオした奥行きのあるスープ。味噌は八丁や麹味噌など5種を合わせたコク深さ。

幼少期から外食といえば人気のファミレスよりシブい町中華でラーメンを啜っていたという山上さん。生粋の麺好きが作る3種3様の基本のキに、豊かな経験と哲学が潜んでいる。

『ラーメン屋トイ・ボックス』店主 山上貴典さん

店主:山上貴典さん「毎日味をチェックするのも素ラーメンです」

『ラーメン屋トイ・ボックス』

[店名]『ラーメン屋トイ・ボックス』

[住所]東京都荒川区東日暮里1-1-3

[電話]03-6458-3664

[営業時間]11時〜15時、18時〜21時、土・日・祝:11〜15時※材料が無くなり次第終了

[休日]月※祝の場合は営で翌火休、第2・4火

[交通]地下鉄日比谷線三ノ輪駅3番出口から徒歩3分

澄んだスープとシルキーな麺の美しき味わい『らあめん元HAJIME』@蓮根

都内屈指の塩ラーメンの名店。実は2009年の開業時にも“具なし”をやりたいと考えていたそうで、1年ほど前に提供し始めたのが塩と醤油の2杯だ。

らあめん(具無し)塩1000円

『らあめん元 HAJIME』らあめん(具無し)塩 1000円 吟醸純生醤油を生かした上質な味

ネギ以外のトッピングを封じたそれはより際立つスープの透明度に目が釘付け。看板の味である塩は清流のようにすみやかで、味わえば分厚い旨みが味蕾を覆う。いやあ具なしで地味?と思うどころか贅沢とすら感じるほどだ。

これだけ深みがありながら余韻すっきりなのは素材の選択と組み立て方だろう。鶏首ガラや手羽元などをベースにサンマ節で魚介の風味を加え、油分控えめでさらりとした飲み心地に。モンゴル岩塩と昆布や貝柱などを使う塩ダレがスープの甘みをぐっと膨らませる。国産小麦100%の中細麺がまたつるつると舌を滑るような啜りやすさで実に好相性。

この完成度、さすがとしか言いようがない。

『らあめん元 HAJIME』店主 内田元さん

店主:内田元さん「遊び心のある限定の味も日々考えています」

『らあめん元 HAJIME』

[店名]『らあめん元HAJIME』

[住所]東京都板橋区坂下2-16-11

[電話]03-5392-9567

[営業時間]11時半〜14時半(14時20分LO)、18時〜21時半(21時20分LO)、土・日・祝の夜は〜20時半(20時20分LO)

[休日]月

[交通]都営三田線蓮根駅東口から徒歩1分

ぎゅっと詰まった鶏のエキスに自家製麺が寄り添う『らーめんMAIKAGURA』@千歳船橋

店主の一条さんが大事にすること、それは「香り、素材感、必然的であること」。

鶏白湯が有名な店だが、味の神髄を純粋に体感するなら「かけそば」だろう。特に塩味。いやもうコレ、ひと口目のインパクトからしてすごい。まるで鶏そのものを味わっているかのような濃密さは大量に使う岩手産銘柄の鶏ガラと伊達鶏の丸鶏からなるものだ。

かけそば(塩)890円

『らーめんMAIKAGURA』かけそば(塩) 890円 シンプルな塩味がさらに鶏の旨みを引き立てる

不純物をほぼ除去した純水で仕込むそれは「いかに素材の旨みと香りを水(スープ)に移すか」を追求するそうで、シンプルゆえに伝わってくる迫真の旨みは鳥肌モノ!

受け止めるのは北海道産「はるゆたか」の一等粉をメインに使う自家製麺。のびやか&もちっとした食感がスープを軽やかに吸い上げ、口の中で美味の一体感を奏でる仕上がりに感心してしまう。必要なものだけがこの丼の中にある、そんな真理を感じさせる1杯だ。

『らーめんMAIKAGURA』店主 一条太一さん

店主:一条太一さん「かけ+鶏白湯など2杯食べる人もいます」

『らーめんMAIKAGURA』

[店名]『らーめんMAIKAGURA』

[住所]東京都世田谷区船橋1-38-4

[電話]03-6875-7110

[営業時間]11時半〜15時、18時〜20時※材料が無くなり次第終了

[休日]月※月が祝の場合は営で翌平日が休み

[交通]小田急小田原線千歳船橋駅北口から徒歩7分

日本が誇るラーメン文化を東京駅から発信『NIPPON RAMEN凛〜RIN〜TOKYO』@東京駅

清く正しく美しい“かけ”の風景は東京駅にもありました。キラキラと輝く琥珀の湖面、麺の清らかさを。ネギさえ添えない潔さは詫び寂びの美意識を1杯に表現したかのようだ。

かけらぁ麺(醤油)1050円

『NIPPON RAMEN凛〜RIN〜TOKYO』かけらぁ麺(醤油) 1050円 北海道産「新得地鶏」など数種の地鶏を使うスープはまろやかな旨みが広がる。かえしは本醸造生揚げ醤油など5種をブレンドしたもの

こちらは日本の優れた食材・文化・伝統をラーメンに託して発信すべく、北海道の名店「Japanese Ramen Noodle LabQ」とコラボした店。

道産「新得地鶏」など数種の地鶏のダシに本醸造生揚げ醤油を使ったかえしを合わせるクリアなスープが特徴で、日本のラーメンの原点を現代の感性で再構築した懐かしくも新しい味で勝負している。

かけは店の軸となるピュアな旨さゆえスープを飲む干す人も多いそう。麺は道産小麦粉を配合した香り豊かなオリジナル。醤油味には丸細、塩味は平打ちと使い分け、スープとの相性を考えた完璧な構成に万雷の拍手を送りたい。

『NIPPON RAMEN凛〜RIN〜TOKYO』店長 平林一宏さん

店長:平林一宏さん「LabQが得意とする醤油味が看板です」

『NIPPON RAMEN凛〜RIN〜TOKYO』

[店名]『NIPPON RAMEN凛〜RIN〜TOKYO』

[住所]東京都千代田区丸の内1-9-1グランスタ東京・地下1階

[電話]03-5220-2374

[営業時間]10時〜22時※日・祝〜21時(いずれも30分前LO)

[休日]施設に準ずる

[交通]JR東京駅改札内八重洲地下中央口からすぐ

魚介系と和ダシのスッキリした旨み香味油が決め手!『福籠叉焼(フーロンチャーシュー)』@中野

そもそも基本がかけスタイル。スープのダシに動物系は一切なし。カツオやサバなど和の風情漂う魚介系に特製香味油で旨み&香りを添えた清々しい味わいだ。

醤油ダレは椎茸や酒などの調合に生醤油を少々加えてまろやかさがありつつもキリッと引き締まる余韻を演出。塩ダレは天然塩にレモン汁でやさしい酸味と爽やかさをプラス。

かけラーメン(醤油)580円

『福籠叉焼(フーロンチャーシュー)』かけラーメン(醤油) 580円 麺線も美しい。生醤油がキレを出し、ネギと生姜などで作る香味油が味をまとめている

嗚呼、たおやかな麺が沈むこの澄んだスープで泳ぎたい……と思うのは私だけじゃないらしい。というのもここは町中華。看板の叉焼たちがお待ちかねです。

もちろんそのまま、かけで味わうのもアリなのだが、数日掛けて仕込む肩ロース、ローストポーク風のモモ、バラ、鶏モモの4種からあれこれ選んでスープにダイブさせちゃって。すると肉の旨みと脂がじわじわ溶けだし、複雑に味が変化していく仕掛け。くう、最後のひと口まで旨い!

『福籠叉焼(フーロンチャーシュー)』店主 鎌倉良行さん

店主:鎌倉良行さん「ラーメン店『鶯屋』系列の町中華です!」

『福籠叉焼(フーロンチャーシュー)』

[店名]『福籠叉焼(フーロンチャーシュー)』

[住所]東京都中野区新井1-14-14

[電話]03-6454-0444

[営業時間]11時半〜15時、17時〜21時(20時45分LO)、日:11時〜20時(19時45分LO)

[休日]不定休

[交通]JR中央線ほか中野駅北口から徒歩8分

撮影/浅沼ノア、取材/肥田木奈々

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

※画像ギャラリーでは、究極の「かけラーメン」の画像をご覧いただけます

※月刊情報誌『おとなの週末』2026年2月号発売時点の情報です。

【画像】超シンプルだからこそ旨さが分かる! 具材はほぼなしの“かけラーメン”(24枚)